【瀬戸内国際芸術祭の旅・4】銅精錬で栄えた犬島から、豊島家浦へ

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 ▲犬島の銅精錬所跡。謎の巨大要塞に迷い込んだような、ミステリアスかつ壮大な光景が続く。

瀬戸内の島めぐりシリーズ2日目。前回の記事で紹介した直島を訪れた後は、高速艇で犬島(いぬじま)に向かった。
岡山沖に浮かぶ小さなこの島は、明治から大正にかけて銅の精錬で栄えたという歴史を持つ。最盛期には人口3000人を超えたようだが、わずか10年ほどで廃鉱となり、現在の人口はたった54人(2011年)。その後、精錬所跡は現代アートの美術館として生まれ変わっているという。
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 ▲ということで、直島発犬島行きの高速艇・サンダーバードに乗船。途中、豊島の家浦港に寄港する。
マイナーな路線で非常に小さな船だが、芸術祭の影響からか凄まじい大混雑。乗船整理券をもらっていたので乗ることは出来たのだが、タイミングが悪くて座れず、途中の家浦港まで30分ほどは立ちっぱなしとなった。早起きしていたせいか、立ちながら眠ってしまいそうだったが…。

さて、この犬島だが、過疎と高齢化にあえぐ悲惨な島という先入観とは裏腹に、港の周辺は小綺麗に整備された公園になっていた。芸術祭期間だけでなく、普段から観光客が多いのだろう。

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 ▲その公園を奥に進むと、「犬島精錬所美術館」がある。
精錬所の廃墟をそのまま美術館にしたもので、銅の精錬過程で発生する「カラミ煉瓦」が延々と敷き詰められている。入口には「これより先は遺構や自然環境をそのまま残している部分もあり、一部危険箇所を含みます。ご見学は個人の責任でお願いいたします」との注意書きが貼ってあった。

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 ▲朽ち果てたこの煙突も、犬島のシンボルとなっている。今にも崩れ落ちそうだが大丈夫なのか?

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 ▲銅の積み出し港だった場所。川のように見える狭い海峡を隔てた対岸には、沖鼓島がある。
前回の記事に登場した直島と向島のような関係で、わずか150mほどしか離れていない。こちらは無人島だが、小さな建物が1軒ぽつんと建っていた。

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 ▲精錬所跡の奥には発電所の跡があった。荘厳な建築様式がまるで教会のようだ。

さて、精錬所跡をぶらぶらと散策した後は、その西側に広がる犬島の集落に向かった。

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 ▲犬島の集落のメインストリートとおぼしき通り。
こうして見るとやっぱり離島らしい街並み。今でこそ素朴でのどかな風景だが、精錬所が稼働していた頃はさぞかし活気があったのだろう。

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 ▲庇がアーケード状に伸びた家もある。ここは島民向けの雑貨店のようだ。

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 ▲さらに奥に進むと、犬島「家プロジェクト」というアートが点在するエリアがある。
左手に見えるのは「S邸」。コンタクトレンズをモチーフにした作品なんだとか。そして奥には、花びらを散りばめたような鮮やかな作品、「A邸」も見える。

続いて、島で唯一の郵便局・備前犬島簡易郵便局にも立ち寄った。かなり年季の入った建物だが、1997年までは簡易郵便局ではなく普通の郵便局だったようで、局舎内は広々としていた。ここで、この日2局目の100円貯金。

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 ▲最後に、犬島港のすぐ近くにある在本(ありもと)商店さんで「犬島丼」をいただいた。
ゲタ(舌ビラメ)のミンチを、ゴボウやニンジンなどの野菜と一緒に甘めの出汁で炊き、汁ごとご飯にかけたというシンプルな汁かけご飯だ。これがまた何とも素朴な味わい。ゲタは骨ごとミンチにされているものの全く臭みが無く、野菜にも旨味があり、「犬島丼」というネーミングにぴったりの温かなご当地グルメだった。

ということで、2時間半ほどの犬島ツアーはここまで。続いては、直島と小豆島の中間に浮かぶ豊島(てしま)を目指した。

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 ▲犬島港から先ほどと同じ高速艇サンダーバードに乗り、豊島の家浦(いえうら)港へ。
またもや大混雑で座れず、今度は吹きさらしのデッキに立たされる羽目に。高い波を立てながら高速で進むため、船体の後部にいた人は波しぶきでびしょ濡れになっていた。

さて、豊島には13時半ごろに到着。これがこの旅行最後の島となる。
周囲約20kmと、このあたりの島の中では小豆島に次ぐ規模。集落は家浦(いえうら)、唐櫃(からと)、甲生(こお)の3つに分かれている。さらに、家浦は海岸沿いの「家浦浜」と内陸部の「家浦岡」、唐櫃も同じく「唐櫃浜」と「唐櫃岡」に分かれているようだ。

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 ▲まずは、家浦港近くの古民家を改装したカフェレストラン「イルヴェント」へ。
外観からして大変なことになっているが、内部は目眩がするような空間。これもまた、トビアス・レーベルガー氏の「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」という作品だ。何だかよく分からないまま、アート鑑賞を兼ねてしばしコーヒー休憩。

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 ▲2階から眺めた「イルヴェント」のテラス席。
ひなびた集落の中に突如現れる不思議空間。何なんだろう、これは…。

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 ▲続いて、家浦港に面した家浦浜の集落を散策。
港に近いので観光客も地元の人の姿も多く、賑やかな通りだった。

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 ▲こんな風情のある路地もある。カメラを構えたらちょうどよいタイミングで黒猫が横切っていった。

今回の記事はひとまずここまで。次回はいよいよ完結篇、豊島の東部の唐櫃(からと)地区を歩きます。
(続く)
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Comment

瀬戸内の島めぐり、毎度楽しく拝見しております。
今回紹介されている犬島は、小豆島近辺では最も興味をそそる島だと思います。
素朴な島の家並みに、今にも崩れ去りそうなレンガ建築。
渡ってみたい、撮ってみたい、と思わせる島ですね。

それにしても小さい船で大混雑ってのは大変そうですね…。
見た感じ立ち乗りなんてできなさそうな高速船ですが…。

>ねじまきさん

毎度ご覧いただきありがとうございます。
犬島は私も今回の旅行で一番楽しみにしていた島でした。
特異な景観というのもさることながら、小さい島ならではの素朴な風情も魅力的でした。
そして何より、犬島丼の味が印象的でしたね。

高速艇は、補助席を全部使ってもまだ座れないくらいの混み具合でした。
満員電車には慣れていますが、満員の船なんて初めてでしたよ。
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