1ヶ月ぶりの香川 大島青松園・庵治へ

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大島全景。奥に見えるのは小豆島。高松市西宝町の「喜代美山荘 花樹海」より。

仕事が忙しく、しばらく更新が滞っていたことをお許しください。

先週末、1ヶ月ぶりに香川の親戚の家に行ってきた。前々回の記事で「次回は志度方面を紹介する予定」と書いたのだが、続編を書かないうちに再び訪れることになってしまった。ということで、予定を変更してお送りしています。


4月23日。
高松で半日ほど空き時間があったので、どこかで旅行貯金をしようと考えていた。この時点で総訪問局数は997局。どうせなら1000局目は思い出に残るような郵便局で貯金したい。
そんなわけで、局名に「千」の文字が付く郵便局を探していたら、高松沖に浮かぶ「大島」という島に「千歳簡易郵便局」というのがあることを知った。

この大島について調べてみると、島全体がハンセン病療養所大島青松園になっていることがわかった。ハンセン病の患者は昔から深刻な差別を受け、このような離島や僻地に隔離され、死ぬまで出ることは許されなかったのだ…。
JR高松駅に降り立ち、駅からほど近いサンポート高松郵便局(998局目)と高松浜ノ町郵便局(999局目)に立ち寄ってから、いよいよ高松港に向かった。
大島行きの船は、小豆島や女木島、男木島方面と同じ桟橋から出航する。しかし、切符を買うための窓口はどこにも見当たらない。官用船なので運賃は無料なのだ。大学病院行きのシャトルバスと同じような感覚だろう。

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大島行きの官船「まつかぜ」。かなり小さい船で、非常に揺れる。乗り物に弱い人は要注意。

同じ船に乗り合わせた乗客は15名ほど。入所者の家族か、それとも職員だろうか。
さらに、取材用の大きなカメラを持った方も乗っていた。話を伺うと地元テレビ局の方だそうで、今夏に開催される「瀬戸内国際芸術祭」の取材に来ているのだという。この日はなんと名古屋造形大学の学生さんが活動に来ていた。

高松港から大島までは約8kmの航路。20分ほどで到着した。

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▲島に上陸すると、そこはもう大島青松園の敷地内。青松園の名にふさわしく松が生い茂っている。

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島内の風景。まるで大病院の敷地内のような雰囲気で、“ローレライ”の穏やかなBGMが流れている。

大島青松園には現在100名ほどの入所者の方々が暮らしているそうで、郵便局だけでなく売店、公民館、理美容室などの施設も揃っている。まさに、一つの集落のようになっているのだ。
また、島の中央には宗教地区と呼ばれるエリアがあり、真宗、真言宗、キリスト教、金光教、天理教、創価学会など、あらゆる宗教の施設が建ち並んでいる。一生涯この島を出ることができなくなった入所者たちの、せめてもの心のよりどころになっていたのだろう。

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大島港の近くで。右側の建物は売店。田舎町の雑貨店のような雰囲気だった。

島内では徒歩か自転車が主な移動手段になっているようだが、自動車もときどき見かけた。ただ、自動車にはナンバープレートが付いていなかったり、あるいは代わりに「福祉2」「栄養1」「営繕1」「宿舎自治会2」「庵治町」などと書かれたプレートが付いていた。島全体が療養所の敷地になっているためだろう。
普通の香川ナンバーの車も見かけたが、これは島外から来た車だろうか。

さて、売店の近くには福祉室の建物があり、その隣に千歳簡易郵便局の入口があった。

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▲大島で唯一の郵便局、千歳簡易郵便局。1000局目の節目にふさわしい、縁起の良い名前の局だ。

入口は意外にも自動ドア。中に入ると、愛想の良い、というより人情味溢れるおっちゃんの局員さんが出迎えてくれた。
貯金をお願いしようとすると、いきなり「ちょっと、パソコンのこと詳しいか?」と尋ねられた。どうやらプリンタに紙が詰まったらしい。あれこれ見てみたのだが、残念ながらお役に立てることはできなかった。こんな島でこんなトラブルが起きたらなかなか大変そうだ。

ともあれ、無事に100円預入完了。1000局目であることを局員さんに告げると、「そりゃすごいなぁ!」と大袈裟に喜んでくれた。
局員さんによると、旅行貯金者は1ヶ月に大体4~5人ほど来るという。意外と多いんだな、と思った。ただ、この日は私で2人目だったらしい。もしかして前述の名古屋造形大学の学生さんだろうか?

続いて島の南部へ。
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大島港の近くで。民家のような建物もあるが、一般の人も住んでいるのだろうか?
入口に掲示してあった地図では、「民有地」と書かれていた。

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▲さらに南に進むと、看護師や職員の宿舎が建ち並んでいる。普通の団地のようで、あまり島らしくない風景だ。

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▲島内にはこのような電話ボックスがあちこちに設置されているが、見ての通り公衆電話ではなく、普通の家庭用電話機が置いてある。無料で電話を掛けられるようになっているのだろうか?

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▲宿舎の近くには、島内で唯一の学校である庵治第二小学校がある。
1950年代の最盛期には60名ほどもの児童がいたそうだが、島外から通勤する職員が増えたことなどから児童が減り続けているという。そして2007年度からはついに児童がいなくなり、しばらく休校になっていたが、今春から1名の児童が入学し、めでたく再開となったそうだ。
とは言え、しんと静まり返っていて人気が感じられない。入学した児童も、1人だけでは寂しいことだろう。

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大島港近くの海岸から眺めた瀬戸内海
左手前が矢竹島、右手前が弁天島。左奥が女木島、そして右奥が男木島だ。

ちょっと変わった経緯があるものの、この島もあくまで、数ある瀬戸内の島々の一つに過ぎない。島内では人々が明るく世間話をし、すれ違うたびに挨拶をしてくれて、明るくにこやかに暮らしていた。それは何の変哲もない、ごく普通の離島の風景だった。
「療養所」というとどうしても物悲しいイメージを抱いてしまうが、それもまた偏見なのかもしれない。特別な感情を持たずに、誰もが気軽にこの島を訪れるようになることこそ理想ではないだろうか。そんな思いを抱きながら、大島青松園を後にした。

  *     *     *

大島への船は、高松とは反対側の庵治(あじ)港からも出ている。ということで、帰りは庵治に渡った。
5kmほどの航路で、約15分で到着した。

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庵治のメインストリートの風景。正面に特徴的な形の八栗山が見える。

庵治は高松市街の北東に突き出た半島に位置する、四国本土最北端の町。庵治石の産地として、また映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のロケ地になったことでも知られている。
香川県には幾度となく訪れているが、半島の先に位置する田舎町の庵治にはこれといって用が無く、今まで来る機会が無かった。せっかくなので、この庵治の中心部をしばらく散策してから帰ることにした。

その前に、まずは庵治郵便局に立ち寄って通算1001局目の貯金。局舎の前には庵治石でできたポストがあった。

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▲映画にちなみ、町の中心部には「純愛の聖地庵治・観光交流館」と「雨平写真館」がある。
映画のグッズや土産物などが売られていたが、平日の夕方なのでひっそりとしていた。

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▲メインストリートの裏手には、昔ながらの家並みが残る旧道が並行している。
この狭い道を歩いていると、パトカーが何やら音楽を流しながら走っていった。香川県警とRNC西日本放送がタイアップして制作した「みんなでね」という曲で、児童の登下校時に安全を呼びかけるために流しているのだそうだ。

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▲庵治ほっとぴあん(保健センター)の裏手には、こんな古めかしい全蓋式アーケードが。よく見ると、短いアーケードが断続的に3つ設置されている。
庵治市街の旧道沿いには、このようなアーケードが計5つもあった。昔はもっと多かったのだろうか。

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▲庵治支所近くの海岸から眺めた大島。もうそろそろ夕暮れだ。

大島青松園・庵治への小旅行はこれで終わり。瀬戸内の穏やかな風景が印象的な一日でした。


最後に、結核療養所を舞台とした、さだまさしさんの「療養所(サナトリウム)」という曲をどうぞ。何度聞いても目頭が熱くなる、私の大好きな曲です。


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Comment

知らざるを知る

いつも為になる旅行記をありがとうございます。ハンセン病の療養所があるということはうっすらと知ってましたが実際に写真で見たのは初めてです。長い歴史があるのでもっとボロボロの雰囲気かと思いきや道の舗装もしっかりしてるし、草木の手入れもきちんとしていてる感じなんですね。電話ボックスの電話が家庭用の電話になってるのは面白い。きっと普通の公衆電話は小銭を大量に溜め込めるようあんなにでかいんでしょうね。あとなんといっても瀬戸内は海が綺麗やねぇ。さんふらわー号も昼間に乗ってればまた違った感じだったかもしれない。アーケードは・・どっちかというとヒサシの方が近いような・・??

ともあれ、郵便局1,000局制覇おめでとうございます!野球でいうなら1,000本安打。これからも1局でも多くの郵便局を写真を期待しています。

>LLPさん

ハンセン病療養所は私も初めて訪れました。建物は綺麗でしたが、やはり入所者の減少のためか、放置されている建物も多いみたいですね。
さんふらわー号とは懐かしい。今回は往復とも瀬戸大橋を通って四国に行ったんですよ。いつもは明石大橋経由なんですが。
職場が土日休みなので、郵便局は有休を取らない限り当分行けなさそう…

はじめまして 官船について

高松に今年引っ越してきた者なのですが、つい最近まで大島青松園のことを知りませんでした。2隻ある官船が1隻、民間委託される改革があるということを拙ブログに掲載しました。
http://tatakauarumi.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-4682.html
ハンセン病の歴史やなんかを知るために機会があれば訪問してみたいと思い、いろいろ検索してそちらのブログ記事にたどりついた次第です(勝手ながらリンクもはりつけております、問題があれば対応します)
ところで、4月に官船に乗られたときは、何か許可のようなものが必要だったのでしょうか?
今年は「瀬戸内国際芸術祭」もあって、大島に渡る船に乗るには事前に園の許可が必要と宣伝されております。
本当に学びに行くのであれば、事前見学許可をとって行けばいいのでしょうが、参考までにお尋ねした次第です。

突然のぶしつけなお願いではございますが、よろしくお願いします。

>あるみさんさん

初めまして。ブログの当該記事、興味深く拝見させていただきました。
さて、私が訪れた当時はまだ瀬戸内国際芸術祭が始まる前でしたので、特に許可が必要ということも明記されておらず、船の係員の方に尋ねても、自由に行っても構わないだろうとのことでした。
ただ、芸術祭以降は島の知名度も上がり、中には島内で迷惑を掛けるような不届者が出てくる恐れもあるので、もしかしたら許可が必要になるかもしれませんね。
なにぶん情報が少ないもので、私自身もよく分かっていないのですが、参考にしていただければ幸いです。

ご回答ありがとうございます

どうもありがとうございます。
島の知名度が上がって、多くの人がハンセン病の歴史(差別・偏見も含めた)に関心を持つようになることは、良いことだと思います。ただ、そこでは普通の人が普通に生活しているわけですから、興味本位でわいわい騒いだりするのは良くありませんね。
訪問については、大島青松園に問い合わせ、確認をしていきたいと思います。
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