アストラムにスカイレール…広島のりものツアー

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 ▲JR瀬野駅と、北側の丘陵地帯に広がる住宅団地を結ぶ「スカイレール」。
モノレールとロープウェイを組み合わせたような珍しい乗り物だが、観光的要素はなく、あくまでニュータウンの住民の足として運行されている地味な路線だ。

前回の記事で紹介した宇品や鷹野橋などの次にやって来たのは、広島の中心街を貫く平和大通り、通称「100メートル道路」だ。100メートル道路といえば名古屋のものが有名だが、実は広島にもある。愛知県民としてはちょっぴり親近感を覚えるところだ。
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 ▲ちょうどこの日は、平和大通りで「ひろしまフラワーフェスティバル」が開催されていた。
今年は160万人を超す人出で大賑わい。屋台もたくさん出ていて、あちこちから美味しそうなにおいが漂ってくる。この平和大通りをしばらく西に進むと…

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 ▲広島といえばここを見ておかねばなるまい。原爆ドーム(広島県産業奨励館)と平和記念公園だ。
青い空に白い雲、元安川の穏やかな流れ、そして祭りに賑わう街並み。この平和な光景を我々は当たり前のように感じているが、67年前の夏、この青空を切り裂くように閃光が炸裂し、灰色の雲が焼け野原を覆ったのだ。信じたくないが、これは紛れもない事実。想像しただけで身震いがする思いだ。

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 ▲平和記念公園の慰霊碑で合掌。
ここも中学校の修学旅行以来、12年ぶりの訪問だが、この年になってから来ると感じる重みが違う。慰霊碑の正面には「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれているが、本当に、絶対にこんな悲劇は繰り返さないでほしい。

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 ▲原爆ドームの裏手には、何の変哲もない繁華街の路地裏の風景が。
実はこの場所が爆心地なのだ。奥に見える「島外科内科」の前には小さなモニュメントが設置され、人類史上最初に使用された原子爆弾がこの上空約580mで炸裂したことが記されている。

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 ▲爆心地のすぐ南東には、広島一の繁華街・本通商店街が通っている。
やっぱり平和な光景が一番だ。全蓋式アーケードの全長約600mに及ぶこの本通商店街だが、西端部にあたるこの界隈はPC・ゲーム・アニメ関連のお店が集中していて、「広島のアキバ」と呼ばれているとかいないとか。

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 ▲本通りとの交点から眺めた鯉城通りと、路面電車「グリーンムーバーmax」。
アーケードとアーケードを結ぶ横断歩道を渡る人々で、交差点が活気付く瞬間。

この本通には路面電車だけでなく、地下にアストラムラインという新交通システム(地下鉄のようなモノレールのような乗り物)も乗り入れている。と言っても、広島市北部の新興住宅地と中心街を結ぶだけの純然たる通勤路線。沿線の観光スポットといえば、サンフレッチェ広島のホームスタジアム「広島ビッグアーチ」くらい。これまた観光客には縁のなさそうな乗り物だが、何だか気になるのでとりあえず乗ってみることに。
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 ▲20分ほどで大町駅に到着。見晴らしは良いものの、ごく普通の住宅街の路線だった。
ホームはスクリーンドアで密閉されていて、今は無き桃花台新交通ピーチライナーの駅を彷彿させる。そこそこ本数も多くて混んでいるところを見ると、広島市民の足として定着しているようだ。

さて、ここ大町は、広島の中心街から北に8kmほどのところにある平凡な住宅街。特に用があってここに来たわけではなく、アストラムラインとJR可部線の乗換駅なので、広島の中心街に戻るのに都合が良かったというだけの理由だ。
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 ▲ということで、大町駅でJR可部線に乗り換え、再び広島の中心街を目指す。
こちらはさらに観光客には全く無縁の路線。一部で「末期色」と揶揄されている真っ黄色のオンボロな電車がガタゴトと走る、何とも特徴に乏しい路線だ。利用者は多そうだが、その割に冷遇されているのか簡素な造りの駅が多く、大都市近郊を単線でだらだらと走る雰囲気がどことなくJR奈良線に似ている気がする。

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 ▲20分ほどで広島駅に到着。ここからさらに山陽本線に乗り換える。
広島駅は、これだけの大都市の中心駅という割にはかなり規模が小さく、どうしても貧相に感じてしまう。むしろ岡山駅の方が「大きな駅」という印象を受ける。おそらく広島駅は街外れにある上に、乗り入れている路線数もさほど多くないため、そんなふうに見劣りがしてしまうのだろう。

さて、広島駅からさらに20分ほどで、次なる目的地の瀬野駅に到着した。ここは広島市の東端部に位置する山あいの街。これまた観光客には無縁そうな街だが、冒頭の写真で紹介した「スカイレール」が走っていることから、以前からずっと行くべきところリストに入れてあったのだ。
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 ▲JR瀬野駅に隣接するスカイレールの駅。「みどり口駅」と名乗っている。
スカイレールの駅は、3つとも全て駅名が「みどり」で始まり、こちらは住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」への玄関口という意味合いなのだろう。自動券売機と自動改札があるだけの小さな駅で、まるで観光地のゴンドラ乗り場のようだ。

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 ▲みどり口駅にスカイレールが到着。この折り返しのみどり中央行きに乗ってみた。

スカイレールはどうやら自動運転のようで、運転手は乗っていない。みどり口駅からの乗客は、私たち2人組を含めて11名。夕方の帰宅ラッシュということもあり、意外とたくさん乗っている。乗り心地もやはり、モノレールとロープウェイの中間的な感じで、けっこう揺れる。強風のときはちょっと怖そうだ。
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 ▲車窓風景はこんな感じ。写真では分かりにくいが、けっこう迫力がある。
終点まで1.3kmしかない短距離路線に一体誰が乗るのかと最初は疑問だったが、これだけ起伏があれば、徒歩や自転車で帰るのはかなり大変だろう。
唯一の中間駅であるみどり中街駅で2人降りていき、そこからさらに標高が高くなる。住宅地といえども眺望の美しさはかなりのもの。観光客など絶対に来なさそうなところだが、一度乗ってみる価値はありそうだ。

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 ▲終点のみどり中央駅に到着。所要時間は5分、料金は150円。短いけれど楽しい路線だった。

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 ▲終点みどり中央駅の駅前風景。商店の類は皆無で、閑静な住宅街が広がっている。
私たち2人組以外の乗客は全員が地元の住民の方のようで、駅からまっすぐに伸びる「並木中央通り」を静かに去っていった。

さて、帰りはここから700mほど離れたみどり中街駅まで歩くことにした。急斜面の新興住宅地ということで、2009年に訪れた群馬県の安中榛名駅周辺に雰囲気が非常によく似ている。


 ▲途中の公園から撮影した、みどり中街駅からみどり中央駅に向かう列車(動画)。
風の音が入っているので音量にはご注意ください

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 ▲ようやくみどり中街駅に到着。起終点の2駅と比べると簡素な構造の駅だ。

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 ▲みどり中街駅にあった、「待受け運転について」の案内。
どの駅にも旅客がいないときは発車を見合わせ、無駄な空気輸送を避ける工夫をしているようだ。単純な運行形態であり、自動運転で全駅を一括管理しているからこそ出来る芸当だ。

みどり中街駅からみどり口駅に戻ると、時刻はもう18時過ぎ。日没が遅い5月の西日本とはいえ、ちょっとずつ日が傾いてきた。ということで、今度はJR瀬野駅から山陽本線で再び広島の中心街を目指します。
(続く)
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Comment

ツイッターやらないもんで、久しぶりでブログ拝見しました。
アストラムラインは知ってましたが、スカイレールは
初見でした。
運営は造成した民間会社なんですかね?
ピーチライナーほどおカネは掛かってなさそうなんで
乗客が少なくてもちゃんと生き残れそう(笑)

>9丁目1番地さん

スカイレールは、宅地造成をした不動産業者の子会社が運営しているようですね。
バブル真っただ中に開業したピーチライナーと違って、こちらは身の丈に合った交通機関という感じがします。
平野が広い名古屋圏と違って、広島は山がちな地形ゆえ、わざわざこんなところを宅地開発するだけの需要があるのでしょうね。

瀬野のスカイレールは自分が広島にいた頃には無かったんですよね。
大学生になってから戻って「何じゃこりゃ」という感じでした。
まだ自分は未乗です…。

本通り界隈の風景、原爆ドームから元安橋を渡ったあたりの
ビル通りとか、懐かしい光景です。

可部線は完全に生活路線ですね。
乗車しても特に楽しいことはありません。
三段峡までつながってた頃は乗り応えがあったんですが…。

>ねじまきさん

まさに、広島のあの風景の中で生活されていたんですね。

スカイレールは1998年に開業したようです。
そういえば、ちょうど私が鉄道に興味を持ち始めたのがその頃で、時刻表の路線図で盲腸のようにちょろっと伸びてるこの路線が妙に印象に残った覚えがあります。

可部線はぜひ可部以遠が廃止になる前に乗ってみたかったですね。
でも個人的には、こういう飾らない生活路線こそが、地元の人のありのままの姿が垣間見られて面白かったりするのです。
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