2013夏・韓国【3】 世界遺産・慶州の仏国寺、石窟庵、そして大邱へ

DSC00410RS.jpg
 ▲韓国屈指の古刹、仏国寺(プルグクサ)で。
手前に見える泛影楼(ポミョンル)と、奥に見える紫霞門(チャハムン)の連なる姿が見事。

前回の記事から続く、韓国旅行シリーズの第3回。
2日目となる7月26日(金)の午後は、慶州郊外にある世界遺産の仏国寺(プルグクサ)にやって来た。ここもまた3年半前に来たことがあるが、そのときの記事にも記した通り、韓国では修学旅行先の定番として知られるメジャースポットである。
さらに、この仏国寺の奥には石窟庵(ソックラム)というもう一つの大きな見どころがある。ただ、仏国寺から片道7.5kmの山道を登った先にあり、前回の訪問時は時間が無くて断念したのだ。ぜひ今回こそは行ってみたかったのだのだが…。
DSC00360RS.jpg
 ▲さて、仏国寺参拝の前に、まずは仏国寺郵便局にちょっと寄り道。
ここでまた1000ウォン貯金をする。旅館やら飲食店やらが建ち並ぶ、仏国寺の門前町(という概念が韓国にあるのかどうか知らないが)のようなところにある。日本でも有名な観光地の郵便局は、周囲の景観に合わせて伝統建築を模したデザインになっていることが多いが、韓国でも同じなのだろう。
ただ、内部はごく普通の郵便局。さすがに記念切手くらいは売っているだろうと思ったが、局員さんに尋ねてもそれらしきものは無く、仕方なく景福宮のイラストが入った普通の切手を購入した。仏国寺の入口から300mほども離れているし、観光のついでにこんなところに寄る人はよほどの物好きということだろう。

DSC00417RS.jpg
 ▲そしていよいよ仏国寺の境内へ。まずは紫霞門(チャハムン)から。
大雄殿を中心とする彼岸世界への入口にあたる門で、その下には青雲橋(チョンウンギョ)・白雲橋(ペグンギョ)と呼ばれる階段が付いている。階段でありながら「橋」と名が付いているのは、俗世と仏国土との架け橋という意味があるそうだ。
文化財保護のため、現在はこの階段を上り下りすることは出来ず、左右に設けられた坂道を迂回することになる。

DSC00379RS.jpg
 ▲紫霞門(チャハムン)の扁額。鮮やかな丹青の色、そして龍の顔がダイナミック。

DSC00411RS.jpg
 ▲続いて、紫霞門の左手に位置する安養門(アニャンムン)
こちらは極楽殿を中心とする極楽世界への入口にあたる門で、やはり蓮華橋(ヨンファギョ)・七宝橋(チルボギョ)と呼ばれる階段がある。平日なのでそれほど混んでおらず、ゆっくりと写真が撮れるのが有り難い。

DSC00380RS.jpg
 ▲大雄殿(テウンジョン)の多宝塔。8世紀の創建当時のままの姿が残る。
下部から四角形、八角形、円と変化していくその形態は、新羅時代の石塔としては非常に斬新なものと言われる。前回来たときは解体修理工事のため見られなかったが、2009年末に完工したようだ。その代わり、前回見ることができた三層石塔(釈迦塔)の方が補修工事中だった(2014年完工予定)。

この仏国寺では、幸運なことにボランティアガイドの方が付きっきりで細かく説明してくださった。最後に慶州観光についての簡単なアンケートに答えたところ、旅行用の歯ブラシセットまでくださった。海外の観光地で出くわすガイドは非常に胡散臭いことが多いが、この方はそういうところが無く、本当に善意で案内してくれていると感じた。世の中捨てたもんじゃない。

DSC00383RS.jpg
 ▲大雄殿の裏手に建つ無説殿(ムソルジョン)
ここは華厳経の講義を行う、学校のようなところ。言葉や文字を使って講義を行う場所なのに「無説」と称しているのは一見不自然な感じがするが、これは仏教の奥深い真理が、言葉や文字という手段では到達できない「言語道断」の境地だということを表現しているのだという。哲学的だ。

DSC00388RS.jpg
 ▲無説殿のさらに裏手に位置する、毘盧殿(ピロジョン)へ。
ここには毘盧遮那仏(ピロジャナブル)座像が安置されている。華厳経の本尊である毘盧遮那仏は、実は奈良・東大寺の大仏と同じ仏様だ。

さて、ここらでそろそろ仏国寺ともお別れし、次に目指すは石窟庵。ただ、時刻はもう16時半。仏国寺の入口からシャトルバスが出ているものの、18時58分の列車までに新慶州駅に戻らなければならず、時間的にちょっと厳しい。タクシーで往復して、そのまま新慶州駅に直行できれば理想なのだが、合計30km近い道のりになるのでかなり高額になりそうだ。
どうしようかと悩んでいたら、先ほどのボランティアガイドさんがタクシー会社に電話して交渉してくださった。しかもわざわざ値切ってくださり、仏国寺-石窟庵-新慶州駅で45,000ウォン(約4,200円)で交渉成立。仏国寺だけに、仏様に救われたような気分だ。

ということで、仏国寺の前からタクシーに乗り、つづら折りの峠道を延々と登って石窟庵の駐車場へ。優しくて感じの良い運転手さんが「18時に駐車場に戻ってきてね」と韓国語・英語混じりで告げる。
そして駐車場からは徒歩でさらに1kmほど散策路を歩く。急斜面につくられた散策路だが、ゆるやかな下りと上りが繰り返すのみで歩きやすい。夕暮れ近く、暑さも和らいできて、疲れているはずなのに妙に穏やかな気分だ。

DSC00468RS.jpg
 ▲やがて吐含山(トハムサン)の中腹に石窟庵が見えてきた。
ここ石窟庵は、花崗岩を削って建てられた人工石窟寺院。新羅時代の751年に、当時の宰相であった金大城(キム・デソン)により仏国寺とともに創建されたもの。金大城は現世の父母のために仏国寺を建て、前世の父母のために石窟庵を建てたのだという。

DSC00465RS.jpg
 ▲境内にあったカラフルな提灯。韓国ではよく見かける光景だ。

DSC00460RS.jpg
 ▲その奥には、奉納された瓦がずらりと並んでいた。
中国語、日本語、英語、ロシア語、ヘブライ語などなど。世界中から参拝者がいるようだ。

DSC00440RS.jpg
 ▲参道の途中には、このような石材があちこちに並べられている。
これは、日本統治時代に行われた修復工事の際に余った石材だ。三度にわたって行われた修復工事では石材がでたらめに組み合わされ、またセメントを多用したため石窟内に湿気がたまり、文化財に悪影響を与えているという。結果的に、現在は人工的な換気が余儀なくされ、石窟もガラスで覆われてしまっている。なんとも皮肉な話。

seokguram.jpg
 ▲そして、本尊の釈迦如来座像と対面(撮影禁止なのでパンフレットから転載)。
花崗岩から彫り上げられた本尊仏は白く輝き、まるで後光が差しているよう。そして、おでこにはめられた宝石は朝日を受けて輝くのだという。どうせなら朝に来てみたかった…。

これにて石窟庵とはお別れ。18時ちょうどに駐車場に戻り、待っていてくれたタクシーで新慶州駅へ。時間に余裕があったので、途中、仏国寺駅の近くにある「九政里方形墳」の前でわざわざ停まってくれた。その後は渋滞を避けて抜け道を疾走し、石窟庵からわずか40分で新慶州駅に到着した。

帰りの列車まで少し時間があったので、駅構内の売店で「皇南パン」というこしあんの饅頭を購入。日本で言うところの「赤福」のような、定番中の定番土産である。前回慶州を訪れたときにも買ったこのお菓子、ほのかな甘さが無性に懐かしかった。

DSC00490RS.jpg
 ▲夕方の新慶州駅。ほど良く混み合っている。観光客だけでなく、仕事や里帰りらしき人の姿も。

ただ、ここでちょっとしたハプニングが。この日の朝に荷物を預けたはずのコインロッカーがどこにも見当たらないのだ。実は、コンコースから乗り場へのエスカレータはソウル寄りと釜山寄りの2ヶ所にあり、コインロッカーがあるのはソウル寄りの方だけだったというオチ。見当たらなかったのは、指定席が釜山寄りの車両だったからだ。列車の発車まであと5分というタイミングだったので随分肝を冷やした。

DSC00491RS.jpg
 ▲無事乗ることができた、18時58分発のKTX170列車(幸信行き)。混んでいてほぼ満席。

目的地の東大邱(トンデグ)駅には20分弱で到着した。ここは慶州から50kmほど離れた韓国第三の都市、大邱(テグ)。この街に来るのも2009年12月以来、二度目である。東大邱駅前は工事中のようで殺風景になっていたが、3年半ぶりの風景に懐かしさを覚えた。

ここから地下鉄を乗り継いでパンゴゲという駅で降り、駅前にあるホテルにチェックイン。しばらく休憩した後、夕食のためホテルの周辺をぶらついてみた。ところがこのパンゴゲというのが、都心と住宅街の境目に位置する寂れた下町のようなところで、大した飲食店も見当たらない。

DSC00496RS.jpg
 ▲パンゴゲ駅の近くには西大邱市場(ソデグシジャン)という商店街があった。
正面には近代的な大邱タワーがそびえ立つものの、何だか寂しいところ。時間が時間だけに、居酒屋は開いているが、普通の飲食店はもう閉まりかけのようだ。大邱の名物という「マクチャン」(直腸)の店も多いが、ちょっと抵抗があるのと、あまり今日はホルモンという気分ではない。

もうコンビニ弁当でも買って帰るか、と諦めかけていたら、小さな粉食店が1軒開いているのに気付いた。「ヌリ粉食(누리분식)」という古びたお店だ。もう片付け始めているようだったが、店のおばさんに尋ねると「まだ大丈夫だよ」とのこと。

DSC00498RS.jpg
 ▲ほっと一安心し、1杯4,000ウォンのピビンパをいただく。
観光客、それも外国人が来ることは滅多に無さそうな、地方都市の寂れた商店街の小さな大衆食堂。当然ながらメニューは韓国語のみ。決して豪華ではないが、何だかとても美味しいピビンパだった。チャルモゴッスミダ(ごちそうさま)!

DSC00500RS.jpg
 ▲食堂の近くにはマートプライム西大邱店というスーパーがあったので、ここでちょっと買い物。
マートプライムというのは大邱のローカルスーパーのようだ。これまた観光客は来ることが無さそうな、ごく普通のお店。ただ、五味子茶やらキムパプ用の海苔やら、日本ではなかなか手に入らないものがあったので、2万ウォンほども買い込んでしまった。

DSC00501RS1.jpg  DSC00501RS2.jpg
 ▲このときのレシート(左)と、それを私が勝手に日本語に翻訳したもの(右)。

これにて韓国旅行の二日目は終わり。何だか盛りだくさんで、どっと疲れた一日だった。
ちなみにこの日の宿所はクリスタル観光ホテル。設備がやや古びているものの、地下鉄パンゴケ駅の目の前にあって利便性が高く、Wi-Fiもサクサク繋がるので快適だった。

さて、この翌日は一日かけて韓国第三の都市・大邱を満喫します。
(続く)
関連記事

Comment

海外で観光客に好意を持って接近する人々を警戒することになる心よく分かります。 最近ヨーロッパ各国を旅行しながらたくさん注意を受けましたよ。 それでもこの件はボランティアメンバーの好意というものが幸いです。

この頃ソウルでも北村韓屋村(ハノク マウル)のような観光客が多い所に行けば制服を着たボランティアメンバーが歩き回っているが有名観光地にはそのような形でボランティアメンバーが配置されているかもしれないでしょうね。 タクシー交渉も本当に幸いなことです。 日本語は流ちょうだったかでしょうか。。。

列車の時間合わせる件はかなりきわどく見えました。 いっそ前売りをしないで駅に到着して発券するのが良くならなかったでしょう...

皇南パンはソウルでも主な駅でも'慶州パン'という名前で似ていたことを売っています。 だが、元祖の店について行くことができませんよ。 クルミ菓子もそうで似た味を出しにくくないと思うが援助ほどの味が出ないというのはミステリーですね。

>Tabiperoさん

仏国寺のボランティアガイドさんは日本語が非常に流ちょうな方でした。
もちろん、仏教に関する知識も豊富で、とても勉強になりましたよ。
タクシーの運転手さんは日本語が分からない方でしたが、特に不便はありませんでした。

そして帰りのKTXは、あくまで予定していたというだけで、切符はその場で買いました。
万が一乗り遅れたら、ということもありますからね。

「慶州パン」、本当にどこでも見掛けますよね。
ソウルでも買えるとは、ちょっと有り難みが半減しそうですが…。
日本の「赤福」も、本来は伊勢の名物ですが、名古屋でも大阪でも売っているので、似たようなものでしょう。
Comment Form
公開設定

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。