熱気に満ちた真夏の香港へ―最終回!地下鉄&トラム・乗り鉄篇

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 ▲香港島の中心街を東西に貫くメインストリート、英皇道(King's Road)
密集感溢れる街並みの中を、2階建てのバスと2階建てのトラム(路面電車)がひっきりなしに往来する。北角(North Point)駅付近で。

前回の記事から続く香港旅行シリーズ、今回はいよいよ最終回。
3日目のこの日は、朝早くから地下鉄(MTR)を乗り継いで、香港島まで行くことにした。その目的の一つは、観光客向けではないありのままの香港の姿を体感するために、あえて住宅街を走る通勤ラッシュの満員電車に乗ってみるということ。そしてもう一つは、香港名物の2階建てトラム(路面電車)に乗ることだった。
ちなみに今回はちょっと鉄分高めの記事になっております。地下鉄(MTR)の路線図はこちらで見ることができるので、参考までにどうぞ。
まずはホテルから徒歩で紅磡(Hung Hom)駅へ。この前日にも、深圳に行くときに利用したあの駅だ。
ここから東鉄線の7時32分発羅湖行きに乗り、2つ目の九龍塘(Kowloon Tong)駅で下車。以前の記事にも書いた通り、紅磡から九龍塘まではガラガラに空いていて、九龍塘からどっと乗ってくるようだ。紅磡駅がターミナルとしては中途半端な位置付けであることを物語っている。

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 ▲九龍塘(Kowloon Tong)駅に停車中の東鉄線羅湖行き列車。
対面式のホームは日本にもありそうなごく普通の光景だが、列車のデザインはやけにヨーロピアンだ。

九龍塘駅では、長い地下通路を通って觀塘線に乗り換えた。觀塘線は九龍半島の中央部から東部にかけて延びる路線で、途中で2日前に訪れた黄大仙の近くも通り過ぎるようだ。

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 ▲九龍塘駅から、觀塘線の7時45分発調景嶺行きに乗車。
最初は立ち客がまばらに出る程度の混み具合だったのが、徐々に混んできて窮屈になってきた。特に觀塘駅と藍田駅は乗降がかなり多く、黄大仙駅や九龍湾駅もまあまあ多かった。


 ▲觀塘線の車窓風景、牛頭角駅から觀塘駅にかけて(動画:48秒)。
ほとんどの区間は地下だが、九龍湾-觀塘間だけは地上に出てくる。このあたりは香港の中でも下町に分類される地域だが、車窓風景は大都会のど真ん中といった感じだ。

15分ほど揺られて、9つ目の油塘(Yau Tong)駅で下車。ここから今度は將軍澳線に乗り換える。先ほどから「塘」の付く駅名が多いが、どういう意味なんだろう。

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 ▲油塘(Yau Tong)駅。降りたらすぐ向かい側に將軍澳線の北角方面行きホームがあった。
この駅は、觀塘線の東行と將軍澳線の西行、將軍澳線の東行と觀塘線の西行が、平面で乗り換えできる構造になっている。そして隣の調景嶺駅は、觀塘線の東行(終着)と將軍澳線の東行、將軍澳線の西行と觀塘線の西行が平面で乗り換えできるようだ。つまり、どの乗り換えパターンにおいても階段を使わずに済む、非常に便利でバリアフリーな設計になっているのだ。長い階段を上り下りさせられる日本の地下鉄とは大違いである。

さて、この將軍澳線は全部で8駅しかない、比較的短い路線。路線図で見るとまるでおまけのような存在に見えるが、この時間帯はほぼ2分間隔で列車が発着していて、にもかかわらずどの列車も大混雑だから意外である。沿線が大規模なニュータウンで人口が急増中であること、また数少ない海底を横断する路線であることから利用が集中するのだろう。

ということで、油塘駅から將軍澳線の8時04分発北角行きに乗車。
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 ▲油塘駅から2つ目、終点の北角(North Point)駅に到着したところ。
港島線との乗換駅で、降りた乗客たちはどっと港島線の乗り場に向かっていた。
ちなみにこの北角駅は、將軍澳線の西行(終着)と港島線の西行、港島線の東行と將軍澳線の東行が平面乗り換え可能。そして、一つ手前の鰂魚涌駅は、將軍澳線の西行と港島線の東行、港島線の西行と將軍澳線の東行が平面乗り換え可能となっている。他にも中環駅と金鐘駅(港島線荃灣線)、旺角駅と太子駅(荃灣線觀塘線)が同様の構造になっていて、路線図をよく見ると、どこで乗り換えれば便利かが分かるように補助線が示されている。こういった配慮は日本の地下鉄にも見習ってほしいところだ。

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 ▲北角駅構内の乗り換え通路。派手なオレンジ色のトンネルが縦横無尽に入り組んだ、独特な雰囲気の駅だ。
多くの乗客たちが港島線のホームに向かう中、私は改札を出て地上へ。紅磡からここまでの運賃は13.5ドル(約140円)だった。

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 ▲北角駅から地上に出ると、そこはもう賑やかな繁華街。英皇道、琴行街との交点付近で。
名物はやはり2階建てバスと2階建てトラム(路面電車)。いずれも1階から2階まで満員で、巨大な看板の下すれすれのところを通り抜けていくのがスリル満点だ。

さて、このトラム(路面電車)は1904年に開通したという歴史あるもの。ほぼ全区間で地下鉄港島線と並行しているため、地下鉄の開通時に廃止しようという話も持ち上がったそうだが、実際はほとんど競合しておらず、共存共栄を図っている。料金が安くて停留所も多く、気軽に乗れることから、地下鉄とはまた違った便利さがあるのだろう。さらに、世界でも珍しい2階建ての路面電車を、香港名物として守っていきたいという市民の声も大きいようだ。

そして驚くことに、このトラムは幹線道路だけでなく、とんでもないところにも突っ込んで行く。
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 ▲英皇道の1本北を並行する春秧街(Chun Yeung Street)だ。
ここは市場のど真ん中。よくもまあこんなところを通るものである。ただ、全ての電車がここを通るわけではなく、北角止まりの電車だけが折り返しのために通る一方通行の路線であり、実質は引き込み線のような存在である。とはいえ、10分おきに走っているようなので決して本数は少なくない。

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 ▲路面電車が突っ込んでくることを除けば、ごく普通の人情溢れる市場街。
いろんな臭気が混じり合い、異様な熱気に包まれている。混沌としたアジアの象徴のような光景だ。

では、実際にトラムに乗ってみることにしよう。市場に突入する直前に位置する春秧街電停へ。
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 ▲線路をギイギイと軋ませながら、9時15分発の北角總站行きが到着。

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 ▲次が終点なので、車内はガラガラに空いている。せっかくだから2階席へ。
遊園地のアトラクションのような、簡素な内装だ。

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 ▲そしてこれが2階の先頭からの眺め。前方に人だかりが出来ているが、この中に突っ込んでいくのか。
そればかりか、きわどい直前横断は当たり前。よくこれで事故が起きないものである。我々にとっては驚きだが、地元の人にとってはこれが日常なのだろう。


 ▲車窓風景を動画でもどうぞ(1分58秒)。
警笛と鐘は鳴りっぱなし。電車が来ていてもお構いなしだ。どんなベテランの運転手さんでも、ここを運転するのだけは嫌だろう。

やがて、終点の北角總站(North Point Terminus)電停に到着。運賃は後払いで、どれだけ乗っても2.3ドル(約25円)だ。支払いにもたついてあたふたしてしまったが、運転手さんは終始笑顔で、外国人の私には英語で話してくれた。海外の公共交通では無愛想な人に当たることが多いが、本当に紳士的な方だった。

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 ▲終点・北角總站電停に到着したトラム。ここからは折り返しの石塘咀行きになる。

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 ▲同じく北角總站電停で。こんなハローキティ柄の車両もあるようだ。
古参から最新鋭まで、総勢163両の車両が在籍しているそうだが、大半はこのように広告ペイントがなされている。

本当に魅力的なトラム、もっとたくさん乗ってみたかったのだが、集合時間に遅れると日本に帰って来られなくなるので、そろそろホテルに戻ろう。再びあのオレンジ色の目立つ地下鉄北角駅へ。
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 ▲北角駅から、今度は港島線の9時32分発上環行きに乗車。
香港島の中心街に向かう路線のため凄まじい大混雑。積み残しが出て、1本見送らないと乗れないほどだ。途中駅での乗降はさほど多くなかったが、金鐘(Admiralty)駅でほとんどの乗客が降りてしまい、そこから先はガラガラになってしまった。

さて、私もこの金鐘駅で下車。ここは香港一のビジネス街であり、ほとんどの乗客は改札を出て地上に向かって行ったようだが、私はここで荃灣線に乗り換え。ここも前述の通り、同一平面上で乗り換えが可能だ。
そして、荃灣線の9時42分発荃灣行きで、ホテル最寄駅の尖沙咀駅へ。こちらは意外と空いていて、立ち客がまばらに出る程度だった。

そんなわけで、3日間にわたる香港旅行はこれで終わり。この後はショッピングと昼食を経て、香港国際空港へ。
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 ▲さすが香港、フラッグキャリアのキャセイパシフィック航空の飛行機がずらりと並んでいる。

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 ▲我々の乗った飛行機の隣には、なんとイスラエルのエルアル航空の飛行機が止まっていた。

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 ▲それにしても、滑走路の奥にずらりと並ぶ要塞のような高層アパート群がまた凄い。

我々の搭乗したキャセイパシフィック航空CX532便(Boeing777-300)は、定刻16時10分発のところ遅れのため16時45分ごろ発となり、途中、台湾中北部、九州南部、四国沖、紀伊半島南東部、そして伊勢湾岸沿いを経て、約1時間遅れの22時ごろに中部国際空港に到着。一宮市の自宅に帰り着く頃にはすでに日付が変わっていた。

これにて、全5回にわたる香港シリーズは終わり。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(完)

【目次】
熱気に満ちた真夏の香港へ―黄大仙・尖沙咀篇
パワーみなぎる新興都市・深圳へ(前編)―国境越え、そして東門老街へ
パワーみなぎる新興都市・深圳へ(後編)―地王大厦・華強路へ
熱気に満ちた真夏の香港へ―香港仔・100万ドルの夜景・夜の街歩き篇
熱気に満ちた真夏の香港へ―最終回!地下鉄&トラム・乗り鉄篇(このページ)
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