【瀬戸内国際芸術祭の旅・5】完結篇!清水と棚田の里、豊島唐櫃

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 ▲唐櫃岡から唐櫃浜に向かう、島で唯一の2車線道路・県道豊島循環線バイパス
そのまま海に突っ込んでしまいそうな、ダイナミックな光景だ。

全5回にわたってお送りしてきた瀬戸内国際芸術祭シリーズも、今回がいよいよ完結篇。
前回の記事で紹介した豊島(てしま)の家浦地区を散策した後は、島で唯一の郵便局・豊島郵便局へ。さらに、島の東部に位置する唐櫃(からと)地区を目指すべく、島内を循環する豊島シャトルバスに乗った。
運賃200円均一の小さなマイクロバスだが、さすが芸術祭期間だけあって観光客が多く、途中には「森万里子作品前」なんていうバス停も。また、運転手さんが「カメラ持っとる人は用意しといてな」とわざわざ気を利かせ、豊島美術館を見渡せる展望スポットでしばらく停車してくださった。
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 ▲そんなのどかなバスに揺られること15分、「清水前」バス停で下車した。
「唐櫃岡」の集落の入口に位置するこのバス停、海を見下ろす丘にぽつんと立つ姿が何とも魅力的だ。遠くには本州(岡山市東区方面)の陸地も見える。

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 ▲まずは、バス停の名前にもなっている「唐櫃の清水」にお参りしよう。
弘法大師・空海によって掘られたとの伝説がある湧き水だ。伝説の真偽はともかく、この水のおかげで、豊島は雨の少ない瀬戸内にありながら渇水に悩まされることもなく、文字通り昔から豊かな島だったのだという。ひな壇のようになった水場は、上段が飲用、下段が洗濯用と分かれていたようだ。

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 ▲その「唐櫃の清水」の隣には、青木野枝氏の作品、「空の粒子」がある。
あまりに空間に溶け込んでいて、存在に気付かず通り過ぎるところだった。

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 ▲そこからゆるやかな坂道を登って行くと、唐櫃岡の集落に出る。
実はここが豊島で一番古い集落とのこと。狭い路地が入り組んだ集落の中はさすがに観光客の姿も少なく、地元の人々とのんびり会話を楽しみながら散策した。

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 ▲唐櫃岡の中心に位置する十字路。ここはちょっとした広場のようになっている。
奥に見える「廣田商店」のご主人さんが、豊島の自然やら歴史やらについて熱く語ってくださり、お手製の島の紹介文までいただいた。このご主人に限らず、豊島の人々はみな心から島を愛しているように感じられた。生まれ育った地元を誇りに思えるというのは、本当に素敵なことだ。

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 ▲唐櫃岡の集落を抜けたところには、満開の桜の木があった。
どことなく学校らしい雰囲気だと思ったが、調べてみたら1970年まで唐櫃小学校として使われていた「唐櫃自然の家」のようだ。昔からずっと島の子どもたちを見守ってきた木なんだろう。

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 ▲そして、唐櫃岡から唐櫃浜に向かう途中には、見事な唐櫃棚田がある。
この棚田も、先ほどの「唐櫃の清水」から水を引いているのだという。耕作放棄で荒れ果てていたのを、芸術祭をきっかけとして、ここ数年で復活させたようだ。

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 ▲海に面した唐櫃棚田。まだまだ整備途上といった感じだ。
稲作ができる状態に至っていない場所も多いようで、時おりヤギや牛を放牧して草を食べてもらっているんだとか。

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 ▲その棚田の向かい側には、豊島の新名所・豊島美術館がある。
ここは本当に度肝を抜かれる美術館だった。芸術って難しい。でも、人それぞれに解釈の仕方があっていいんだろう。ネタバレになってしまうので詳しく語ることは避けるが、ぜひとも先入観なしで訪れてみてほしい。

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 ▲美術館から外に出ると、これまた芸術的な空が広がっていた。
時間を忘れ、しばしぼんやりとたたずむ。

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 ▲美術館から峠道を下ると、遠くに唐櫃浜の街並みが見えた。
ここが豊島の東側の玄関口。奥に見えるのは小豆島だ。

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 ▲峠道を下りて来て、唐櫃浜の集落までやって来た。
港に近い地蔵堂の前には数軒のお店が向かい合う、ちょっとした広場があった。地元の人たちの井戸端会議が繰り広げられていそうな、温かな雰囲気漂う空間。

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 ▲そんな唐櫃浜のメインストリートを歩いていた、人懐こいキジトラの猫さん。

のんびりしているうちにすっかり日も傾き、時刻はもう17時半。名残惜しいが、島めぐりの旅はもうこれでおしまい。あとはまっすぐ家路を目指すのみだ。

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 ▲ということで、豊島・唐櫃港から、17時50分発の宇野行きフェリーに乗船。
この「フェリーてしま」は、小豆島の土庄港からやって来て、豊島の唐櫃港・家浦港に寄港してから岡山県の宇野港に向かう航路。この2日間に乗った中で一番豪華な内装の船だった。
ここから宇野まではちょうど1時間。旅の疲れからか、それとも無事に旅程をこなして帰途に就く安堵感からか、あっという間に爆睡モードに突入。

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 ▲気が付いたらもう本州に接岸していた。この日2度目、ちょうど12時間ぶりの宇野港に到着。
さらば四国、さらば瀬戸内海。また来る日まで。

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 ▲夜の宇野港に現れるミステリアスな絵。
これも芸術祭の作品の一環。荒木経惟氏の「PARADISE」という作品だ。

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 ▲そして、宇野港から歩いてすぐのところにあるJR宇野駅から、岡山行きの普通電車に乗車。
かつて広島でも乗ったこの真っ黄色の115系は、JR西日本の山陽地区ではおなじみの通称「末期色」。
さらに岡山駅から新幹線に乗り換え、名古屋駅に帰り着いたのは22時過ぎだった。長いようであっという間の2日間。何はともあれ、あれだけの強風にもかかわらず、ほぼ予定通りに島めぐりができたのが幸運だった。

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 ▲最後に、この旅で使用した切符類の数々をご覧ください。
中でも「芸術祭6島周遊乗船2日券」は、これだけたくさんの船に乗りまくって、正規運賃5950円のところ4000円。お得な切符でした。

これにて2013年春の瀬戸内国際芸術祭シリーズは終わりです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

(完)

【目次】
【瀬戸内国際芸術祭の旅・1】瀬戸大橋を望む陸続きの島、沙弥島
【瀬戸内国際芸術祭の旅・2】路地と石段と桜が満開の男木島
【瀬戸内国際芸術祭の旅・3】朝日の瀬戸内海から、芸術の島・直島へ
【瀬戸内国際芸術祭の旅・4】銅精錬で栄えた犬島から、豊島家浦へ
【瀬戸内国際芸術祭の旅・5】完結篇!清水と棚田の里、豊島唐櫃(このページ)
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