【能登半島一周その5】絶景の連続、ついに最果ての地へ

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 ▲能登を代表する絶景スポット、白米(しろよね)千枚田
日本海に面した急斜面に、1004枚の田んぼが迷路のように幾何学模様を描いて広がっている。

能登半島一周シリーズも、いよいよ2日目の後半戦。前回の記事では能登町から珠洲市までやって来たが、今回はそこからさらに能登半島の先端を回り込んで、この日の宿所がある輪島市までラストスパートをかける。珠洲から輪島までは最短コースで45kmほどだが、例によって海岸沿いのルートを取るため、約70kmの道のりとなる。まだまだ先は長いが、日の長い季節なのでのんびりと行こう。
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 ▲まずは、珠洲市の東のはずれに位置する小泊(こどまり)簡易郵便局へ。
この2日間でもはや珍しくもなくなったが、この郵便局もすぐ裏手が海だ。例によって「どこからいらしたの?」という会話になり、愛知からと答えると、なんと局員さんの息子さんも最近まで仕事の都合で愛知にいらしたとのこと。思わぬ偶然に話が弾んだ。

ちなみにこの小泊簡易局と、ここからしばらく行ったところにある寺家(じけ)簡易局は、貯金の取扱時間が9時から15時までで、普通の局より1時間早く終わってしまう。簡易郵便局にはごくまれにこういうところがあるので要注意だ。
時刻は14時55分。寺家簡易局の方は4年前に既に訪問済なので、タイムリミットまでまだ1時間はある。あと何局回れるだろうか。

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 ▲小泊簡易局のすぐ裏手には長手崎灯台があった。
小さくて目立たない灯台だが、地図で見るとこの場所が能登半島の最東端にあたることが分かる。と言っても、それを示す石碑や看板の類は無く、観光地にもなっていない、非常に目立たないところだ。
4年前に路線バスでここを通ったときは、ちょうどこのあたりの沿道でおばあさんや子どもたちがバスに向かって手を振っていて、バスの運転手もにこやかに手を振り返していたのが印象に残っている。のどかな光景に心が和んだものだ。

さて、次はここから5kmほど先にある三崎郵便局へ。ここもまた海に面した郵便局で、優しそうな局員さんが印象的だった。
そして、そこから先はいよいよ能登半島の本当の最先端。金剛崎や禄剛埼など見どころが多いエリアだが、それらは後回しにして、まずはタイムリミットのある郵便局めぐりを優先することにした。4年前に既訪の寺家簡易局と狼煙局の前を素通りして、まずは10kmほど先にある折戸簡易郵便局に向かった。
ところが、ナビをもとに目的地周辺に来てみても、薄ら寂しい集落があるだけで、どこにも郵便局が見当たらない。前後区間を何度も行き来し、道路工事のおじさんに尋ねてみてもよく分からないという。地図を頼りにもう一度その場所に来てみると、何やら怪しい物件を見つけた。
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 ▲理容オクラさん。ごく普通の床屋さん(実際は美容院らしい)だが、建物の裏には赤いポストが。

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 ▲ということで、裏に回り込んでみると…勘は当たっていた。これはれっきとした郵便局だ。
そんなわけで、こちらの折戸簡易郵便局ではポケットティッシュを3つもくださった。局員さん曰く、次の高屋簡易局も分かりにくい場所にあるから気を付けて、とのこと。わざわざ地図を書いてくださった。これは心強い。

さて、次の高屋簡易郵便局はここから5kmほど先にある。残り20分しかないので気持ちに余裕が無くなってきたが、この区間はびっくりするほど景色が良い。が、どうせ後でまた通るので、景色には目もくれず先を急ぐ。
そして、先ほどの折戸簡易局の局員さんが教えてくださった思案崎バス停を目印に、県道から旧道に入ったところにクルマを止め、ポストが立っているところから私道のような路地を奥に進む。よそのお宅の敷地に勝手に上がり込むような雰囲気でちょっと気が引ける路地だが、勇気を出して進んでみると…
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 ▲確かに民家の脇に建っていました、高屋簡易郵便局
これは本当に分かりにくい。折戸簡易局の局員さんが教えてくれなければ迷いまくっていただろう。
時刻は15時50分。次の郵便局までは8kmもあるのでさすがに諦め、今回はここで打ち止めとすることにした。翌日は土曜日なので、今回の旅での総訪問局数は26局となった。

さて、この前日もそうだったが、16時を過ぎると時間を気にしなくてもよくなるので、一気に気持ちがゆるむ。来た道をはるばる10kmも戻り、先ほど素通りした禄剛埼を目指すことにした。
ところで、車内のAMラジオで特に気にせずたまたま電波がよく入る周波数を選んで聞いていたら、なんと秋田のABSラジオだったことが判明。確かに海上は電波の通りが良いというが、350kmも離れたところから届くとは…。まあ、自宅でも夜になれば韓国や中国のラジオが聞こえてくるので、さほど驚くことでもないが。

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 ▲そんなこんなで、あっという間に道の駅「狼煙(のろし)」に到着。
どうやら2010年にオープンしたらしく、建物はまだ新しい。4年前に来たときはこんな垢抜けたものは無くて、もっと最果て感漂う薄ら寂しいところだった。

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 ▲そして、道の駅から坂道を5分ほど歩き、禄剛埼(ろっこうざき)灯台にやって来た。
ここが正真正銘の能登半島の最先端だ。4年前に路線バスで一人で来たときは、ついに最果ての地にやって来たんだという感慨で身震いがしたものだが、今回はなんだか感動が薄い。二度目だからか、同行者がいるからか、自分でクルマを運転して来たからか、真新しい道の駅が出来て雰囲気が変わったからか…。また、前回は晩夏の夕方という、特に切ない気持ちになる時間帯だったというのもあるかもしれない。
この白亜の灯台は1883年にイギリス人の設計で造られたもの。前回来たときは、灯台の隣に無線方位信号所(電波灯台)の鉄塔もあったが、いつの間にか撤去されたようだ。

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 ▲続いて、禄剛埼の3.5kmほど南に位置する金剛崎へ。
何やら最近、日本三大パワースポットの一つとして注目されているらしく、「聖域の岬」とも呼ばれているんだとか。ただ私にとっては、だだっ広い駐車場に真新しい施設、そして300円の入場券が必要な空中展望台などなど、何だか商業主義的な感じがして面白くない。

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 ▲金剛崎の空中展望台からの眺め。真下にはランプの宿として有名な「よしが浦温泉」がある。
この展望台、空中に細長く突き出した形をしていて迫力はあるが、300円も取るほどかと思ってしまう。景色も悪くはないが、下の道路から見るのと大して変わらない。何だかなぁ。

さて、肝心の禄剛埼と金剛崎を訪れたので、ここで再び引き返して今度こそ輪島方面へ。金剛崎から高屋簡易郵便局までの約13kmの道のりを、これにて1往復半したことになる。

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 ▲先ほどは急いでいて目もくれずに素通りした、珠洲市高屋町あたりの県道28号。
本日ここを通るのはすでに3度目。だが、何度通ってもこのダイナミックな光景には心を打たれる。こういうところこそ車載動画を撮っておくべきだったか。

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 ▲そして、西日が眩しい堂ヶ崎へ。
4年前は禄剛埼までしか来ていないので、このあたりは今回が初訪問となる。この光景には本当に胸が熱くなった。能登半島は、禄剛埼を境に東側の「内浦」と西側の「外浦」に分けられるが、特にこちら側の「外浦」は波が荒くて地形も雄大で、男性的な荒々しい景観がその特徴となっている。

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 ▲高屋簡易局から少し進んだ珠洲市馬緤町(まつなぎまち)には、ゴジラ岩なんていう奇岩もある。
期待して行った割には、想像していたよりも随分小さくてがっかりしたが、それでもこうやって写真にしてみると迫力がある。ちなみにこの日は、奇しくも石川県出身のゴジラこと松井秀喜外野手がレイズから戦力外通告を受けた翌日であった。ああ、無情…。

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 ▲珠洲市と輪島市の境界近くには、ぽっかりと穴の空いた窓岩が。
能登半島にはこうした自然の造形が豊富にあって面白い。ただ、もう夕暮れ近いので観光客の姿も少なく、ちょっと侘びしい。

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 ▲そして最後に、今回の旅で最も楽しみにしていた場所の一つ、白米千枚田へ。
写真などで見たことはあったが、これは本当に想像以上の絶景だ。壮大過ぎて腰を抜かしてしまいそう。だんだん遠近感が麻痺してきた。

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 ▲中にも自由に入れるようなので来てみた。まっすぐ歩いて行くと海に突っ込んでしまいそうだ。
それにしても、夕日とさざ波と千枚田の取り合わせが本当に美しい。久しぶりに心から感動する景色に出会えた。

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 ▲腰を下ろして佇みながら、ぼんやりと海を眺めていた。遠くの海上にもう日が沈もうとしていた。
早くしないと日が暮れてしまう、と焦りながらここまで来たが、このタイミングで来たからこその絶景。一日の疲れが一気に吹き飛んだ。

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 ▲果てしなく続く海が穏やかに揺れている。ああ、来てよかったな。今度は真冬に来てみようか。

さて、すっかり時間を忘れて長居してしまったが、そろそろホテルに向かわないと真っ暗になってしまう。輪島市の中心部にあるホテルまで、あと10km。一気にラストスパートだ。

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 ▲時刻は18時55分、輪島崎に日が沈む。輪島市稲舟町の小石浜付近で。目的地まであと少しだ。

そして19時ちょうど、日没と同時刻に、本日の宿所・ホテルルートイン輪島に到着した。前日と違ってごく普通のビジネスホテルだったが、天然温泉の大浴場が気持ち良く、輪島塗をイメージした落ち着いた内装も気に入り、何だか妙に印象に残るホテルだった。

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 ▲夕食は、ホテルからほど近いところにある、季節料理「うめのや」さんで。
新鮮な海の幸はもちろんのこと、「茄子のいしる煮」が想像以上の美味しさとボリュームで大満足。ごちそうさまでした。
ちなみにこのお店が位置する重蔵神社の東側のエリアは、通称「観音町」と呼ばれる飲食街で、昔は遊郭があったところなんだとか。中でも、このお店が面する観音町のメインストリートは、真ん中に五角形の公園があり、地図で見ると三味線のような形をしていることから、三味線通りとも呼ばれているそうだ。なかなか風流なネーミングだ。

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 ▲ということで、ここまでの走行ルート。かなり走ったが、まだまだ先は長い。

さて、輪島といえば何といっても朝市が有名。この翌日は、朝市も含めて輪島市内の商店街をじっくりと散策した後、能登半島をさらに南下してゴールの羽咋市を目指します。
(続く)
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Comment

昨今のパワースポットブームには辟易しているねじまきです、こんばんは。
ランプの宿・よしが浦温泉、気になるお宿だったんですけど、
このパワースポット至近というロケーションがちょっと引っ掛かりますね~。

禄剛埼から輪島側は絶景ゾーンですよね。
名もない展望台からの景色が記憶に残っています。
ゴジラ岩は、微妙な出来の岩でしたね。
いっそもっとショボかったらこき下ろせるんですが…(笑)

>ねじまきさん

こんばんは。
パワースポット云々は、そうでもしないと観光客が来てくれないし、地元にカネが落ちないってのが悲しい現実なんでしょう。
ランプの宿は私も以前から気にはなってます。人工物がやたら多くて興醒めなことを除けば、景色は本当に素晴らしいです。

禄剛埼から輪島側は今回が初訪問だったんですが、ドライブするには最高のところですね。私も名もない小さな展望台に寄りました。
ゴジラ岩は、写真の撮り方次第で絵になるといったところでしょうか。がっかり名所と言ったらちょっとかわいそうですかね。

ときおり旅行記はよく見ていますがコメントを作成するのは久しぶりですね。

浜辺の村あちこちに隠されている簡易郵便局が印象的です。 このように見れば旅行貯金というものも本当におもしろく見えますね。 建物も各々個性が感じられて、簡易駅(秘境駅)を現地調査して乗車券を集めるなどの面白味と似ていないだろうかと考えます。

道路のダイナミックなことも写真によく伝えられてきますね。 以前に日御碕灯台に行った時道路があのようにぐにゃぐにゃしていました。 先週には韓国で認められるダイナミックな道路である'弥矢嶺(ミシリョン)'を行ってきたがそこが思い出されます。

>Tabiperoさん

お久しぶりです。
旅行貯金の楽しさはいろいろありますが、やはり簡易郵便局を訪れるときは特にワクワクします。
確かに韓国の簡易駅の魅力にも通ずるところがありそうですね。

出雲の日御碕灯台に行かれたんですか。日本海の荒波に削られた険しい地形という点では、能登によく似た場所でしょうね。
弥矢嶺というと束草の手前、雪岳山の北側あたりですね。有名なので名前くらいは聞いたことがありますが、そう言われるとぜひ一度行ってみたくなります。

ところで、白川郷についてのメールは届きましたか?
次回の記事では白川郷を少しだけ紹介しますので、ご参考までに。
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