【能登半島一周その2】穴水から宇出津へ、思い出の海岸沿いを往く

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 ▲穴水町の東端、古君(ふるきみ)地区の街並み。
能登といえば黒瓦に板壁の家並み。こんな日常風景でも絵になる。「能登は優しや土までも」とはよく言ったものだ。

能登半島一周シリーズ、前回の記事では氷見から七尾を経て能登島までやって来たが、今回はツインブリッジのとを渡り、再び七尾市の本土に戻って来たところから。渡った先には、橋の全景と三ヶ口瀬戸を見渡せる展望台があった。
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 ▲七尾市中島町の長浦うるおい公園で。このカキワリは一体何の意味が…?

まずは国道249号をしばらく北上し、西岸郵便局にやって来た。腰がくの字に曲がったおばあさん二人組が局員さんを巻き込んで、陽気に世間話で盛り上がっている。何だかとてものどかだ。ただ、あまりに強烈な方言で、何を言っているのかさっぱり聞き取れなかった。
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 ▲西岸郵便局の向かい側にある、のと鉄道の西岸駅。ノスタルジックな駅舎が健在だ。
駅前には小さな広場と自動販売機があったので、ここで少し休憩。

さらに国道を北上すると、七尾市から鳳珠郡穴水町(あなみずまち)に突入した。のと鉄道の終着駅がある穴水は、このあたりではちょっとした街で、中心部にはささやかながら商店街もある。2008年の夏にも訪れたことがあるのだが、駅と商店街の間に広い道路が開通していたりと、4年のうちにいろんなところが変わっていた。
また、前回の訪問時に一時閉鎖中だった穴水川島簡易郵便局も、2009年2月に移転再開したとのことで、改めて訪問。洒落たデザインの郵便局だった。

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 ▲さらに足を延ばし、穴水市街から東へ4kmほどのところにある中居郵便局へ。
時刻は15時55分、貯金窓口が閉まるまであと5分だ。ここから3kmほど先には比良(びら)郵便局というのがあり、頑張れば行けなくもない。中居局の局員さんも「4時を過ぎてもしばらく待っているように、比良局に電話しときましょうか」と言ってくださった。が、何だかフェアじゃない気がしたし、そもそも訪局数を稼ぐだけが目的ではないし、せっかくの旅先の風景をもっとのんびり楽しみたかったので、この日の郵便局めぐりはここで打ち止めとすることにした。

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 ▲中居郵便局の前を通る、旧街道のような通り。
16時を過ぎた途端、時間から解放されたようにほっと気持ちがゆるむ。山かげだからか真夏なのに涼しく、ヒグラシの声だけが大きく響いている。もう少しゆっくりしていたいと感じさせる、そんな郷愁溢れる街だった。

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 ▲中居の集落の近くには、穴水名物の「ボラ待ちやぐら」がある。
江戸時代からこの地方に続く伝統的な漁法だが、1996年を最後にこの漁法を用いる人はいなくなり、現在残されているのは観光用に再現されたもの。穴水町ではここの他に、七尾市との境に近い根木地区にもボラ待ちやぐらがあり、のと鉄道の車窓からも見ることができる。

さて、ここから今夜の宿がある能登町までは、国道249号経由で約22km。ただ、このルートだと海岸線から遠ざかってしまうので、10kmほど遠回りにはなるが、あえて海沿いの県道34号に向かってみた。
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 ▲県道34号沿い、穴水町岩車の椿崎マリーナ界隈で。
実はこのルート、4年前の夏にも路線バスで通ったことがある。バスの運転手に「遠回りだけどいい?」と聞かれたが、素朴でどこか薄ら寂しい漁村風景の中を延々と走る景色が、とても印象的だった。
速度の出ない狭隘路のため、かなり時間がかかることが予想されたが、どうしても4年前の思い出に浸りたくて通ってみたのだ。

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 ▲穴水町鹿波、森ヶ鼻付近で。

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 ▲穴水町鹿波、能登シーサイドハーバーたちばな付近で。海の向こうに見える陸地は能登島だ。
4年前にバスで通ったとき、ちょうどこのあたりの港で作業をしている漁師たちに、バスの運転手がクラクションを鳴らして陽気に挨拶をしていたのを思い出す。
あのときも夕方だったが、今回ももう夕方に近い。時間帯が時間帯だけに、より一層切ない風景に感じる。

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 ▲穴水町甲(かぶと)の街並み。
先ほどから通っているこのルート、実は2005年に廃止されたのと鉄道(穴水-蛸島間)の廃線跡に並行していて、この近くには急行停車駅の甲駅もあった。過疎化が激しいのだろう、鉄道が走っていたとは信じがたいほどひっそりとした街だ。

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 ▲穴水町前波の街並み。
このあたりはややまとまった集落になっている。昔はもっと賑やかな商店街だったのだろうか。先ほどから人気のない集落ばかりだったので、子どもたちが道端で遊んでいる姿を見て安心した。

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 ▲穴水の中心部からちょうど1時間で、ようやく鳳珠郡能登町に突入。
ここまで来れば目的地はあと少し。思ったよりも早く着いた。

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 ▲反対側の穴水町の標識。遠く入り江の向こうに古君の街が見える。

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 ▲能登町に入ってすぐのところには、鵜川(うかわ)という街がある。
ここもちょっとした街で、廃止されたのと鉄道の鵜川駅も急行停車駅かつ有人駅だったようだ。
中心街には本町、栄町、大工町、神出町、浜出町、馬場出町、天神町、桜木町といった通称地名があり、商店街というほどではないにせよ、ある程度商業が集積している。

この鵜川の街で国道249号に合流し、さらに15分ほど走ると、ようやく能登町の中心街・宇出津(うしつ)にたどり着いた。この宇出津も4年前にじっくり歩いたことがある街で、クルマで走っているだけで無性に懐かしかった。

 ▲せっかくなので、クルマで宇出津市街をぐるりと一周してみた(動画:4分07秒)。
こうして見ると何でもない普通の街だが、4年の間に随分と変わったことを感じさせられる。特に、旧宇出津駅の駅舎がいつの間にか無くなっていたのには驚いた。廃止後もまるで現役のようにバスの待合室として使われていたのだが…。

最後に宇出津の街外れにあるガソリンスタンドで給油。一宮市の自宅を出発してからここまでで399.1kmだった。

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 ▲そして、この日の宿所は宇出津にほど近い能登町矢並(やなみ)のふらっと」さん
能登育ちの奥様とオーストラリア人のご主人が切り盛りする小さな民宿で、以前からずっと泊まってみたいと思っていたところだ。元は旧波並駅に近い海沿いにあったのだが、私たちが泊まるつい数日前に、矢並の集落の中(旧民宿「さんなみ」跡)に移転してきたそうだ。

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 ▲楽しみにしていた食事は、能登の郷土の味とイタリアンが融合した不思議な味わい。
一つ一つ奥様が丁寧に説明してくださったのだが、とにかくこだわりが感じられるお料理ばかり。能登独特の魚醤「いしり」の風味が生かされて、どれも本当に美味しかったです。ごちそうさまでした。

ご夫婦の心づかいともてなし、そして野趣溢れる露天風呂、全てに大満足。ただの宿泊施設でなく、ぜひまた泊まりに来たいと思わせる、そんなお宿だった。

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 ▲ということで、ここまでの走行ルート(Google Mapより)。能登半島はデカい。まだまだ先は長い。

さて、この翌日は、先ほど登場した宇出津の街を改めてじっくりと徒歩でめぐった後、さらに能登半島を北上します。
(続く)
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