“まっちの街歩き”の原点へ―今尾とお千代保稲荷を歩く

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▲老若男女が集うお千代保稲荷の門前町。毎日が縁日のようで、歩いているだけで楽しくなる。

年明け最初の日曜日となる1月8日は、岐阜県海津市平田町の千代保稲荷神社、通称「おちょぼさん」に行ってきた。
もう数え切れないほど訪れているが、何度来ても飽きない。東海地方以外では全く知名度の低いマイナースポットだが、名古屋近郊に旅行に来られる方がいたらぜひともお勧めしたいところである。特に、「①浅草仲見世や葛飾柴又のような人情味と活気に満ちた門前町が好き」「②田舎の何も無さそうなところに思いがけず賑やかな街が出現すると興奮する」「③屋台めぐりや食べ歩きがワクワクする」のうち1つでもあてはまる人は、行って損は無いはずだ。

ただ、今回はその前に、同じ平田町の中心街である「今尾(いまお)」の街にも立ち寄ってみた。こちらは観光とはほど遠い普通の街なのだが、実はこの今尾こそが「まっちの街歩き」の原点なのだ…。
ここは濃尾平野のど真ん中。真っ白に雪を被った伊吹山が遠くに見える以外は、東西南北、全て真っ平らな田園地帯だ。そんなのどかな風景の中に突然現れるのが、この今尾の街である。

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 ▲今尾のメインストリート、本町あたり。左手に見える昔ながらの八百屋さんがまたいい。

この今尾は、私にとっては特別な思い入れがある街である。
以前の記事でも記したが、最初に訪れたのは今から約5年前の2007年2月。ここに一本道の小さな商店街があることは以前から知っていて、そのときは地図も持たずに何気なくやって来た。
が、実際に歩いてみると、一本道ではなく複雑に枝分かれした商店街で、路地の裏のようなところにもお店が点在していることに驚いた。本町や中町、寺町、新町といった通称地名の存在も、この街の奥深さを物語っていた。何も無いと思っていた田園地帯のど真ん中に、こんなところがあるなんて…。それ以来、各地の似たような小都市を巡り歩くようになったのが「まっちの街歩き」の原点である。

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 ▲3階建ての大きな建物が軒を連ねる、貫禄ある街並み。本町から西に進んだ上本町あたりで。
ところどころには、かなりの年季が感じられる医院の建物も残っていた。

街の善し悪しを、都市規模が大きいか小さいか、栄えているか寂れているか、それだけで判断するのは好きではない。しかし実際に訪れてみて、想像よりも大きくて栄えていたら思いがけず嬉しいものだし、逆だと正直がっかりする。この街に私が惹かれた理由の一つが、「想像よりずっと栄えていて規模が大きかったから」である。
もちろん、「栄えていて規模が大きい」とは言っても、それは地理的条件と人口規模に比して、という意味であり、大多数の人にしてみれば寂れているように見えるかもしれない。それでも、この街の歩んできた華やかな歴史が垣間見えれば、それだけでぐっと心にくるものがある。

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 ▲再び、本町あたりで。
通り沿いのおもちゃ屋さんの前には、数キロ離れた隣町の中学校の名前が書かれた自転車が停まっていた。今もなお、子どもたちの間では今尾がこの地域の中心都市として位置付けられているようで、なんだか嬉しくなった。

そして写真の右手には、このあたりでは馴染み深い大垣共立銀行さんの看板が。以前にも書いたことがあるけれど、岐阜県のこういう小都市を歩いていると、この銀行は概して大通りではなく旧道っぽい狭い道に面していることが多い。高規格なバイパスがあるのにわざわざ旧道を迂回して走る田舎の路線バスみたいで、これもまた好感が持てる。
ちなみにこの銀行、いつぞや名古屋の地下鉄にこんな中吊り広告を出していて度肝を抜かれたことがある。何だか憎めないぞ、大垣共立銀行!

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 ▲上の写真とは別の八百屋さんの店先で。
ここ海津市はミカンの産地としても知られているのだが、これまた凄い売り方。人情味が感じられていい。商魂たくましいお千代保稲荷では見られそうにない光景だ。

この今尾で最も有名なイベントは、毎年2月11日に秋葉神社の境内で行われる「今尾の左義長」。県の重要無形民俗文化財にも指定されており、地味な今尾の街もこの日ばかりはいつも以上に活気づくことだろう。いつかぜひ行ってみたい。

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 ▲こちらはメインストリートから分かれて南に向かって伸びる、中町の通り。
さすがに先ほどのメインストリートと比べるとこぢんまりした印象だが、こちらも地道に頑張っている感じがなかなかいい。

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 ▲中町通りをまっすぐ進むと、今尾城主・竹腰氏の菩提寺だった常栄寺に突き当たる。

ここには、幕府役人の無理難題・罵倒・侮辱に耐えかねて割腹自殺した薩摩義士、黒田唯右衛門らのお墓がある。昨年の秋に訪れた、同じ海津市内の石津の街にも薩摩義士のお墓があった。そもそもここ「平田町」の地名は、宝暦治水の総奉行を務めた薩摩藩家老・平田靱負(ひらたゆきえ)に由来するのだ。

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 ▲中町通りの南端からは、さらに西へ寺町・船町の通りが伸びている。

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 ▲こちらは、中町通りの1本東を並行する、新町の通り。
初めて来たときは、歩けど歩けど商店街の名残が続いていて、一体昔はどれだけ大きな街だったんだろう、と想像が掻き立てられたものだ。

さて、今尾の話ばかりになってしまったが、次はいよいよお千代保稲荷にやって来た。こちらも一昨年の秋以来、1年ちょっとぶりの訪問となる。
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 ▲何はともあれ、まずは本殿にお参り。ロウソクと油揚げをお供えするのがこの神社の習わしだ。
ただ、あまりに人が多すぎて、献灯所にたどり着くだけで精一杯。年末年始と月末月始が特に混雑するというが、この日も年明け最初の日曜日ということでかなりの人出だ。

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 ▲参道も大変な混雑。正月三が日は入場制限も出ていたほどだそうだ。

そろそろお腹も空いてきたので、今回は食べ歩きを楽しむことに。まずは、元中日ドラゴンズの大豊泰昭選手が経営する棒餃子のお店、「大豊ちゃん」にやって来た。
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 ▲昨年5月にオープンしたばかりとのこと。店先では大豊さん自身が健気に調理や接客をされていた。

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 ▲店内に入り、看板メニューの棒餃子、白皮(海老)と抹茶皮(豚肉)を2つずつ注文。
具に味が付いているというので、たれを付けずにそのままいただく。皮はもちもち、具はどちらもジューシー。これは本当に美味しい!お千代保稲荷の新名物になりそうだ。一緒に注文したラーメンはまあまあだったが…。
混雑していてあまりゆっくりは出来なかったが、野球一色の店内は、中日ファンならずともぜひ訪問されたい。

続いてやって来たのは、渋いお店が建ち並ぶ参道の中でひときわ異彩を放つ、欧風カレーのお店「アットホームキッチン ラ・リーモ」。いつも前を通るたびに美味しそうなにおいが漂ってきて、以前から気になっていたお店だ。
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 ▲「ふわっ」「とろっ」としたオムレツカレー、辛口(ちょい辛)。
ホテルで修行したというシェフが作るこのカレー、欧風というだけあって、ちょっと洒落た感じに仕上げられている。一口食べてみると、スパイシーというよりはまろやかな味わい。野菜のコクと旨味が溶け出している感じで、これもまた美味しい。なかなか凝ったメニューがたくさんあるようで、いろいろ食べ比べてみるのも面白そうだ。

この後も、漬物を試食しながら買い込んだり、草餅やら大判焼きやらを買ったり。あっという間に日が暮れて、いつの間にか東の空に大きな月が見えてきた。
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 ▲東口大鳥居の近くで。日が暮れてだいぶ空いてきたが、奥の方には何やら人だかりが…。

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 ▲参道一の人気を誇る、串かつ「玉家」だ。
この光景を見ていると、東海ラジオでよく流れている「♪お千代保稲荷のおかげだと 人もうらやむ玉家の人気 お千代保稲荷の串かつ玉家~」のCMソングが自動的に脳内再生される。…のは私だけだろうか。

ともあれ、人混みに混じって揚げたてのあつあつを豪快にがぶり。うまい!味もさることながら、この雰囲気がまたたまらないのだ。
ちなみに串かつの他にどて煮もあり、いずれも80円。食べた後に串の本数で精算するというシンプルな仕組みだ。串かつ用のソースには、普通のウスターソースの他に味噌だれも用意されているのだが、これはどて煮の煮汁を適宜補充しているもの。もちろん二度漬け禁止はお約束。ごちそうさまでした!

というわけ、お千代保稲荷とはこれでお別れ。
最後に、お千代保稲荷へのアクセスについて簡単に紹介しておこう。自家用車の場合は問題ないのだが、何しろ公共交通機関が貧弱な地域なので、どうしても遠方からの人にはお勧めしづらい。…が、調べてみたら新幹線の岐阜羽島駅から直行のバスが約2時間間隔で出ているではないか。しかも1乗車100円という良心的な運賃。
以前は羽島市の南端の大須という辺鄙なところからしかバスが出ていなかったようだが、意外と便利になっているようだ。繁忙期は高い民間駐車場しか空いていないことが多いので、バスでのアクセスも検討してみてはいかがだろうか。渋滞緩和にも繋がるし、何より呑んで帰れますよ。
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Comment

お千代保さん、全く混雑シーズンじゃない
去年の10月の夕方に生まれて初めて行きました。
アーケードがないのに賑わっている感じが
東京の谷中界隈の商店街っぽくて何とも
良かったです。

大豊氏の店も寄ったけど、あの辺りは
普段は17時にほとんどの店が閉まるようで
自慢の料理は残念ながら食べられず・・・
少し会話させてもらいましたが、大病を克服して頑張っている様子でホッとしました。

確かに駐車場は少ないですよね。
無料のトコは狭くて大型車だと大変そうでした。

やはり東京の下町に似た雰囲気がありますよね。
空いているシーズンでもまあまあ賑わっていますが、夕方早くにお店を閉めてしまうのはちょっと寂しいですね。
逆に年末年始は終夜営業のようですが、人が多すぎて身動きも取れないほどなので、ちょっと混んでいるくらいのときが一番おすすめです。
大豊氏は白血病を患われていたようです。人情溢れるこの地で静かに第二の人生を歩まれているようで、陰ながら応援したくなりました。
駐車場、混んでいるときはすぐに埋まってしまい、500円くらいの民間駐車場しか空いていないようです。
だからと言って、周辺の住宅街にずらりと路駐の列が出来ているのは感心しないですね。商売繁盛のご利益も薄れるというもんですよ。

懐かしい風景がいっぱい☆

はじめまして。
千代保稲荷は、1度だけ訪れたことあります。
なんだか、昭和にタイムスリップした感じですね。まっちさんのブログやHPは時々拝見しています。これからも素敵な街の風景を期待です。

>ひまわりさん

初めまして。ご訪問&コメントありがとうございます。
昔ながらの雰囲気を残しつつも、賑やかで活気もあるところがお千代保さんの魅力ですね。
しかも、何度行っても新たな発見があって面白いです。
これからも当ブログ&サイトをよろしくお願いしますね。

少し、お久しぶりになってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。

親が自営業だったからか、子供の頃は月1回、おちょぼさんにはお参りに連れていってもらいました。まだ、串カツが名物になる前からですが、賑わいはその頃と変わりませんね。

最近もたまに訪れますが、前に一度、月末~月初めの時に向かおうとしたら渋滞がすごくて諦めた事があります。

岐阜県内のすべての通りの中で、普段の休日の人通りが最も多いのは、高山の上三之町と、おちょぼさんの参道が1,2を争うのでは無いかな、と思っています。

>kumayuさん

お久しぶりです。こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
今回も南濃大橋の手前あたりからかなりの渋滞でしたが、幸い、夕方が近かったので、駐車場にはすんなりたどり着けました。
月1回のお参りの思い出、いいですね。観光ではなく純粋に商売繁盛のお参り目的で来られる方も意外と多そうですね。

こんにちは。ユートラベルノートの上野と申します。
ブログ楽しく拝見させていただきました。

餃子もカレーも美味しそうですねー^^食べてみたいです!!

ユートラベルノートは、いろいろなブログや現地の旅行情報を集めたサイトで、たくさんの方がクチコミを共有したり、意見を交換できる場所です。
今後ワールドトラベルノートとして、世界中の情報を集めていく予定です。
是非この貴重な情報が詰まったブログをユートラベルノートに登録していただき、情報を必要とされているたくさんの方に広めていただけませんか?
よろしければ是非一度ユートラベルノートに遊びに来てください!!

↓ご質問などは…
contents@utravelnote.com
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>ユートラベルノートさん

こんにちは。
ユートラベルノートさんはホテルの予約等でいつも使わせていただいております。
さて、わざわざこんなブログにご訪問くださり、しかもご招待をいただけるとのことで、光栄に思います。
さっそく登録してみました。
今後はより多くの方に情報を活用していただき、旅の助けになれば幸いです。
では今後もよろしくお願いします。

match345さん

コメントの返信、そしてさっそくのご登録、ありがとうございます!!
いつもホテル予約ご利用くださってたんですね!!ありがとうございます^^
今後ともよろしくお願いいたします。
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