八事八つの坂の街

今日は午後からしばらく空いていたので、名古屋市南東部の八事(やごと)という街を散策してみることにした。

日が短いこの季節、短時間で手頃に回れるのはどこだろう、と考えていたところ、数日前にこじろうさんという方が掲示板に書き込んでくださった内容を思い出した。こじろうさんは八事の大学に通っていらっしゃったそうだ。

八事というのは、戦前は行楽地・別荘地、戦後は新興住宅地として発展したところ。現在は大学が多数立地し、学生街としての雰囲気も強い。私の大学からもほど近く、通学ルートの途中なので何度も訪れたことがあり、個人的にとても馴染み深い街だ。
もともと山だったところを切り開いてできた街なので、坂道が多いのがこの街の特徴だ。特に、八事交差点を中心に放射状に伸びている坂道には、市や商店街振興組合によって愛称が付けられ、「八事八つの坂の街」としてアピールされているようだ。

八事八つの坂の街

八事地域の商業は、概ねこの8つの坂道に沿って展開している。ということで、これらの坂道を順に巡ってみることにした。


■山手坂
山手坂
山手坂は八事交差点から北へ伸び、八事日赤・名古屋大学方面に続く坂道。通称「山手通り」のことだ。八事エリアの中では、国道153号(参道坂)に次いで賑わっている、第二のメインストリートといえる。
沿道には中京大学、南山大学、名古屋大学と3つの大学があるため、学生向けのお店が目立つ。また、この真下には2004年に地下鉄名城線が開通し、特に八事日赤駅周辺では雨後の竹の子のようにマンションが増加した。

山手坂
八事交差点から北を眺めたところ。奥に見える巨大な建物は、今や八事のランドマークとなっている中京大学名古屋キャンパス
余談だが、交差点の北東の角、ECCの看板の下に、いつの間にか讃岐うどんの店「名古屋八事麺通団」なるものが出来ていてびっくりした。海部郡美和町にある「名古屋麺通団」は家から近いので何度か行ったことがあるが、こんなところにも出来ていたとは。私は讃岐うどんの味に関してはかなりうるさいのだが、名古屋麺通団はなかなかのものを出している。この八事の店もいつか行ってみようと思う。


■参道坂
参道坂
参道坂は、八事交差点から西に伸びる国道153号(飯田街道)のこと。興正寺の参道にあたることから名付けられたのだろう。こちらの道路の下には地下鉄鶴舞線が通っている。

参道坂
八事交差点付近の歩道の様子。この奥にはジャスコシティ八事があり、八事エリアの中でも特に人通りの多いところだ。

興正寺の五重塔
参道坂の名の由来となった、八事山興正寺の五重塔。1808年の建立で、愛知県内に現存する五重塔の中では最も古く、国の重要文化財に指定されている。
ちょうど紅葉のシーズンで、境内のあちこちが真っ赤に染まっていた。11月27日から12月6日までの間、17時から20時まで紅葉のライトアップが実施されているそうだ。


■石屋坂
石屋坂
石屋坂は、参道坂とは反対方向に、八事交差点から東に伸びる国道153号(飯田街道)のこと。この裏手に八事霊園があり、石材店が並んでいることから名付けられたのだろう。
写真は八事交差点から東を眺めたところだが、左側の4車線の道路が石屋坂で、右側の2車線の道路は後述の塩釜坂である。

石屋坂
この通り沿いは繁華街というよりは住宅街で、マンションが多い。
奥に見える大きな建物は名城大学八事キャンパス(薬学部)。ここからさらに東へ進んだ塩釜口駅の近くには天白キャンパスもあり、大学生の往来が多い。


■塩釜坂
塩釜坂
塩釜坂は八事交差点から八事裏山交差点まで、国道153号のすぐ南を並行している道。国道153号、つまり石屋坂の旧道にあたる。塩竃神社の方に続くことから名付けられたのだろう。
旧道なので人通りは少なく、ひっそりとしているが、ところどころに個性的なお店がある。写真の右下にもお洒落なカフェのようなお店が見える。店先に置いてある白い看板を見てみると・・・

ルナール
なんじゃこりゃ。
日本語に訳すと、「おいしい野菜料理 ルナール 火曜定休日 長期休日」と書いてある。まるでソウルの仁寺洞か三清洞のあたりに迷い込んだみたいだ。
調べてみたら、どうやら韓国創作料理のカフェなんだそうだ。いかにも韓国韓国した感じではなく、ごく普通のカフェのように見えるが、どんな料理があるんだろう。いつか行ってみよう。

塩釜坂
塩釜坂をさらに東に進むと、やがて石屋坂に合流する。急勾配になっていて見晴らしがよい。
今日は空気が澄んでいて遠くがよく見わたせるが、こういう日は、街並みの写真を撮ると陰影が強く出過ぎるという悩みがある。白飛びと黒潰れはデジカメの宿命のようなものだが、何か良い方法はないものだろうか。


■雲雀坂
雲雀坂
雲雀坂は、八事交差点から南西へ、雲雀ヶ岡(ひばりがおか)方面に伸びる坂道。
この一帯は八事エリアの中でも特に高級なイメージが強いところ。お洒落なレストランやカフェ、ブティック、輸入家具店、アンティークショップなどが点在し、路地を一歩奥に入れば豪邸が建ち並んでいる。まさに名古屋のビバリーヒルズだ。と思ったら・・・

ヒバリーヒルズ
ヒバリーヒルズ。なんてベタな。
何かのお店の名前?とも思ったが、どうやら商店街の愛称のようだ。


■音聞坂
音聞坂
音聞坂は、八事交差点のすぐ南で雲雀坂と分かれて南東へ、音聞山(おとききやま)方面に続く坂道。音聞山という地名は、緑区の鳴海方面(昔は海だった)から波の音が聞こえてきたことに由来すると言われ、「音に聞く 音聞山の峰高み ひびく鳴海の 沖つしら浪」と詠まれている。風流な地名だ。
こちらもやはり高級住宅街で、通り沿いには高級スーパーとして知られるフランテがある。

■天道坂
天道坂
天道坂は、雲雀坂と音聞坂の間にさらに分かれて南に伸びる坂道。通り沿いに天道山高照寺があることから名付けられたようだ。
この通り沿いは新興住宅地の八事では珍しく、古い建物がところどころに残っている。特に、写真の左端に写っている、「旅館」という表札の掛かった建物が気になった。今でも営業しているのだろうか。

高照寺
天道坂の名前の由来となった天道山高照寺。幼稚園が併設されていて、園児たちの声が賑やかだった。
このとき気付いたが、八事には興正寺と高照寺、2つの「こうしょうじ」があるということか。


■大学坂
大学坂
そして最後に大学坂。山手坂と参道坂の間を短絡するように伸びる短い坂道で、8つの坂道の中では少し浮いた存在だ。ネタ切れしたから無理やり8つにするために追加したのだろうか。
それでも、通り沿いにはさまざまなお店が密集していて、名前の通り中京大学のすぐ横を通っているため、特に学生向けの飲食店が多い。八事エリアの中では唯一路地裏的な雰囲気が楽しめるところだ。


以上、それぞれに個性があってなかなか楽しい坂道巡りだった。名古屋はだだっ広くて変化のない街並みが多いとよく言われるが、そんな中で八事の街並みは、傾斜によってアクセントが加わり、ダイナミックな景観になっている。
気になるお店も何軒か見つかったことだし、ぜひ今後また訪れてみたい。

参考:八事商店街振興組合ホームページ「八事ネット」
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Comment

地元のご紹介ありがとうございます。自転車で遠出をするときの最大の難所が八事です。まずは山手坂。車校のコースになっていて初めて車で走った道です。夜でしたがいきなり70kmを出しブレーキを踏まれてしましました。そうそういつの間にか「みやもとむなし」から「名古屋麺通団」に変わっていたんですよね。よく行く会社の近くに丸亀製麺があるので時々行きますが、こちらの方が本場に近そうですね。参道坂は写真にもある東寿司に始まり、札幌かに本家、八勝館、しゃぶしゃぶの木曽路と続くため勝手にグルメロードだと思っています。石屋坂は薬学部あたりまでを言うのでしょうが、私にとってはそこからがお楽しみです。塩釜口駅まで長い下り坂が続くので車道の端っこを自転車で疾走するのが相当な快感であります。塩釜坂は大学から家まで歩いた時に一度通ったことがありますが、よく見るといろいろなお店があるんですね。白飛びと黒潰れは確かに気になりますよね。スカイタワーから写真を撮った時はかなりひどかったし、一応デジカメも持ってるのでこれからは持ち歩こうかな。でも、ブログの写真はきれいに撮れてると思いますよ。雲雀坂、音聞坂はいわゆる山の手って感じですね。通勤には不都合であるが、リッチなお方は通勤電車などには乗らないのでしょう。天道坂には2つ目の「こうしょうじ」があったんですね。これは全然知りませんでした。大学坂はかつては中京大学生のショートカットコースでしたが、いまでは地下鉄直通になってしまっているので出口を間違えた受験生しか通らないかもしれないですね。

あの辺は自転車では本当にきついですよね。特に山手坂はアップダウンの繰り返しなのでうんざりします。
あ、そういえば「みやもとむなし」でしたね!前は何だったっけ、と思っていました。みやもとむなしもなかなか良かったんですが。
そもそも麺通団というのは、香川県内のあらゆるお店のうどんを食べ歩いて批評しているグループのことで、讃岐うどんブームの火付け役となった「恐るべきさぬきうどん」を執筆したのも彼らなんですが、最近になって店舗のプロデュースも始めたようです。初めて見たときは「あの麺通団がとうとう自分たちの店を始めたか」と驚いたもんです。
参道坂は確かに飲食店が多いですね。鶴舞線(さらにその前は市電)の駅前なので一番先に開けてきたのでしょう。
大学坂は、鶴舞線しかなかった頃はちょうどいいショートカットコースだったんですね。それでこんな狭い路地にもお店が多いと。納得です。ということは、名城線が開通する前はもっと賑やかだったんでしょうね。
で、出口を間違えた受験生は、こんな見知らぬ路地には入って行かないと思います(笑)

こんばんは!八事を訪れていただき、しかも周辺の風景や坂の様子までお写真にしていただきありがとうございます!大学生の時に自転車で坂を走り回ったこと、八事霊園のなかで迷ったことなど想いだしました・・・。街の雰囲気はあまり変わっていないですが、やはりすごい栄えようです。麺通団のお店が名古屋のそれも八事にできたとは・・・。一度訪れてみたいものです。以前そのビルはコンビニがあったかも?と記憶していますが。(^_^;)大学から奥のグラウンドまで興正寺を抜けて通ったことなども懐かしいです。さすがに飲食店は入れ替わってますね。東寿司やかに本家はご健在ですけど。
大学坂って面白いです(^_^)

こじろうさん、こんばんは。懐かしくご覧いただけたようで何よりです。
八事は私自身、何度も訪れていながら知らないところも多かったので、なかなか新鮮な光景でした。
今回の記事で使用しなかった写真も含め、いずれは本サイトの方で本格的に公開しようと思います。
興正寺の境内は中京大学への近道になっているようで、学生さんたちの姿をたくさん見かけましたよ。
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