何だか気になる南濃の小都市と郵便局めぐり(後編)

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 ▲南濃町・石津の商店街。この坂道を上りきると、揖斐川に架かる海津橋に至る。

(前回からの続き)
南濃町北部の駒野を歩いた後は、同町の南部に位置する石津地区に向かうことにした。本来、この区間はクルマで移動する予定だったのだが、せっかくなので地元を走るローカル線、養老鉄道に乗ってみることに。桑名行きのワンマン列車は、真っ昼間ということもありガラガラ。高台の上をのんびりと走る車窓から、はるか遠くにツインアーチ138や名古屋駅周辺の高層ビル群を眺めていると、10分足らずで2つ目の石津駅に到着した。
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 ▲石津駅前を南北に通る旧伊勢街道(石津商店街)。
駒野と違ってほぼ一本道だけの商店街だが、なんだか駒野よりもこちらの方が密集感があり、閉めているお店も少なく賑やかな感じがする。

右手に見える赤い鳥居をくぐると、太田稲荷という神社と円成寺というお寺が仲良く並んでいた。
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 ▲円成寺にある薩摩工事義歿者の墓
前回の記事でも書いた通り、木曽川・長良川・揖斐川の下流域にあたるこの地域は昔から水害に悩まされ続けてきた。そんな中、18世紀の中ごろに薩摩藩が行った「宝暦治水」工事は、多大な犠牲を払いながらも見事に成功を収めた。このエピソードはこの地方では有名で、海津の人々は今も鹿児島に足を向けて寝られないという。
この墓は、そんな治水工事で犠牲になった薩摩義士たちの墓である。が、厳密には工事による事故死ではなく、難工事に責任を負っての割腹だったそうだ。なぜはるばる遠く離れた薩摩藩にやらせたのかとずっと疑問に思っていたが、これは薩摩藩の弱体化を狙う徳川幕府の命令だったのだ。

さて、先ほどの商店街(旧伊勢街道)をさらに北に進むと、大きな鉄橋が見えてきた。揖斐川に架かる海津橋だ。
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 ▲海津橋西詰の風景。ここが商店街の北端になる。
左端に見える古い和菓子屋さんは、その名も「海津橋饅頭」。堂々たる店構えとネーミングが気に入ったので、ここでお土産を買って行くことにした。
普段は「海津橋饅頭」の他に「海津橋最中」というのもあるようだが、お店のおばさんが手を怪我してしまって餡を詰めることができないとかで、今回は饅頭の方だけを購入。素朴な味わいの酒蒸し饅頭だった。
1932年に開通した初代の海津橋は当時としては珍しい吊り橋で、ちょっとした名所になったことからこの饅頭を売り始めたそう。石津の商店街も、この橋の開通とともに人々の往来が増え、発展していったという。吊り橋の絵が描かれた包み紙を見せながら、穏やかな口調で説明してくださった。

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 ▲旧伊勢街道の1本東側の通りにも、若干ながら商店が点在している。

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 ▲路地にいた小さな猫。
次の列車まで時間がないので無視して通り過ぎようとしたのだが、ニャオニャオと呼び止めるので仕方なく写真を撮ってあげたら、満足げに去っていった。


 ▲石津駅のすぐ南側にある杉生(すぎお)神社の参道。
参道の途中に踏切があるという、珍しそうで意外とよくある光景。ちょうどいいタイミングで電車が来た。

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 ▲最後に、商店街(旧伊勢街道)から石津駅へのアプローチ道路。
何となく、先日訪れた土岐市の旧駄知駅前の通りに似ている。駄知のようにここが「石津駅跡」になってしまわないことを祈りつつ、次の桑名行き列車に乗り込んだ。
この列車は桑名方面から石津行きとしてやって来てすぐに折り返すのだが、石津駅は単純な1面1線の無人駅。こんな駅でも折り返し列車があるのかと感心しつつ、次の美濃松山駅で下車。

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 ▲美濃松山駅。2面2線だが、こちらも無人駅だ。
ここは岐阜県南端部、三重県との県境まで約1kmというところ。周辺にはさくらヶ丘や松山台、松山グリーンハイツなどの住宅団地があるため、乗降人員は多く石津駅をも上回っている。商店街というほどではないが、駅前には新しい商店が点在していてまあまあ賑やかだ。その中にある松山簡易郵便局に立ち寄り、ここでも100円貯金。民家の一部のような小さな郵便局だった。

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 ▲美濃松山駅の東側に広がるさくらヶ丘の住宅地。
戸建てのみの小規模な団地だが、駅に続くメインストリートには写真のように商店が点在している。

しばらく散策してから再び美濃松山駅へ。駅前のたこ焼き屋で50円のミニ鯛焼きを買い、ホームで食べながら次の列車を待つ。何だかローカル線の旅っぽくていい。
程なくしてやって来た次の大垣行きで、再び駒野駅へ。たった1時間半ぶりに戻ってきただけなのに、駒野の街並みがなぜだか妙に懐かしく感じられる。
ここからクルマで再出発し、まずは国道258号沿いの道の駅「月見の里南濃」(▼)へ。
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この道の駅はけっこう大きく、飲食店や土産物屋、さらには足湯もある。地元特産品が豊富に売られていたので、せっかくだからいくつか土産物を購入。
そこからさらに国道258号を南下し、南濃山崎簡易郵便局に立ち寄った。駒野駅と石津駅の間にある美濃山崎駅からも歩いて来れるが、微妙に遠いので先ほどはパスしてクルマで来ることにした。養老山脈のまさに麓、急斜面に狭い路地が入り組んだ昔からの集落の中にあり、プレハブ小屋のような局舎は建設会社の敷地内に建っていた。
局名印は「みかんの里」のフレーズが入った宝印。駒野のあたりは柿畑が多かったが、斜面になっているこのあたりはみかん畑が本当に多い。局員さんの話によると、山に近いのでときどき猿がみかんを奪いに来るんだとか。

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 ▲南濃山崎簡易局の前からの眺め。濃尾平野が一望できる。

再び国道258号を南下し、次は石津郵便局へ。つい先ほど訪れた石津商店街の近くにあるのだが、1本乗り損ねたら大幅なタイムロスになる養老鉄道の時刻を考慮して後回しにし、改めてクルマで訪問したのだ。
その後、2時間ぶりに石津の商店街をクルマで通り抜け、海津橋饅頭でお馴染みの海津橋を渡り、最後に目指したのは海津安田簡易郵便局(▼)。ここさえ行けば、海津市内の全13局は制覇したことになる。
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ここに到着したのは15時35分ごろ。貯金業務の終了する16時までまだまだ余裕があったのだが、なんだか局内の様子がおかしい。なんと、オートキャッシャーが故障しているというのだ。同様の経験は2008年3月に石川県の石崎郵便局でもあり、そのときはATMを使って入金し事なきを得たのだが、ここは小さな簡易郵便局、ATMなどない。せっかく訪問したのに貯金できずじまいかと危惧したが、15分ほど待ったところで無事復旧、貯金が完了した。
長く待たせて申し訳ない、と局員さんに謝り倒されたが、今日はもともとこの局で最後にするつもりだったので全く問題なし。お詫びにとポケットティッシュを5つもいただいた。

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 ▲海津市内某所から眺めた秋空。西側に養老山脈が横たわっているので、日が暮れるのが早い。

というわけで、ほっこり温かい秋の南濃旅行はこれでおしまい。この後は長良川と木曽川の堤防道路をひた走り、一宮市の職場に何食わぬ顔で定刻通り出社したのでした。
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Comment

こんばんは。

出勤前に、ローカル私鉄と小都市めぐりとドライブとは、充実した旅でしたね。
遠くに出掛けるだけが旅ではなく、近くの土地を訪ねるだけでも十分に旅ができる、ということを再認識させられました。

このあたりは、三重県方面と行き来する時や、二ノ瀬峠という良いドライブコースもありますのでたまに通りますが、やはり車で通りすぎるだけでは気付かない街の良さを拝見することもできました。

「千本松原」の話、子供の頃に学校で読書感想文の題材になったことがありましたので知っていましたが、これが縁となって、岐阜県と鹿児島県は姉妹県となり、教職員の交流が行われているそうです。

>kumayuさん

本当に、近場にも良いところがたくさんあるものですよね。
前回の記事で紹介した駒野の街もそうですが、幹線道路から奥まったところにあると、クルマで通り過ぎるだけでは街の存在に気付かないことも多いです。じっくり歩いてみて思わぬ発見をすると、なんだか得した気分ですよ。
「千本松原」は私も小学生のときに演劇をやった記憶があります。海津市「平田町」の地名も、薩摩義士の平田靱負の名から取られたそうですよ。
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