春の夕暮れ、宿場町へ―中山道・鵜沼宿

P1050898RS.jpg
 ▲高台に鎮座する二ノ宮神社から見下ろした、中山道鵜沼宿の街並み。

前回の記事に引き続き、今回も岐阜県各務原市(かかみがはらし)の鵜沼(うぬま)エリアから。ありきたりの新興住宅地で、観光のイメージとはほど遠いところだが、国道21号の裏手を並行する旧道には意外なほど良い状態で古い街並みが保存されている。
P1050918RS.jpg
 ▲中山道69次のうち、京に向かって52番目の宿場・鵜沼宿だ。
こうして見ると、有名観光地にも引けを取らない風格ある街並みだ。右手に見える建物は、手前から安田家住宅(旅籠若竹屋、1930年築)、梅田昭二家住宅(1868年築)、梅田吉道家住宅(旅籠茗荷屋、江戸末期築)、坂井家住宅(旅籠丸一屋、1894年築)、その奥には菊川酒造豆蔵(明治初期移築)と続いている。

P1050876RS.jpg
 ▲左側は菊川酒造豆蔵(明治初期移築)、そして右側の新しそうな建物は鵜沼宿脇本陣
脇本陣は、2010年に各務原市が「鵜沼宿家並絵図」をもとに復原工事を行った建物。館内はちょっとした資料館になっていて、ボランティアガイドのおじさんが親切に解説してくださった。こんな小さな資料館でも、ちゃんとしたパンフレットがたくさん用意されていて、観光アピールに市が力を入れているのが分かる。ここ最近の街道歩きブームもあってか、意外と来客も多そうだ。

P1050806RS.jpg
 ▲鵜沼宿脇本陣の庭園。奥に見える法面の石積みは、昔に築かれたものをそのまま残しているそうだ。
ちなみにこの脇本陣、あの松尾芭蕉が3回も宿泊したことがあるらしく、敷地内にはクスノキの化石に句を彫り込んだ珍しい句碑があった。あちこち旅行していて思うが、この松尾芭蕉という人は本当にそこらじゅうに出没している。

P1050840RS.jpg
 ▲脇本陣から100mほど東に進むと、中山道鵜沼宿町屋館(旧武藤家住宅)がある。
現在の建物は1891年の濃尾地震の後、明治末期に再建されたもので、2008年から資料館として内部が公開されている。ちなみに武藤家は、江戸時代からこの建物で旅籠「絹屋」を、1883年から1964年までは鵜沼郵便局を営んでいたという。1960年代まではこんな建物の郵便局が現役だったと思うと、ちょっと感慨深い。

P1050835RS.jpg
 ▲町屋館の前から西を眺めたところ。左手に見えるのは菊川酒造本蔵(大正時代後期築)。
この町屋館と先ほどの脇本陣との中間地点には巨大な本陣があったようだが、現在は解説板が立つのみで、跡地は味も素っ気もない分譲住宅地になっている。

P1050866RS.jpg
 ▲大安寺川に架かる大安寺大橋から西を眺めたところ。
先ほど訪れた脇本陣と町屋館が並んで見える。手前には古民家を改装した飲食店もある。こうして見ると、奥に見える火の見櫓も景観にアクセントを加えていて、良い雰囲気だ。
もともと鵜沼宿は、この大安寺大橋を境に西町と東町に分かれていたようだが、往時の面影が残るのは西町だけ。東町はごく普通の住宅街となっている。

P1050769RS.jpg
 ▲鵜沼宿を見下ろすような形で北側の山の中腹に広がっているつつじが丘の住宅地
このあたりは、電車に乗れば名古屋まで30分、岐阜へも30分とかなり便利なところで、宅地開発が急激に進んでいる。古いものと新しいものが共存しているところが鵜沼の街の魅力なのかもしれない。
ところで、かすかな記憶だが、かつてこのあたりの山の中腹に「火の用心」という大きな文字が書かれていた気がするのだが、いつの間にか無くなってしまったのだろうか?各務原線の電車からよく見えたものだが…。

鵜沼の街ともここらでお別れ。最後にスーパー「平和堂」に寄って、みるくさんとともにお土産の各務原キムチを購入。ところが、間違えてみるくさんの分も一緒に持って帰ってしまいました。私が全部美味しくいただきました。この場を借りてお詫び申し上げます。ゴメンナサイ。

さて、ここで、鵜沼の街を歩いていて見つけた、ちょっと気になったものを3つ。
P1050684RS.jpg
 ▲「気をつけよう 一人歩きと 知らぬ人」。
なるほど、知らない街を一人で歩き、地元の人との出会いを楽しむ私への警告か。それはともかく、一番下に書かれている「ウ一小校下青少年育成推進委員会」というのは一体…?

P1050932RS.jpg
 ▲「地下道を通る手本を大人がしめせ」。
地下道を通るというのはそんなに大それたことなのか。で、「鵜一小PTA」ということは、先ほどの「ウ一小」は沼第一小学校のことか。ファンキーな略し方だ。

P1050949RS.jpg
 ▲名鉄鵜沼宿駅前にある、押ボタン式横断歩道
誤解してはいけない。これは押ボタン式信号ではない。そもそも、この場所に信号など無い。どうやら、ボタンを押すと横断歩道に照明が付くだけの、たったそれだけの装置のようだ。岐阜県内には同様のモノがたくさんあるらしいが…。
7年前に来たときから気になっていたこの物件、あいにく夜間しか作動しないらしく、実際に照明が付くところを検証することはできなかった。

P1050956RS.jpg
 ▲そんな鵜沼宿駅の駅前で。岐阜方面に向けて線路はまっすぐ延びる。いつの間にかもう夕方だ。

鵜沼の散策を終えた我々は、何も考えずにここからテキトーに名鉄電車に乗って、岐阜市にやって来た。開発ラッシュの岐阜駅周辺を最後に少しだけ散策しよう。
P1050977RS.jpg
 ▲夜のJR岐阜駅前
岐阜シティ・タワー43の向かい側、問屋町繊維街の再開発跡地にもう1本超高層マンションが建設中。今夏完成予定の岐阜スカイウイング37だ。

P1050965RS.jpg
 ▲再開発の難を逃れた繊維問屋街・ワシントン通り。夜に来るとちょっと不気味だ。
このあたりはもはや迷路のようで、何度来ても全体像が掴めない。前述の岐阜スカイウイング37の建設のため一部が取り壊されてしまったようだが、それでも歩き応えがあって面白い。商店街マニア・レトロマニアの方は一度足を運んでみる価値はある。

P1050986RS.jpg
 ▲そして最後は岐阜シティ・タワー43の展望台から夜景見物。
ここの展望台は無料で上がれるので、岐阜駅周辺で暇つぶしをするには特にお勧めだ。まずはJR岐阜駅・一宮・名古屋方面。手前の家並みがまるでミニチュアのよう。写真では分かりにくいが、ツインアーチ138も小さく見える。

P1050990RS.jpg
 ▲千手堂・忠節方面。分かりやすく一直線に伸びる道路は忠節橋通り(真砂町通り)。
長良川の堤防までくっきりと見えて面白い。

そんなわけで、犬山・鵜沼(+岐阜)の一日はこれでおしまい。鵜沼の街は新たな発見が多く、犬山も時間の都合で見逃したスポットが多そうなので、ぜひ再訪してみたい。
関連記事

Comment

素晴らしい夜景

久し振りにお邪魔いたしました。

以前、一宮の明洞・・で
コメント差し上げた者です☆

よく岐阜方面へ行きますが
今はレトロな町並みも
昔は賑わっていたのだろうなと
想像をしながら散策しています。
鵜沼宿はいつも通過駅ですが
1度下車してみようと思います。

まっちサマが写された写真を拝見すると
行ってみたくなりますね。
どれも見入ってしまいました。

>エコさん

こんにちは、お久しぶりです。
そんなふうに褒めていただけると本当に嬉しいです。いっぱい写真を撮ってきた甲斐がありますよ。
岐阜県は程よく鄙びた田舎町が多くて魅力的ですよね。
鵜沼はあまり観光地というイメージではありませんが、じっくり歩いてみたらなかなか良いところでした。駅から宿場までは1kmほど距離がありますのでご注意を。
Comment Form
公開設定

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。