世界遺産・仏国寺とKORAIL東海南部線

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▲韓国を代表する名刹、世界遺産・仏国寺で。

(前回からの続き)

慶州駅前から市内バスに乗り、仏国寺(プルグクサ)にやって来た。
ここは韓国が誇る超メジャー級のお寺で、韓国人ならまず知らない人はいないだろう。修学旅行の定番にもなっていて、日本で例えるならさしづめ法隆寺とか東大寺のような存在だ。

それでは、この仏国寺の境内をゆっくりと巡ってみよう。
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▲まずは安養門(アニャンムン)へ。
極楽殿を中心とした極楽浄土への入口にあたる門で、「安養」とは極楽のことを意味する。この門に上がる階段は、下の10段が蓮華橋(ヨンファギョ)、上の8段が七宝橋(チルボギョ)と呼ばれていて、いずれも新羅時代の750年ごろに造られたものと推定されている。摩耗から保護するため、この階段を直接上ることはできない。
750年といえば日本は奈良時代、東大寺が創建されたのとほぼ同じ時代だ。

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▲続いて、安養門の東側に隣接する紫霞門(チャハムン)
こちらは大雄殿を中心とした仏国土への入口にあたる門で、「紫霞」というのは仏様の光明を形容している。こちらの階段は、下の18段が青雲橋(チョンウンギョ)、上の16段が白雲橋(ペグンギョ)と呼ばれている。全体では33段になっているが、「33」という数字は仏教で仏の境地にまだ至っていない33の段階を意味しているという。こちらも蓮華橋・七宝橋と同じく、新羅時代の750年ごろに造られたものと推定されている。

安養門や紫霞門の階段は通ることができないので、別に設けられた坂道を迂回し、仏国寺の本殿にあたる大雄殿(テウンジョン)に向かった。
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大雄殿。釈迦牟尼仏が安置されている。
左側に建っているのは、新羅時代の典型的な石塔の形状をしている三層石塔(釈迦塔)。1966年の修理の際、世界最古の木版印刷物である無垢浄光大陀羅尼経が内部から発見されたそうだ。
この三層石塔と対をなして、右側には多宝塔も建っているのだが、見ての通り解体修理工事のため防護ネットに被われていた。工事はこの直後の2009年末に完了したようだ。防護ネットの中に入ってガラス越しに見学することもできたが、こちらは三層石塔とは対照的に、新羅時代の一般的な石塔と比較すると特異な形をしていた。

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▲こちらは安養門の内側に建つ極楽殿(クンナクチョン)。阿弥陀仏を安置している。
遠足か修学旅行だろうか、小学生の集団が来ていて賑やかだ。

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▲羅漢殿の前の小塔誌(ソタプチ)
韓国では、石で小さな塔を作って願い事を祈る小塔誌という風習があり、ここにも多くの参拝客たちが積んでいった小塔誌があった。境内の中でも奥まったところにあるこのあたりは、人の姿も少なく静かで、カチ(カササギ)の声だけが聞こえてきた。

最後に、伽藍の西側に建つ「仏教美術館」で土産物を購入した。慶州の地図が描かれたユニークなハンカチを売っていて、なんだか面白そうなので買ってみた。

仏国寺の奥の山の上には石窟庵(ソックラム)があり、こちらも有名な史跡なので行ってみたかったのだが、中途半端に時間が遅くなってしまったので、今回はパスすることにした。
境内の外に出てバス停に向かうと、夕方の観光地らしく長い行列ができていた。10分ほど待ったところで10番の座席バスが到着。


10番の座席バスで。仏国寺から仏国寺駅にかけての田舎道を走っているところ。

帰りは慶州駅ではなく、1つ釜田寄りの仏国寺駅から列車に乗ることにしていた。仏国寺駅には10分足らずで到着したが、料金は均一制なので、慶州駅までと同じ1,500ウォン。

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▲乗ってきた10番の座席バス(後部が切れていますがあしからず)。仏国寺駅前で。

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仏国寺駅
ここも慶州駅と同じく1936年に建てられた古い駅舎だ。日帝時代(日本統治時代)に建てられたということで、和・韓・洋折衷の興味深いデザインになっている。
ただ、仏国寺からは3.5kmほど離れていて、しかもムグンファ号の一部(1日7往復)しか停まらないので、この駅を利用する観光客はあまり多くないようだ。駅の入口にも、「この駅には夜9時から翌朝6時まで運行する列車がありません。時刻表を確認してください」と書かれている。

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仏国寺駅前風景。土産物屋や旅館は見当たらず、何の変哲もない郊外のような風景だ。

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仏国寺駅構内。慶州駅を小さくしたような感じで、意外にも有人駅だ。駅員さん、暇だろうな。
窓口は売店も兼ねているようなので、温かい缶コーヒーを1本買った。

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仏国寺駅にもスタンプがあった。絵柄はやはり仏国寺だ。文字は「仏国寺駅」「年 月 日」と書いてある。

次の列車が来るまでまだ50分ほども時間があった。駅の周辺を散策してみようかとも思ったが、夕暮れ近くとても寒いので億劫になり、コーヒーを飲みながら構内のベンチに座っていた。すると駅員さんが出てきて、わざわざストーブを点けてくださった。
しばらく待っていると徐々に人が集まってきたが、地元の人が中心のようで、観光客らしい人は見当たらなかった。

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▲構内踏切を渡って行くと、島式1面2線のホームがあった。

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仏国寺駅ホームより。夕暮れどきで綺麗だけど物悲しい景色だ。
慶州は名古屋よりもちょうど30分日の入りが遅い。この頃名古屋はもう真っ暗だったことだろう。


▲やがて、17時28分発のムグンファ号(1775列車)釜田行きが約5分遅れで到着した。風が強く、とても寒い。かなり混んでいて、乗ったときにはほぼ満席だった。


仏国寺駅出発直後の車窓より。動画ではわかりにくいが、月が見える。

ムグンファ号にはこのとき初めて乗った。内装はセマウル号と比べるとやや見劣りするものの、日本の特急とほぼ同じレベルだ。また、駅到着時の案内放送のBGMは、セマウル号とは違う曲だった。


ムグンファ号の駅到着時の車内放送
この音声は東海南部線ではなく、この4日後に乗った中央線のムグンファ号(1604列車清凉里行き、堤川到着時)で録音したものだが、BGMは同じだ。

行きと同じく、蔚山(ウルサン)駅ではやはり乗り降りがかなり多かった。その他の駅も意外と乗り降りが多く、徳下(トカ)駅や南倉(ナムチャン)駅のような小さな駅からもそこそこ乗ってきた。
松亭(ソンジョン)駅を出てしばらくすると、遠くにライトアップされた広安大橋と高層ビル街が見えてきて、急に賑やかな景色になったと思ったら海雲台(ヘウンデ)駅に停車。そこからは夜の釜山の市街地を走り、19時19分、終点の釜田駅に到着した。

朝にも歩いた釜田駅前の大通り(釜田広場路)を通って地下鉄釜田洞駅へ。ここからまっすぐホテルに帰ろうかとも思ったのだが、せっかくなので釜山の地下鉄各線を乗り鉄しながら帰ることにした。


▲釜田洞から1号線老圃洞(ノポドン)行きに乗車。韓国語だけでなく、英語・日本語・中国語でも案内放送が流れる。

蓮山洞(ヨンサンドン)駅で3号線の大渚(テチョ)行きに乗り換え、万徳(マンドク)駅に向かった。途中の社稷(サジク)駅はロッテ・ジャイアンツの本拠地である社稷野球場の最寄り駅で、案内放送はロッテジャイアンツの選手が録音したものらしい。そうと知っていれば降りたのだが・・・。

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万徳駅。韓国で最も地下深いところ(深度65m)にある駅だ。山の中腹にあるからそうなったんだとか。
地下1階の改札から地下9階ホームへは、5本の直通エレベータと16台のエスカレータが設置されているが、エスカレータは省エネのため運行が中止されている。
とりあえず改札階まで行ってみて、すぐにまたホームに戻ってきた。改札を入ったところにいきなりエレベータが並んでいる、というのがちょっと独特な光景だが、それ以外は普通の駅と同じだ。電車に乗るためではなく、エレベータに乗るために改札を駆け込んでくる人が多いように見えた。ちなみに改札からホームまで、エレベータで40秒もかかった。

物珍しさで降りてみたが、特に用もないので、そのまままた3号線の大渚行きに乗車。そして徳川(トクチョン)で2号線に乗り換えた。
徳川を出ると亀明亀南毛羅毛徳徳浦と、似たような漢字を組み合わせた駅名ばかりが続き、だんだん眠くなってきた。うとうとしながら西面(ソミョン)で降り、ここで再び1号線に乗り換え。釜山一の繁華街というだけあって、夜遅くても賑やかな駅だ。
この時点で時刻はもう20時41分。前回ソウルに行ったときの最終日もそうだったが、韓国の地下鉄は距離が長いので、安易な気持ちで乗り鉄するとえらいことになってしまう。

西面から再び1号線の新平(シンピョン)行きに乗り、20時57分、釜山駅に到着した。
途中の凡一洞あたりから、貧しそうな身なりのおばさんが「私には病気の赤ん坊がいて云々」という旨のことが書かれた紙を、座っている乗客の膝の上に無言で並べて行った。みんな読むだけ読んで何もしない。しばらくするとおばさんが戻って来て、また無言で紙を回収して行った。韓国の地下鉄ではよく見かける光景だ。本当に困っている人には何とかしてあげたいものだが、弱者を騙って金を巻き上げる詐欺が横行しているらしいので、どうすべきか分からない。おそらく他の乗客たちも同じ気持ちだろう。どちらにしても、こういう人に出くわすと悲しい気持ちになる。
韓国で街を歩いていたり、地下鉄に乗ったりすると、日本以上に社会的弱者が目立つ。韓国の社会福祉制度がどうなっているのかよく知らないが、決して日本も進んでいるとは思えない。ある意味、日本では弱者が社会から隔離されている、という一面もあるのかもしれない。

そんなわけで、もはやすっかり馴染み深くなったKORAILの釜山駅へ。途中、構内の本屋に立ち寄り、韓国全土の地図を買った。本になっているタイプは数種類あったが、三宝企画図書出版というところが出している「全国旅行道路地図」というのが、1:180,000の全国地図と各市の主要部詳細図が載っていて見やすく、大きさ・重さもちょうど良くて、旅行中も非常に重宝した。

夕食をどうしようかと思ったが、前日の朝に釜山駅を訪れたとき、1階の食堂街に「간사이 라멘 돈가스(カンサイ ラーメン トンカツ)」という店があったことを思い出した。せっかく韓国に来てまで日本食を食べるのも何だが、どんなものか気になったので入ってみた。
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▲時間が遅いのでトンカツ類はできない、と言われたので、「쇼우라면 しょうゆうラ‐メン(原文ママ)」というのを注文。5,000ウォン。「쇼유(ショーユ)」ではなく「쇼우(ショーウ)」となっていたが、韓国ではそういう表記なのか?
ともあれ、キムチが付くところを除けば日本のラーメンと全く同じ味。高速道路のサービスエリアとかで出てくるような、当たり障りのないごく普通の味だ。あまりに普通すぎて拍子抜けした。

この後、釜山駅前から送迎バスでホテルに戻り、旅行の二日目は無事に終わりを告げた。

さて、翌日は釜山駅からKTX(韓国版新幹線)に乗り、韓国第三の都市・大邱(テグ)を目指します。

(続く)
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