雪の南信州紀行・1―坂のある素朴な宿場町 中山道・馬籠宿
2013/02/10/06:51
旅行記-岐阜

▲中山道(木曽路)の宿場町、馬籠(まごめ)。
「坂のある宿場町」として知られ、約700mにわたってこのような石畳の坂道が続く。
年明けから仕事が忙しかったり、インフルエンザにかかったりで、しばらく更新が滞っておりました。久々の更新となる今回は、正月に行ってきた南信州旅行のネタから。
愛知県の平野部ですら雪の予報が出ていた、去る1月3日。粉雪のちらつく中央道をひた走り、やって来たのは岐阜県中津川市。ここは昨年の9月にも訪れたところだが、今回は市街地からさらに13kmほど山道を分け入ったところにある馬籠宿が最初の目的地だ。
宿場町の観光地としては、名古屋近隣ではかなり有名な部類に入るところだが、何だかんだで今まで行く機会に恵まれず、意外にも今回が初めての訪問である。
ではさっそく、宿場のふもと側の入口(標高574m)から順に歩いてみることとしよう。

▲まずは宿場の南西端、馬籠バス停の前からスタート。
県道7号と交わるちょうどこの場所が宿場の京側の入口にあたり、この背後は一面の農村風景である。
ここ馬籠宿は、中山道六十九次のうち江戸側から数えて43番目の宿場町。詩人・小説家の島崎藤村の故郷としても知られ、「木曽路はすべて山の中である」の有名なフレーズで始まる小説「夜明け前」も、ここ馬籠宿を舞台にした作品である。

▲宿場をしばらく進むと、クランク状のカーブ、いわゆる「枡形」がある。
ここは左側の階段を通って、正面の水車小屋のところで直角に右に折れるのが本来の街道のルート。右側を通るなだらかな坂道は、1905年に設けられた新道だ。

▲水車小屋のところで直角にカーブし、すぐに新道と合流する。
石積みにサラサラの粉雪が積もり、まさにモノクロームの世界。幸い、雪は降ったり止んだりを繰り返している程度で、散策の支障になるほどではない。

▲枡形を過ぎると、このような馬籠宿らしい坂のある街並みが延々と続く。
昔の旅人にとっては辛い地形だったのだろうが、現代人がのんびりと散策するにはちょうど心地よく、そして情緒のある坂道だ。

▲民宿・但馬屋さんの前で。新年早々という割には観光客の姿が多いが、それでもやはり静かだ。
普段の休日は大変な混雑というから、宿場本来の落ち着いた雰囲気を楽しむなら、まさにこんな時期こそが狙い目だろう。

▲焼き栗を売る下扇屋さんの前で。煙突で暖をとる猫さん。

▲宿場のほぼ中央に位置する馬籠郵便局の前で。平日だが、正月三が日なので郵便局はお休み。

▲丸型ポストが街をじっと見つめる馬籠郵便局の前で。向かい側のせんべい屋さんは大盛況だ。

▲郵便局の近くで不思議な光景を見た。
側溝の水しぶきが、枯草の枝に付着したところからどんどん凍っていき、春雨のようになっているのだ。つららとも違うし、こういうのを何と呼ぶんだろう。

▲だいぶ坂道を登ってきたが、宿場はまだまだ続く。

▲街道沿いは賑やかだが、一歩裏手に入ると、こんなのどかな山村の原風景が広がっている。
まるで別世界に来たようだ。雪の積もった茶畑が寒々しくて美しい。

▲街道に戻り、さらに進んだところ。そろそろ宿場も終盤に近付いてきた。

▲振り返ると、島崎藤村の憧れた中津川の街が遠くにうっすらと見えた。
ちなみにここ馬籠宿は、現在は岐阜県中津川市の一部になっているが、2005年までは長野県山口村に属していた。珍しい越県合併を経験した土地なのだ。

▲そしてついに、宿場の北東端までやって来た。この陣場バス停のところで再び県道7号と交差する。
ここは宿場の江戸側の入口にあたり、左上の方には復原された高札場も見える。どこからともなく美味しそうな蕎麦のにおいが漂ってくる。ああ、信州蕎麦が食べたい。

▲最後に少しだけ足を延ばして、小牧・長久手の戦いにゆかりのある馬籠上陣場跡へ。
ここは標高653mで、スタート地点からおよそ80m登ったことになる。晴れていたらここから恵那山が一望できるようだ。
馬籠宿の散策はここらで終わり。駐車場に戻り、次は隣の妻籠(つまご)宿を目指すことにした。
ところが、この馬籠と妻籠の間には標高801mの馬籠峠がある。悪路ではないのだが、あいにくの天候。峠に近付くにつれてどんどん積雪が激しくなってきた。路面は完全に凍結し、おまけにかなりの急坂。これは恐ろしい。普通タイヤならまず無理だっただろう。対向車がほとんど来ないのがせめてもの救いだ。

▲やっとの思いで馬籠峠の頂上に到達。
ここを越えると、岐阜県中津川市から長野県南木曽町(なぎそまち)に入る。

▲峠の頂上はこんなところ。この近くには正岡子規の句碑も建っている。
ということで次回の記事では、峠を下りた先にある妻籠宿を紹介します。
(続く)
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