釜山 その2~釜山のミナミを歩く

(前回からの続き)

釜山の二大繁華街といえば、南浦洞(ナンポドン/남포동)西面(ソミョン/서면)である。

南浦洞は名前の通り南部の海沿いに位置する旧市街で、庶民的な雰囲気の国際市場やチャガルチ市場に隣接している。一方、北西部に位置する西面は比較的新しく開発された副都心で、高層ビルが多く、やや都会的な雰囲気が強い。大阪のミナミとキタの関係に似ているような気がするが、名前的にはミナミとニシ、といったところか。
街歩き好きとしてはどちらも捨てがたいが、まずは旧市街の南浦洞から歩いてみることにした。

前回の記事で書いたロッテ百貨店光復店は、この南浦洞地区の入口にあたる場所に建っている。ここから西に向かって伸びているのが、南浦洞のメインストリートである光復路(クァンボンノ)だ。

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光復路。旧市街といえども街並みは綺麗で賑やかだ。ソウルの明洞にもよく似ている。歩行者天国のような石畳風の舗装になっているが、お構いなしに車がわんさか入って来るのも明洞と同じだ。クリスマスらしく、空中にはイルミネーションが設置してある。夜は綺麗になるのだろう。
途中、通り沿いにある郵便局(釜山光復洞局・釜山昌善洞局)に立ち寄って1,000ウォン貯金した。日本の郵便局と違って、通帳とお金を渡して「預金してください」と言えば一瞬でやってくれるのから便利だ。
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▲光復路の1本南を並行する狭い路地、「南浦通り(남포길)」
南浦洞エリアは、面積としてはそれほど広くないものの、路地裏の裏にまでお店が連なっており、大都市ならではの活気を感じる。

▼さらに南西に進むと、屋台が建ち並ぶ賑やかな界隈に出た。PIFF(ピフ)広場というそうだ。
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PIFF」とは「Pusan International Film Festival」、つまり釜山国際映画祭のことで、ここがメイン会場になるそうだ。地面には映画監督らの手形が埋め込まれている。
屋台で巨大なワッフルを売っていたので、買って食べてみた。日本のワッフルと違ってパリパリと堅く、クリームとジャムのようなものが挟んであった。おやつには手頃でちょうどいい。

再び光復路に戻り、さらに西に向かって歩いた。このあたりから先がいわゆる「国際市場(ククチェシジャン)」と呼ばれるエリアで、観光客が多く、日本語の看板も目立つ。
国際市場は路地が碁盤の目状に交差した分かりやすい街路になっていて、それぞれの路地には「若者通り」とか「アリラン通り」、「万物の通り」、「照明の通り」などユニークな名前が付けられている。そして光復路との交点には、それぞれの通り名が書かれたカラフルなアーチが架かっている。
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「万物の通り(만물의거리)」の入口。만물의거리(マンムレゴリ)は直訳すると「万物の通り」という意味なのだが、別の看板には日本語・英語で意訳して「マーケット通り Market Street」と書いてあった。
このあたりはとても賑やかで、店員のおばさんたちが「オイソオイソ~、サイソサイソ~」などと言いながら客を呼び込んでいる。「オイソ(오이소)」「サイソ(사이소)」とは慶尚地方(韓国南東部)の方言で「いらっしゃい」「買ってください」という意味で、標準語の「オセヨ(오세요)」「サセヨ(사세요)」にあたる。旅先で方言を聞くのは、旅情が感じられて心地よいものだ。

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万物の通り(만물의거리/マンムレゴリ)鞄横丁(カバンゴルモク/가방골목)履物横丁(シンバルゴルモク/신발골목)などといった通り名を表す標識。
これらの通り名は行政によって定められているもので、数年後には正式な住所となる。しかし、鞄横丁に特に鞄屋が多いわけでもなく、履物横丁に履物屋が多いわけでもない。日本にもよく似た事例は多い。実態にそぐわない名前を行政が勝手に付けたのだろうかと勘ぐってしまう。

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▲万物の通りの1本東を並行するアリラン通り(아리랑거리)。国際市場の中でも特に賑やかな通りで、韓国風の装飾が施された電灯が空中に並んでいるのが面白い。日本語の看板も特に多く、中には「地球で一番安い店」なんていう文字も。
写真を撮っていたら、洋服店のおばさんに「日本から来たの?」と話し掛けられた。ほとんど日本人ばかりを相手に商売しているのだろう、日本語がとても流暢だ。体が冷え切っていたこともあり、話が弾んだついでに10,000ウォンくらいのマフラーを購入した。
もともと衝動買いはあまりしない方だが、この日の釜山は最高気温2度最低気温-4度。この翌日からはさらに冷え込んだので、これは買っておいて正解だった。人情味のある親切なおばさんで、「店の中で少し休んでいきなさい」と言われ、コーヒーまで出してくださった。

万物の通りの西側には「昌善商街(チャンソンサンガ)」という全蓋式アーケードの商店街があり、ここは別名、「照明の通り(조명의거리)」とも呼ばれている。何とも芸のないネーミングだが、本当に照明器具の店ばかりが並んでいて、ギラギラととても眩しい。季節柄か、イルミネーション用品もあちこちで売られていた。
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▲照明の通り付近には生活雑貨全般の店が多い。中にはこんな懐かしい雰囲気の一角もあった。

▼こちらは国際市場の中央を東西に貫く国際中央通り(국제중앙길)。真正面に釜山タワーが見える。
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ここも本当に日本語の看板だらけだ。…と思ってよく見たら「ガナダラ射撃場」の文字が。そう、1ヶ月前(訪問時基準)に火災が発生し、日本人を含む16名が死傷したあの射撃場だ。こんなところにあったとは…。
入口は閉鎖されているものの、建物はそっくりそのまま残っていて、周辺は何事もなかったかのように賑わっている。被害にあわれた方々のご冥福をお祈りします。

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▲国際市場の南西には、「富平洞チョッパル横丁(부평동 족발골목)という通りがある。その名の通りチョッパル(豚足)の店が多い。おびただしい数の看板が並び、いかにも賑やかな雰囲気だ。

釜山とソウルの関係は、よく大阪と東京の関係に例えられるが、第二の都市という点以外にも釜山と大阪は共通点が多いように思う。街並みの雰囲気が(良い意味で)ゴチャゴチャしていて人情味が感じられ、人柄も似ているように思う。そして、まくし立てるように威勢よく話す慶尚方言も、どことなく日本の関西弁に似ている。
韓国語には「부산하다(プサンハダ)」という形容詞がある。直訳すれば「釜山する」という意味だが、慌ただしい、気忙しい、騒がしいといった意味になるらしい。ちゃんと辞書にも載っている言葉だ。まさに釜山という街の性格を象徴している(もちろんステレオタイプ的なものも含まれるだろうが)。

続いて、国際市場の北西に位置する宝水洞本屋横丁(ポスドンチェッパンゴルモク)というところに向かった。ここは、当ブログにもよく来てくださる韓国人のTabiperoさんが教えてくれたところだ。
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宝水洞本屋横丁。200mほど続く細い路地にびっしりと本屋ばかりが並んでいる。
国際市場やチャガルチ市場などと違って日本ではほとんど知られていないし、ガイドブックやパンフレットの類にもまず載っていないが、この光景は圧巻である。本を買わなくても、街歩きをするだけで十分楽しめるところだ。何か面白そうな本があれば買おうかとも思ったが、初日から荷物を増やすのは嫌だったので、断念した。

本屋横丁の近くにある釜山宝水洞郵便局に寄ってから、次は富平市場(プピョンシジャン)に向かった。
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富平市場のメインストリート。観光客の多い国際市場と比べると、いかにも地元の人向けといった雰囲気の市場だが、日本語の看板もわずかながら見受けられる。真正面に釜山タワーが見えるが、写真だと白飛びしてしまって見えにくい。
右上の方に赤い文字で「다이소(ダイソ)」と書かれた看板が見えるが、これはあの100円ショップのダイソーである。店内の雰囲気は日本のダイソーとそっくりで、基本的に1,000ウォン均一の模様。中には日本で売られているのと全く同じ、しかも商品説明などが日本語でしか書かれていないような商品もそのまま売られていたりする。客層はほとんど韓国人で、別に日本人相手の商売というわけでもなさそうだが…。

ここらで少し小腹が空いたので、富平市場内にあるホリム唐麺(호림당면)という粉食店に立ち寄った。テレビで紹介されたお店らしく、店内のあちこちにそのことが書いてあった。
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カルグクス(韓国風うどん)。いや、カルグクスというよりは素麺か。
だしはあっさりした中にほんのりとピリ辛風味が感じられて美味しかったのだが、麺がだいぶ伸びていた。たくあんとカクトゥギ(大根のキムチ)が付くのは韓国ではデフォルト。

▼最後に、釜山で最も有名な観光スポットの一つであるチャガルチ市場にやって来た。
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水産物専門の市場なので独特の雰囲気で、あちこちから美味しそうな香りが漂ってくる。買ったものをそのまま調理して食べさせてくれるお店も多いようだが、なにぶんカルグクスを食べたばかりでお腹が膨れてしまったので、何も買わずにそのまま通り過ぎた。せっかく釜山に来たのに、ああ勿体ない。
奥に見える巨大なビルは新チャガルチ市場新東亜市場。こちらは興醒めなほど立派な建物で、風情のかけらもない。

この後、地下鉄に乗るためにチャガルチ駅に向かった。前回ソウルに行ったときに買ったT-money(韓国内の主要都市で使える電鉄・バス用のICカード)の残額がまだ残っているので、それを使おうと思ったのだが、またまたアホなことに自宅に忘れてきたことに気付いた。日本では何の使い道もないカードなのに…。
ハナロカード(T-moneyの釜山版)を買おうかとも思ったが、釜山には2日間しか滞在しないので、仕方なく現金で切符を購入。前回の訪韓時は何もかもT-moneyで済ませていたので、自動券売機を使うのも切符を見るのも初めてだ。ちなみに自動券売機はタッチパネル式で英語や日本語に切り替えることができ、外国人にも優しい。

ということでチャガルチ駅から地下鉄1号線に乗り、次回は西面(ソミョン)にほど近い凡一洞(ポミルドン)という街を目指します。

(続く)
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Comment

match345さんと同じように街歩きがお好きな方々に国際市場周辺の街はたまらないかも知りません。 南大門市場のように輸入食品(主に日本食品)を売る所もあったが,店は違うが売ることらがみな似ていておもしろかったです。 同じ輸入商から物を持ってくるのでしょうか。

宝水洞(ポスドン)書店街が印象(引き上げ,人相)深かったというから幸いです。 旅行の楽しみはガイドブックにないところでさらに多く得ることになるようです。 私も何度の日本旅行を通じてそのように感じました。

ダイソーにある物品は基本的に韓国や日本でも似ていると知っています。 為替レートにより悲喜が分かれますね。 100円が750ウォン程度する時に私も日本のダイソーであれこれ買って韓国に戻りました。

国際市場のあの雰囲気は本当にいいですね。日本の食品も売っているのは気付きませんでした。関釜フェリーで担ぎ屋のおばさんたちが運んでくるのでしょうか。
宝水洞の書店街は、本当に面白いところを教えていただいて感謝しています。釜山は意外なところに意外な風景があって、なかなか奥が深いところですね。
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