ドニチエコきっぷで名古屋を巡る

昨日は高校時代の友人4人(みるくさん、LLPさんほか)と久しぶりに会った。

今春から名古屋を離れる人もいるので、せっかくだから名古屋市内の各所を巡ってみようという話になり、名古屋市交通局のドニチエコきっぷ(地下鉄・市バスの全線が600円で1日乗り放題のきっぷ、土・日と毎月8日に限り有効)を利用することになった。
「近況報告」カテゴリにしようかとも迷ったが、地元にいながら旅行的な非日常を楽しむことができたので、あえて「旅行記」とすることにした。

待ち合わせの場所はいりなか駅だったのだが、私は隣の八事駅で降り、参道坂(国道153号)を歩いて行くことにした。以前に八事を歩いたとき、時間の都合で行くことができなかった八事地区の西部を散策するためだ。

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国道153号を西へ進み、隼人池のあたりから先は杁中商店街となる。ここも八事エリアから連なる学生街だが、大学生が中心の八事に対してこちらは中高生が中心なので、建ち並ぶ店舗も対象年齢層が若干低めだ。
この国道の裏手には旧道も通っており、かつてはそちらが中心街だったような雰囲気だが、現在はやや衰退気味だ。
ちなみに杁中は「いりなか」と読むが、難読地名のため、地下鉄の駅名は平仮名表記で「いりなか駅」となっている。この「」という漢字、愛知県の地名と人名(姓)ではときどき見かけるのだが、愛知県外では見たことがない。ある意味、地域限定文字である。どういう経緯があるのか分からないが、不思議なものである。

さて、いりなか駅で友人らと合流し、そこから徒歩でマウンテンという喫茶店に向かった。
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この「マウンテン」という店については詳しすぎるくらい詳しく紹介されているサイトがいくらでもあるので、ここでは説明を割愛させていただく。とにかく、名古屋を訪れるなら一度は話のタネに行ってみるべき迷店である。
私は数年前にも何度か来たことがある。当時の店内のレイアウトははっきり言ってカオスだったのだが、耐震工事をしたせいか、いつの間にかごく普通の喫茶店になってしまっている。が、メニューは相変わらずぶっ飛んでいる。
あまりに有名な甘口抹茶小倉スパゲティのほか、あつげしょう」「大人のお子様ランチ」「妹のラムネ」「大人のラムネなどといった、どう解釈すべきか理解に苦しむメニューがずらりと並んでいる。
最近は全国ネットのマスコミでもよく取り上げられるようになり、名古屋の人はこんな変なものばかり食べているという偏見が広まりそうで、ちょっと心配である。

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で、注文して出てきたのは、手前から焼きスパサーモンスパえびピラフスペシャルピカンテピラフミートスパゲティ。マウンテンらしからぬ、いかにも普通のメニューばかりである。
いや、よくよく考えれば、焼きスパとかピカンテとか出てくる時点であまり普通でもないのだが、マウンテンの場合はこれが全然普通に思えてしまう。
ピカンテピラフは「激辛」ということになっていて、他の人たちはヒーヒー言いながら食べていたのだが、私にはそれほど辛く感じられなかった。先月韓国で激辛料理を食べまくって、味覚が麻痺してしまったのだろうか。
ちなみにこれら全て、値段は700円前後。他のメニューもほとんどが1,000円以内だ。お財布には優しいが、体には優しくない。

ボリュームのあり過ぎる昼食を食べ終え、今度は名城線の八事日赤駅へ。マウンテンはいりなか駅と八事日赤駅のちょうど中間あたりに位置しているため、どちらの駅を利用しても便利だ。

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▲いりなかと八事日赤を結ぶ通り。新しくお洒落な建物と、昔ながらの商店が混在している。この道は学部時代にもよく歩いたし、最近はバスでもときどき通るので、個人的に馴染みが深い。

八事日赤駅から名城線左回りで自由ヶ丘駅へ。自由ヶ丘駅から400mほど歩いて、自由ヶ丘三丁目バス停に向かい、そこから基幹バスに乗った。いかにも物好きなルートである。
基幹バスというのは、道路の中央に設けられたバスレーンを走行するバスのことで、路面電車のホームのような屋根付きのバス停が道路の中央に設置されている。本数も多く、交通渋滞の影響も受けにくいことから非常に便利で、利用者も多い。全国でも他に例のない、画期的なシステムである。

さて、基幹バスの白壁バス停で降り、白壁・主税・橦木町並み保存地区にやって来た。ここは、白壁町(しらかべちょう)・主税町(ちからまち)・橦木町(しゅもくちょう)の3つの通りを中心とするエリアで、江戸時代は武家屋敷が連なっていたそうだ。近代に入ってからは起業家たちが暮らす高級住宅街となり、現在も趣ある邸宅が建ち並んでいる。
決してマウンテンの後に来るようなところではない。が、まあこういうのもアリだ。

まずは、橦木町筋沿いに建つ文化のみち二葉館へ。
明治時代に日本の女優第一号として名をはせた川上貞奴(かわかみさだやっこ)と、電力王と呼ばれた実業家・福澤桃介(ふくざわももすけ)が暮らしていた邸宅だ。当初はここから北西へ600mほど離れた東二葉町(現:白壁三丁目。清水口交差点の北東あたり)に建っていたため、「二葉御殿」の愛称で呼ばれていたそうだ。
入館料は200円だが、ドニチエコきっぷの提示で160円に割引される。館内では、御殿の概要や、桃介と貞奴の生い立ちなどについて、ボランティアガイドの方が丁寧に説明してくださった。上町の「名古屋言葉」(「名古屋弁」ではなく、あえてこう呼ぼう)が言葉の端々に混じる、優雅な雰囲気のおばあさまだった。

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▲1階大広間。

時は明治。まだまだ電力が普及しておらず、一般の家庭には電球が1つあるかないか、というこの時代に、二葉御殿は全ての部屋に凝った意匠の照明が設けられ、さらには庭園を照らすサーチライトまであったという。当時から残る大きな配電盤が、この御殿の先進性を物語っている。
さらに、旧事務室の前には呼鈴の親機が展示してあった。これは、どの部屋にいてもすぐに使用人を呼び出せるように、各部屋にあるスイッチを押すとベルが鳴り部屋番号が表示されるという仕組みだ。随分ハイテクなことをやっていたものである。さすがは電力王と呼ばれただけのことはある。

二葉館を後にし、橦木町筋をさらに西へ進む。

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▲橦木町2・3丁目の間、主税町3・4丁目の間を南北に貫く通り。鳥屋筋という名前があるらしい。
白壁・主税・橦木といった東西の通りに対し、南北の通りはあまり注目されていないが、このような古い長屋の建つ一角があった。ただし、実際の町名では東西の通りの町名(白壁町・主税町・橦木町)に属していたため、「鳥屋筋」というのは完全に通称の地名である。

次に、文化のみち橦木館へ。
こちらは大正から昭和にかけて陶磁器商として活躍した井元為三郎の邸宅だ。前回来たときは耐震工事のため休館中だったが、昨年の夏から再び公開が始まったようだ。こちらも入館料は200円だが、ドニチエコきっぷ提示で160円に割引される。

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見ての通り和館と洋館からなり、しっとりと落ち着いた庭園の景観もうまく調和している。二葉館と比べるとやや地味な印象ではあるが、それでも装飾や調度品の数々は非常に手が込んでいる。

展示室となっている洋館の2階に上がると、まず目に入ってきたのが、昭和9年(1934年)の名古屋市東区における輸出陶磁器関係業社の分布図。現在の赤塚交差点あたりを中心に、おびただしい数の業社が記されている。この当時、日本で生産される輸出陶磁器の約8割がこのあたり一帯で生産されていたそうだ。ここから東へ800mほど行ったところには、名古屋陶磁器会館の建物も現存している。

続いて和館の方へ。こちらは広々とした和室が連なり、かつての台所や浴室も公開されている。和館と土蔵との間にもこぢんまりとした中庭があり、外観からはわからない奥行きの深い建物であることがわかる。築80年以上経っていながらも、住宅としての魅力は衰えておらず、同行したLLPさんが「ここに住みたい」などと言い出したのも十分頷ける。
和室には、昭和8年(1933年)の名古屋市東区周辺の住宅地図が展示してあったが、やはり白壁・主税・橦木の3町だけは1軒あたりの敷地の広さが際立っていた。

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和室にあった河村たかし市長のメッセージ。河村氏は衆議院議員時代、母校の県立旭丘高校の校舎保存運動に失敗するという苦い経験をされており、4年ほど前にその顛末をうちの大学の講義で話してくださったことがある。それだけに、この言葉からは特別な思いが感じられた。

帰り際、和室にあったゲストノートにちょっとした感想と、当サイトのURLを書いて来たのだが、驚いたことに、2時間後にはもうスタッフの方がこのブログにコメントを残してくださった。この度はどうもありがとうございました。ぜひまた遊びに行きます。

橦木館を後にし、今度は橦木町筋の北側を並行する主税町筋と、そのさらに北側を通る白壁町筋を散策してみた。

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主税町筋
電線が地中化されるなど、景観の配慮はなされているのだが、真新しいマンションやオフィスも目立つ。この通り沿いにも旧豊田佐助邸、旧春田鉄次郎邸、堀美術館など見どころが多いのだが、時間の都合上、今回はパスすることに。

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白壁町筋
現在は、出来町通り(基幹バスの走る通り)を含む広いエリアが全て「白壁」という地名になっているが、元々は出来町通りの1本南のこの通りだけが「白壁町」という地名だった。武家屋敷の名残を最も強く留めている界隈である。

国道41号(空港線)を西側に渡り、名古屋市市政資料館へ。
1922年に当時の名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所の庁舎として建設され、1979年までこの地方の司法の中心を担い続けてきた建物だ。1984年に国の重要文化財に指定され、1989年から市政資料館として公開されている。ここも外から建物を眺めたことはあるのだが、中に入るのは初めてだ。入館料はなんと無料。

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▲ネオ・バロック様式の館内は荘厳な雰囲気。

名前からもわかる通り、名古屋市の市政に関する資料を中心に展示されているのだが、もともと控訴院として使われていた建物なので、司法に関する展示も多い。地下には留置場も残っていて、不気味で独特な雰囲気がよかった。
建物自体の価値もさることながら、非常に興味深い展示が多く、これらが全て無料で観覧できるというのは本当に太っ腹な話である。アピールが下手なのか、名古屋市民でさえ知らない人が多いが、これはぜひ訪れるべきである。
今月いっぱいは開館20周年記念事業として、開府三百年紀念祭や世界デザイン博に関する展示、また市政資料館をモチーフとした市民絵画の展覧会などが行われていた。ただ、閉館時間が迫っていたので、ゆっくりと見学できなかったのが残念。

▼見学を終えた頃にはもう日が暮れ、建物がライトアップされていた。
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名古屋という街は、都市規模に比して魅力ある観光地が少ないと言われるが、じっくりと歩いてみればこんなに面白いところがたくさんある。今回訪れたエリア以外にも、徳川美術館や徳川園、産業技術記念館、ノリタケの森など、見どころは多い。そして、これらのスポットを巡る「メーグル」という観光ルートバスも運行されているので、ぜひ利用されてみてはいかがだろうか。


さて、この後は5人でボウリングをしようということになり、清水口から市バスで丸田町まで移動し、スポルト名古屋へ。久々に爽快な気分を味わうことが出来た。ちなみに結果は…ノーコメントということで。でも、2ゲームでストライク2本、スペア1本出しましたよ。

体を動かし、ちょうどお腹が空いたところで、今度はサッポロビールのビアレストラン「浩養園」で新年会。

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新春限定1,200円で90分しゃぶしゃぶ食べ放題、さらにビール1杯無料、というクーポン券を友人が持ってきてくれた。たくさんあった肉も、5人もいればあっという間に無くなり、さらに追加注文。野菜も充実していて、もう大満足だ。
そして、〆にはやはりうどん。肉と野菜、そして昆布の出汁が出たつゆに、塩とブラックペッパーを加えて出来上がり。これはお勧めである。ただ、塩・胡椒の入れすぎにはご注意を・・・


その後、鶴舞駅から地下鉄に乗り、なぜかその場のノリで桜山へ。
桜山はつい先月まっちの街歩きで公開を始めたばかりだが、何度来ても楽しい街だ。

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夜のボンボンセンター。こんな時間に来たのは初めてだ。

そして、桜山駅から終電ぎりぎりで帰宅。

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▲桜山駅構内で。いったい誰が、何のために。

というわけで、楽しく充実した一日でした。皆さんお疲れさまでした。


総決算

 金山→八事(地下鉄):260円
 八事日赤→自由ヶ丘(地下鉄):230円
 自由ヶ丘三丁目→白壁(バス):200円
 清水口→丸田町(バス):200円
 鶴舞→桜山(地下鉄):230円
 桜山→名古屋(地下鉄):260円   
 計             1,380円

→ドニチエコきっぷ使用により780円お得に。さらに二葉館と橦木館の入館割引で80円お得に。


さて、後回しになってしまっている韓国旅行記をそろそろ書かなければ。。
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Comment

一緒に付き合ってくれた皆様、楽しい新年会をありがとうございました。
いろいろ盛りだくさんで確かに日記にまとめづらい組み合わせだったかもしれないですね(笑)まぁ、それでも心と体が満たされたということで。
それにしても同じところに行くといかにまっちさんの写真の取り方が上手いかがよくわかります。なるべく全体像を捉えるような写し方をするとわかりやすいんですね。勉強になります。
ちなみに韓国旅行記もそうですが、東京旅行記の最終回吉祥寺編が残っております。

いろいろと企画してくださったLLPさんにはこちらこそ感謝です。
全体像を捉えるような撮り方は、多分私の癖です。どうしても理屈っぽくなってしまうんですよね。たまにはもうちょっと独創的な写真も撮ってみたいです。
ちなみに東京旅行記なんですが、吉祥寺が最終回ではなく、あと一日残っているんで、一体いつ終わるのやら・・・まあ気長にお付き合いください。

これ、昨日見ていれば。。。

こんにちは。
まっちさんのブログ楽しく拝見させて頂いております。ありがとうございます。

実は、今仕事で名古屋に来ています。
そして、今日一日Offでしたので、ドニチエコきっぷを買っていろいろと名古屋を散策してきました。
が、あまり計画性もないうえ、知人も名古屋にはいませんので、適当にぶらぶら迷子になりつつ歩きまわりました。
昨日の夜の時点で、まっちさんのこのページを見ていれば、もっと楽しめたのになああと。
マウンテン、行ってみたくなりました。笑

>ayukoさん

名古屋にいらしてたんですね。どのあたりを回られたんでしょうか?
ドニチエコきっぷはうまく活用すれば本当に便利ですよね。ここで紹介している以外にも見どころはたくさんありますので、ぜひまたお越しください。
マウンテンは、体調を万全にして行かないと「遭難」する恐れがあるのでご注意を…笑
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