韓国の名古屋!?大邱(テグ)を歩く - その1

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▲大邱を代表する繁華街、東城路(トンソンノ)

(前回からの続き)

金忠善将軍ゆかりの村・友鹿洞(ウロクトン)から市内バス(嘉昌2番)に乗り、大邱の中心街に向かった。かなり辺鄙な山奥だが、バスは30分ごとに運行されていて、料金も1,100ウォン均一と手頃だ。
しばらくバスに揺られていると、「大邱テック前」というバス停のあたりでいきなり運転手が交代し、その次のバスターミナルのようなところで突然降りるように告げられた。最初は何のことだか分からなかったが、どうやら車両交換をするらしく、乗客たちは慣れた様子で降りる準備をしていた。
日本国内にいても、慣れない土地のバスは戸惑うことが多いが、海外なら尚更である。大きなキャリーバッグを抱えながら慌てて別のバスに乗り換えた。


バスの車窓より。大自然マンション→新世界注油所付近を走行中。こんな田舎町の風景がしばらく続く。
このあたりから徐々に乗客が増え始め、市街地に入る頃にはとうとう立ち客も出た。それにしても、大自然マンションに新世界注油所とはまた凄いネーミングだ。
やがて、大邱市街の中ほどにある「中区庁前(チュングチョンアプ)」というバス停で降りた。友鹿洞からは45分ほどの道のりだった。

この日は、大邱の名物料理であるチムカルビ(찜갈비)を食べてみようと思っていた。チムカルビとは、直訳すれば「煮込みカルビ」である。どんな煮込み料理なのか想像が付かないが、そのチムカルビの店が建ち並ぶ「東仁洞チムカルビ横丁(동인동 찜갈비 골목/トンインドン・チムカルビ・ゴルモク)」とやらが、この中区庁の近くにあるようなのだ。

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▲さっそくやって来た東仁洞チムカルビ横丁
ハングルの読めない方も、看板に注目してほしい。「갈비(チムカルビ)」という文字が並んでいるのがおわかりだろう。100mほどの区間に、チムカルビの専門店がざっと見て10軒ほどは並んでいただろうか。

ちょうどお昼どきなので、どの店も呼び込みに必死だ。この中では、「ポングルボングル食堂벙글벙글식당、直訳するとニコニコ食堂)」という店が比較的賑わっていたので、そこに入ることにした。観光客向けではなく、あくまで地元の人向けといった雰囲気の、庶民的なオンドル部屋の店だ。

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▲これがチムカルビのセット。右端に写っている赤黒い物体がチムカルビだ。
ボコボコのアルミ鍋に入っていて、見た目は何じゃこりゃという感じ。そして、これでもかというほどの赤黒さ。一口目はやや躊躇したが、意外にも辛さより旨味が効いていて、想像していたよりも美味しい。辛さも一般的な韓国料理程度で、むちゃくちゃ激辛というわけではない。
前日に慶州で食べたサムパプと同じく、エゴマの葉サンチュ(レタスに似た野菜)が出てきて、これで巻くと辛さや油っぽさが和らぎ、あっさりと食べられる。副菜も充実していて、中央に写っているムルギムチ(水キムチ)がまた美味しく、こってりしたカルビにちょうどよく合う。その奥にあるのは、ネギと韓国のりを和えたようなもので、これも何だか酒のつまみに良さげな感じだ。

隣のテーブルには若いお父さんとお母さんが、2歳くらいの男の子を連れて来ていた。両親は食べ終わっておしゃべりに夢中になっているらしく、退屈したらしい男の子はニコニコしながらこちらにヨチヨチと歩いてきて、サンチュをちぎって「どうぞ」という仕草をして渡してくれた。どこの国でも無邪気な子どもは可愛いものだ。これぞ本当にニコニコ食堂。

チムカルビ横丁を後にし、「中区庁向かい側」のバス停から急行3番のバスに乗り、この日の宿所である大邱グランドホテルに向かった。急行バスというのは普通のバスよりも停留所が少なく、料金も1,500ウォンとやや高めだが、距離が短いのであっという間に着いてしまった。

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▲大邱グランドホテルの正面、泛魚(ポモ)交差点の風景。高層ビルが密集していかにも大都会といった風情だが、これらは全て住宅団地だ。韓国では、背の高いビルは大抵オフィスではなくアパートである。

ホテルでしばらく休憩してから、再び市内散策に繰り出すことにした。ホテルから北へ2.5kmほど、東大邱路(トンデグロ)と呼ばれるだだっ広い道路を歩くと、この日の朝降り立った東大邱(トンデグ)駅に出た。

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東大邱駅。KTXを始めとする長距離列車の拠点になっていて、いわば大邱の交通の中枢なのだが、市の本来の中心部からは離れているため、街並みは新しくだだっ広い。日本で例えるなら新大阪によく似ている。

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東大邱駅前風景。道路も広く、建物も大きく新しくて、すっきりとした景観が広がっているのだが、繁華街としての規模は小さそうだ。

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▲東大邱駅前のメインストリート、薬師通り(ヤクサギル)。飲食店などが建ち並び、それなりに賑やかではあるのだが、30万都市の慶州と同じくらいに見える。
市街地の面積も狭く、駅前から薬師通りにかけてのせいぜい500mほどの区間が繁華街らしくなっているだけで、路地裏は大規模なモーテル街になっていた。東大邱路の西側には「東大邱駅前市場」という市場があるようだが、これも駅から微妙に距離があり、あくまで地元住民向けの市場のようだ。250万都市の交通の中心という割にはちょっと寂しいが、前回の記事でも書いたように、駅というよりは空港のような存在で、そもそも繁華街としての需要がないのかもしれない。

東大邱の街はすぐに散策し終えてしまったので、続いて大邱の本来の中心部に位置する大邱駅の方に移動することにした。東大邱駅から大邱駅へは、地下鉄なら所要時間は約5分、7分間隔で走っているが、せっかくKRパスを持っているので、一般列車に乗ることにした。
20分ほど待ち、16時42分発のセマウル号(1058列車)ソウル行きに乗車。大邱駅にはわずか5分ほどで到着した。

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KORAIL大邱駅の駅名板。日本のものによく似ている。

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大邱駅構内。東大邱駅は空港みたいな雰囲気だったが、こちらは日常感が溢れる駅らしい駅だ。駅舎はロッテ百貨店と合同の建物になっている。

駅前には観光案内所があったので、ここで地図やパンフレットをもらった。大邱は見どころが少ない街だとよく言われるが、その分観光には力を入れているようで、英語・日本語・中国語のパンフレット類も充実している。よくあるような誤字も少なく、どれもちゃんとしたパンフレットだ。さらに、無料の観光案内DVD(4ヶ国語収録)も配布していた。さすがは韓国第三の都市である。
観光案内所のお姉さんに、大邱の中心街が概ねどのあたりになるのかを訪ねると、大邱駅から半月堂(パヌォルダン)駅にかけての東城路(トンソンノ)沿いがメインだということを教えてくれた。また、地下鉄1号線の通る中央路(チュンアンノ)を挟んで、東側は主に商業が盛んな区域、西側は史跡の多い区域になっているそうだ。
さらに、半月堂駅の近くには「ヤシ横丁」という路地があり、若い女性向けの衣料品店が建ち並んでいるとのこと。「ヤシ」というのは、キツネ(標準語では「ヨウ」)を意味する大邱の方言で、これは美しい女性のたとえなのだとか。大邱は美人の多い街として知られていて、ミス・コリアにも大邱の出身者が多いのだそうだ。

ではさっそく東城路へ。…といきたいところだが、大邱駅前から東城路への間には横断歩道が設置されていないので、地下街を通り抜ける必要がある。

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▲大邱駅前に広がる地下街、大邱駅地下商街。規模は小さいが、人通りが多く賑やかだ。

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▲そして、地下街を抜けると東城路(トンソンノ)に出た。歩行者天国で道幅も広く、非常に歩きやすい。突き当たりに見える大きなビルが大邱駅とロッテ百貨店だ。

ガイドブックやウェブサイトなどを見ると、「大邱の中心は東大邱駅であり、大邱駅周辺は旧市街だ」というような記述がよく見られるので、萩駅と東萩駅の関係よろしくこちらも寂れているのかと思ったが、全然そんなことはない。250万都市の中心街に相応しい貫禄と賑わいが、そこにはあった。

さらに、メインストリートの東城路だけでなく、脇に伸びる路地にもそれぞれ個性があり面白い。
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▲東亜百貨店の周辺に広がるモッチャゴルモク(먹자골목)。直訳すると「食べよう横丁」という意味だ。
その名の通り飲食店が並んでいて、店先でおばさんがジョン(いわゆるチヂミ)を焼きながら、「オイソオイソ~」と慶尚道方言で客を呼び込んでいる。

再び東城路に戻りしばらく南下すると、国債報償路(クッチェボサンノ)という大通りと交差するのだが、ここにも横断歩道がないので、またまた地下街を経由しなければならない。せっかく歩行者天国になっているのに、これはちょっと不便だ。韓国には日本と比べて圧倒的に横断歩道が少なく、あったとしてもあっという間に赤になってしまうので、急いで渡らなければならない。歩行者のことはあまり考えられていないのだろうか。

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▲というわけで、中央地下商街(テヒョンプリモール)へ。寒さのせいか、地上よりも地下街の方が人が多く、物凄い混雑だ。どことなく名古屋の地下街に似た雰囲気で、栄のクリスタル広場のような円形の広場もあった。

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▲地上に上がり、再び東城路へ。いつの間にか日が暮れて、イルミネーションが点灯していた。
大邱の中心部は翌日にゆっくり歩くことにして、今日はとりあえず雰囲気を楽しむことにした。

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▲東城路と中央路の間に伸びる鞄横丁(カバンゴルモク)
「ちゃんぽん」「おでん」と日本語で書かれた提灯がぶら下がっているが、日本人向けというわけではなく、ただ単に日本風を意識した居酒屋なのだろう。釜山やソウルでは、街中を歩いていればうんざりするほど日本人を見かけるが、大邱では日本語を話す人を結局一人も見かけなかった。


▲東城路沿いの中でも最も賑やかに感じたのが、この大邱百貨店前の広場
4秒ほどのところで写る、緑色の銀杏の葉のようなロゴマークの建物が大邱百貨店だ。東京都のロゴマークにそっくりだが、こちらの方が3年ほど早く制定されたらしく、似ているのは偶然だろう。

この後、大邱百貨店で買い物をしたり、PCバン(ネットカフェ)に寄ってこの記事を書いたりしていたら、いつの間にか20時を過ぎていた。夕食がまだだったので、先ほどの中央地下商街の中にある食堂に立ち寄った。ピビンパとマンドゥ(韓国風の餃子)を食べたのだが、カクトゥギ、たくあん、それにテンジャンチゲ(韓国風の味噌汁)が付いて7,000ウォンと、なかなか手頃な値段だった。
食堂のテレビではちょうど「スサンハン サムヒョンジェ(怪しい三兄弟)」というドラマをやっていた。台詞は半分も理解できなかったが、なかなか面白そうな内容だったので、韓国語の勉強も兼ねてこれから見てみようか。

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▲中央地下商街と繋がっている地下鉄中央路(チュンアンノ)駅へ。ここから地下鉄を乗り継いでホテルに戻った。
何気なく券売機で切符を買ったら、プラスチック製のコイン型の物体が出てきた。ICカードのように自動改札機にタッチして通過し、出場するときはコインのように自動改札機に投入するのだが、初めて見たので驚いた。釜山の地下鉄は普通の磁気券だったが、調べてみたらどうやら光州(クヮンジュ)や大田(テジョン)の地下鉄でも同様のものが使われているようだ。

ところで大邱の地下鉄といえば、2003年に放火による大規模な火災が発生したのは日本でも大きなニュースとなったのでご存じの方も多いだろう。その事件が起きたのがこの中央路駅なのだ。都心のど真ん中に位置するこの駅は利用者も非常に多く、死者197名の大惨事となったようだ。想像しただけでも恐ろしい。構内は改修工事によって綺麗になっており、今では何事もなかったかのようだ。


ということで、韓国旅行3日目の12月20日がやっと終了。この調子で連載を続けていくと、終わる頃には夏になっているかもしれないが、どうかごゆっくりとお付き合いくださいませ。
翌日の12月21日も引き続き大邱を“街歩き”します。

(続く)
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Comment

大邱に美人さん達が多いのは大邱りんごのおかげさまと言います^^!
かっこいい兄さん達も多いと従姉さんが教えてくれたんです。
大邱はりんごが本当においしい所です.
最近は地球温暖化のせいでちょっとやばいんですけど...'大邱りんご'と言えば名物ですね.

>センさん

おお、来てくれたんですね。ありがとうございます。
大邱は確かに綺麗な人が多い印象でした。りんごもぜひ食べてみたかったんだけど、残念ながら機会がなくて…。
ちなみに日本では青森県がりんごの名産地で、その隣の秋田県は美人が多いことで有名です。なんだか似ていますね。
安養の記事もまたそのうち書きますね。でもいつになることやら…

路線により路線中間に記事が交代したり車両を乗り換えることは結構あります。 ソウルは乗り換えタグのためなのか準公営制を施行した以後かなり減ったようだが,ソウル大の中で5516番バスに乗ったりシャトルバスに乗るとこのような風景をしばしば見ることができます。 地域内バス(마을버스)の場合は運転手が学生食堂で食事するために近所停留場で交代する場合もあっておもしろいです。 ただし外国人の場合は慌てることもできますね。

東大邱駅から大邱駅まで一般列車に移動するとは本当に派手ですね^^;;10年前だけでも親戚の家に行くためにムグンファ号を利用して大邱駅におりたが(当時にはセマウル号も大邱駅に停車しなかったです),最近はKTXを利用するから東大邱駅におります。 確かに商店のようなことは大邱駅の方が多かったようです。

辞典によればということがませてちゃっかりしていてずる賢い女に対して'キツネ(여우)'と比喩します。 '여시'はかなり久しぶりに聞いてみる懐かしいなまりですね。

>Tabiperoさん

バスの運転手交代や車両交換は、日本でも無いわけではないですが、ちょっと珍しいですね。田舎の方に行けば多いのかもしれませんが。
学生食堂で運転手が食事をするなんて面白いですね。名古屋大学では、バスの運転手がキャンパス内の公園で煙草を吸っていたり、トイレを利用しに来るのをときどき見かけます(笑)

東大邱駅から大邱駅までセマウル号というのは、まさに新大阪駅から大阪駅までJRパスを利用してはるかやサンダーバードに乗るようなものでしょうか。東大邱駅は本当に列車に乗るためだけの駅という雰囲気で、街の規模は驚くほど小さかったです。

キツネ(여우)って意外とネガティブな意味合いだったんですね^^;;
日本語でもキツネとタヌキといえば人を騙す代名詞のようなもので、おとぎ話では大抵悪役です。

大邱・慶州へ

拝見させて頂きました。大変参考になります。明日(2012.12/4)から韓国-釜山、慶州、大邱のツアーへ。大邱は、イラっとくる韓国語講座(テレ東の番組)で見ていて…行きたい場所で、今回とても楽しみです。慶州は古墳の多さや大きさをこの目で見るのが嬉しい←ただ天気が心配です。
来年はベトナムへ旅行の予定です…行かれた事はありますか?ご存知でしたら教えて下さいね。

>チダッチさん

コメントありがとうございます。
今日はもう出発されているのですね。お気を付けてお出掛けください。
大邱はあまり観光地という感じではありませんが、ありのままの韓国の日常の姿を味わうには良いところです。
ベトナムは残念ながら行ったことがないので、何とも申し上げることができませんが…。行ってきたという友人によると、ハロン湾はとても良かったみたいです。

無事に帰国 (^o^)v ♪

こんにちわ♪チダッチです…韓国-釜山、慶州、大邱のツアーから戻りました。12/4は到着が16:30、釜山国際市場散策、夕食後→慶州へ移動してホテルへ(コーロンホテル)12/5は慶州市内観光-世界遺産廻り。午後から良洞村・他へ…夜はMISO慶州公演「善徳女王」を見ました。が日本人が少ない…2つのツアーでやっと30人くらい…演ずる役者の方が多かった。12/6は安東河回村へ(俳優・リュウ・シオンの実家も見て)海印寺→そして、大邱へ。東城路(夕食はチムカルビ)をほんの20分ウロウロして大邱グランドホテルへ。結局ツアーは忙しいし、全食事付きなんで、まっちさんのような旅が出来ない…(残念…ゆったり見たかったし食べたかった)今度は、個人で旅します。

>チダッチさん

旅行お疲れさまです。
2泊3日で釜山、慶州、安東そして大邱とは…かなりの強行軍でしたね。ツアーでなければ考えられませんね。
私は大体いつも個人旅行で、気ままにのんびりと旅できるのが何より自分に合っていると思うのですが、有名どころを手っ取り早く回りたいならツアーもアリですね。かなり疲れそうですが(笑)
それにしても、日本からの観光で大邱を訪れるのはなかなか珍しいと思います。大邱グランドホテルは私も宿泊しましたが、豪華で快適なホテルですよね。

初めまして

明日から釜山経由で大邱に行きます。2泊する予定です。
宿泊を何駅の近くにするか迷っていて、治安とか不安だったので
動画付の紹介とてもとても参考になりました。
ありがとうございました。
旅行のスタイルが自由で素敵ですね。
帰ったらまた他の旅行も読ませていただきたいです。


>reireiさん

私が言うのも何ですが、いきなり大邱に行かれるとは珍しいですね。
何か目的があっての訪問でしょうか。ともかく、お役に立てたようで幸いです。
この旅行記はここで中断してしまっていますが、余裕があったらまた更新したいと思います。
気を付けていってらっしゃいませ。
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