パワーみなぎる新興都市・深圳へ(後編)―地王大厦・華強路へ

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 ▲深圳の中心街にそびえ立つ超高層ビル、地王大厦(Di Wang Commercial Center)。
地上384mの高さで、1996年の竣工当時はアジアで最も高く、世界でも第4位の高さを誇る建築物だったという。

香港旅行シリーズの2日目、前回の記事から続く中国・深圳篇の後半。
繁華街・東門老街を散策した後は、炎天下の中を700mほど歩き、超高層ビル「地王大厦」にやって来た。最上階には、「深圳と香港を見通す窓」を意味する「深港之窓」と名付けられた展望台があり、ここから街並みを見下ろしたら面白そうだ。幸いこの日はよく晴れていて、おそらく眺望も良いだろう。

ただ、ここでちょっとしたハプニングが。人民元が足りなくなったので、このビルの1階にある銀行で両替しようとしたのだが、パスポートを要求されるわ、あれこれ書類に記入させられるわで、結局40分以上も待たされたのだ。おそらく偽札対策だろう。おかげですっかり時間をロスしてしまったのだが、猛暑の炎天下を歩き続けて疲れていたので、ちょうど良い休憩にはなった。
さらに、展望台への行き方が分からず、案内係のお姉さんに聞いても無言で首を振られて教えてくれず、ビルの中を延々とさまよい歩く羽目に。ようやく展望台にたどり着いた頃にはもう12時半を過ぎていた。

それでは、展望台からの各方面の眺望をご覧いただこう。ちなみに入場料は80元(約1000円)と、こちらの物価の割にはかなりの高額だ。
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 ▲まずは南方向。中央には前回の記事で紹介した国境検問所・羅湖口岸の特徴的な建物が見える。
その右奥の川沿いに延びる線路は、この日の朝に乗ってきた香港MTRの東鉄線。写真の奥、高層アパートが林立しているのは香港の上水(Sheung Shui)あたり。

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 ▲南東方向、地下鉄国貿駅周辺のオフィス街。都市計画ゲーム「シムシティ」をやっているようだ。
写真の左端を手前から奥に貫いている大通りは、深圳の東西のメインストリートである深南大道(Shennan Dadao)。それを奥に進むと、趣味の悪いど派手な黄金色の高層ビルが向かい合っている。羅湖商務中心(左)と新世紀広場(右)だ。

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 ▲東方向、再び深南大道沿い。2つの黄金ビルがひときわ目立って見える。
手前の方の高架橋には、高速鉄道CRH「和諧号」が走っている姿も見える。遠くの右側の山は中腹がえぐり取られて不気味な色になっているが、ここは深圳ではなく香港で、「新界東北堆填區」というゴミ処分場のようだ。そういえば数年前、雲南省の昆明でハゲ山にペンキを塗って「緑化」したという冗談のようなネタが話題になったことがあったが、景観保護という概念は無いのだろうか?

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 ▲深南大道の北側をズームすると、前回の記事で紹介した東門老街もくっきりと見えた。

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 ▲続いて北方向。こちらは主に住宅街となっているようで、高層アパートが目立つ。
右手に広がる緑地帯は人民公園・洪湖公園。その横を流れる深圳河の手前には、広州と深圳を結ぶ広深鉄路(Guangshen Railway)の線路が通っている。奥の方には小さく深圳北駅も見える。

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 ▲新しくて綺麗な高層ビルばかりが目立つ中に、古びた建物が密集するエリアが見えた。
地図で見ると桂園と呼ばれる地区のようだ。庶民的な風景か、あるいはスラムが広がっているのだろうか。ここもいずれは開発の波に呑まれてしまうことだろう。

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 ▲深圳の北の玄関口、深圳北(Shenzhen North)駅をズーム。広大なヤードが広がっている。

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 ▲最後に西方向。右端に見えるのは現在深圳で最も高い建物、京基100(Kingkey 100)だ。
中央手前から奥に向かって延びるのが深南大道。これをまっすぐ進んだ先に高層ビルが集まっているところが見えるが、そこがこの後に訪れる予定の繁華街、華強路だ。
写真の左の方を流れる大きな川は、中国本土と香港の「国境」である深圳河。川向こうの香港側は手付かずの湿地帯になっているが、これは「香港辺境禁区」と呼ばれる一般人立入禁止区域であり、開発が進んでいないためだ。深圳河に沿って進んだ先には、かすかに深圳湾も見える。

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 ▲香港辺境禁区の中にぽつんと一つだけ小さな集落が見えた。
地図で見ると料壆(Liu Pok)という村のようだが、一体どんなところなのだろう。行ってみたいが、禁区エリア内にあるので住民関係者以外は立入禁止のようだ。

ここらで地王大厦は後にして、すぐ近くにある大劇院駅から再び地下鉄に乗車。この日2度目となる羅東線の13時20分発機場東行きで、2つ目の華強路(Huaqiang Road)駅で降りた。ここも老街とともに知られる一大繁華街だ。

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 ▲まずはこのエリアのメインストリート、華強北路(Huaqiang North Road)へ。
このあたりは電子関連のお店が多く、深圳のアキバと呼ばれているとかいないとか。そのうちAKB48ならぬHQN48とかが出来たりして。ともあれ、歩いた感想はごく普通の垢抜けた繁華街。雰囲気としては昨年訪れた台北の西門町あたりにも似ている。

それにしても暑い。見上げると、太陽がほぼ真上の角度から照りつけていることに気が付いた。ここ深圳は北緯22度と北回帰線のすぐ近くに位置しているため、この日は南中高度がほぼ90度に達していたようだ。上の写真でも、人々の影がほぼ足下のみに収まっていることが分かるだろう。あまりに暑くてやってられないので、地下街に避難することにした。

ところで、お昼をまだ食べていなかった。本当は庶民的な屋台料理が食べたかったのだが、どこに行っても近代的な街並みで、飲食店もチェーン店ばかり。仕方ないので、地下街の中にある「真功夫」というファーストフード店に入ることにした。ブルース・リーのロゴマークのこのお店、深圳市内の至るところにあり、上海に行ったときにも見かけたので、おそらく中国では有名なチェーン店なのだろう。
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 ▲真功夫で、金鼎肥牛饭のセットを食す。20元(約250円)。
日本の牛丼を中国人向けにアレンジしたような感じで、インディカ米が使われていて、漢方っぽいにおいがあるものの、個人的には全く気にならない範囲。何だかよく分からない飲み物が付いてきたので、飲んでみたら甘い豆乳のようだった。
同行者は「鱼香茄子饭」という麻婆茄子丼のようなものを食べていたが、そちらの方が美味しそうだった。

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 ▲ふと隣のケンタッキーフライドチキンを見ると、なぜか店内が真っ暗。
店員さんがメニュー表をペンライトで照らしながら注文を取っている。おそらく停電だろう。同じ地下街の中でも、我々のいた「真功夫」のように停電していないお店もあり、文字通り明暗が分かれる結果となったようだ。

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 ▲続いて、同じ地下街の中のスイーツのお店「許留山」でデザートをいただく。
ここも停電で真っ暗だったが、店内に入るとすぐに復旧して明るくなった。で、味の方は予想をはるかに上回る美味しさ。特に、奥に写っている芒果糯米糍(マンゴー大福)はもちもちした食感が絶品。これは日本で売り出しても大ヒットするんじゃなかろうか。深圳だけでなく香港にもあるようだが、かなりおすすめである。

さて、そろそろ時間が近付いてきたので、深圳の街とはこれでお別れし、再び香港に戻ろう。先ほどの華強路駅よりも、蛇口線の華強北駅の方が近いので、地下街を歩いてそちらに向かった。
ところが、券売機で切符を買おうとすると、何度お札を入れても戻ってくる。しわを伸ばしても、別の券売機を使ってもダメ。途方に暮れていると、こんな案内文が目に入ってきた。

乘客您好:本机最多只找零4元硬币。当您的购票金额在6-15元之间时可用5元、10元纸币及硬币;当您的购票金额在16元及以上时可用5元、10元、20元纸币及硬币。

どうやら、お釣りが4元までしか用意できないため、お釣りがそれ以上の金額になるような高額紙幣は使えないということらしい。つまり、我々が買おうとしている切符は3元だから、5元札なら使えるが、10元札や20元札を入れても受け付けてくれないのだ。意外と不便だ。
仕方ないので窓口に向かうと、何も言わなくてもすぐに小銭に両替してくれた。窓口に並んでいる他の人たちも、同じく両替が目的のようだった。何だか拍子抜けである。

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 ▲やっとの思いで乗ることが出来た、華強北駅14時58分発の蛇口線赤湾行き。
蛇口線は2011年に開業したばかりの新しい路線で、設備はピカピカだ。

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 ▲蛇口線の列車(2251F)の車内の様子。明るくて清潔感があり、乗客たちもどことなく平和そうだ。
ボンバルディア社製の車両で、これもまた上海の地下鉄によく似ている。

2つ目の市民中心駅で降り、今度は竜華線に乗り換える。案内表示も充実していて分かりやすい。
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 ▲市民中心駅15時11分発の、竜華線福田口岸行き。こちらは2004年開業と、やや古めの路線だ。

3つ目の終点・福田口岸駅(Futian Checkpoint)で降り、中国本土と香港特別行政区との境界に設置された福田口岸に向かった。ここは、往路で通った「羅湖口岸」とは別の国境検査場。羅湖口岸の混雑を解消するため、2007年にオープンしたばかりらしい。

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 ▲地下鉄福田口岸駅から福田口岸への入口。
上りのエスカレーターばかり4本も並んでいて壮観だ。建物も大きくて空港のような雰囲気。

福田口岸での出国審査・入国審査はそれほど混雑せず、合わせて20分ほどで終了。香港側に入るとすぐにMTR東鉄線の落馬洲駅があった。羅湖駅の一つ手前で分岐した支線の駅で、ここから乗れば往路と同様、乗り換え無しで紅磡まで帰ることが出来る。
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 ▲落馬洲駅のホームから、深圳河の対岸に望む深圳の街並み。さらば深圳、また来る日まで。

落馬洲駅からは、16時13分発の紅磡行きに乗車。1本前の列車はかなり混んでいたが、こちらはガラガラに空いていた。おそらく、羅湖発と落馬洲発が合流する関係で、発車間隔が一定でないのが原因だろう。
途中の駅から少しずつ乗ってきて混んできたが、沙田駅でどっと降りて行き、また乗換駅の九龍塘駅では乗り降りともに多く、終点の紅磡駅には17時ごろに到着。

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 ▲紅磡駅に到着した紅磡止まりの列車。この後は再び折り返して羅湖行きになる。
やがて向かい側のホームに西鉄線の紅磡止まりが到着すると、そこから降りて来た人たちが猛ダッシュで羅湖行きに乗り換えて行き、まるで米原ダッシュのような光景が繰り広げられていた。東鉄線と西鉄線は線路が繋がっているので、こんな中途半端なところで系統分離するくらいなら直通運転すれば良いのにとも思うのだが…。

ということで、国境を越えた深圳へのショート・トリップはこれで終わり。この後は一旦ホテルに戻ってから、夜景を見るために香港島に出掛けます。
(続く)
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まとめ【パワーみなぎる新興都】

 ▲深?の中心街にそびえ立つ超高層ビル、地王大厦(Di Wang Commercial Center)。地上384mの高さで、199
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