名古屋下町ぶらり歩き~雁道(がんみち)界隈

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 ▲落ち着いた風情と賑やかさを併せ持つ雁道商店街
鉄道駅や繁華街からは離れているものの、地域密着型の商店街として地道に奮闘している。

先日、とある所用のついでで名古屋市瑞穂区の雁道(がんみち)界隈をぶらりと歩いてきた。まっちの街歩きホームページで既に紹介済みの通り、かつては名古屋を代表する繁華街として栄えたところだ。モータリゼーションで商店街が衰退気味な名古屋の中では、今でもそれなりの賑やかさを保っている数少ない商店街である。
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 ▲まずは堀田通の雁道交差点前で。ここから100mほどの区間には片屋根式アーケードがある。
かつてこの交差点には市電の雁道駅があり、雁道地区の玄関口になっていた。現在も基幹バスの雁道バス停があり、市電の代わりを担っている。人情味のあるこの風景は、今もどことなく駅前らしさを感じさせる。

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 ▲雁道交差点からしばらく東に進んだところにはこんな路地が。
アーケードの隙間から伸びているこの路地、以前に来たときは全く気付かなかった。かつては飲食店が並んでいたのだろうか。ポツンと残された「カレーの店」の看板が侘しい。

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 ▲さらにしばらく進むとアーケードが無くなり、道幅の狭いゴチャゴチャ感溢れる商店街となる。
左手に見える錆び付いたファサードのお店は「雁道書店」。看板の「雁」の文字が剥がれ落ちながらもしぶとく営業されている。店先には色褪せた昔の児童書や、古い雑誌の広告が並んでいるので、お店の側もわざとレトロっぽさを演出されているのかもしれない。

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 ▲堀田通の交差点から400mほどで、商店街の東端のタウンアーチにたどり着く。
こうして見ると、商店街全体がゆるい下り坂になっているのが分かる。遠くに見える高層ビルは、熱田のザ・ライオンズ ミッドキャピタルタワー。以前に訪れたときはまだ無かった。レトロと最新が共存する、大都市ならではのダイナミックな光景だ。

雁道の街は商店街だけでなく、住宅街の入り組んだ路地の探索もまた面白い。自転車でもすれ違いに苦労しそうな路地をぐねぐねと進んでいくと…
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 ▲こんなお稲荷さんがあった。雁道伏見稲荷というそうだ。
隣接する冨士八幡社とともに、小さな神社ながらもよく手入れされていて、地元の人に親しまれているのがよく分かる。

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 ▲雁道伏見稲荷のさらに奥、御劔小学校の近くで見つけた、ブドウのような木の実。
調べてみたところ「ヨウシュヤマゴボウ」という外来種で、こんな可愛らしい見た目にもかかわらず猛毒があるらしい。人も植物も、見た目で判断してはいけない。

さて、雁道にはもう一つ商店街がある。
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 ▲雁道町2丁目から船原町2丁目、平郷町2丁目にかけて伸びる賑町商店街だ。
先ほど歩いた雁道商店街は東西に伸びているが、こちらは南北に伸びていて、互いに直交している。賑町の名に相応しく、本家の雁道商店街に負けず劣らず賑わっている。

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 ▲賑町商店街の中ほどには、1925年創業の栄市場がある。
下町育ちの私にとって、この雰囲気は無性に懐かしくてたまらない。昔はどこにでもあったこんな市場だが、今では大手スーパーの乱立によってすっかり貴重なものとなってしまった。我が地元・一宮市にも「公園通市場」という古めかしい市場があったのだが、そこもいつの間にか閉鎖してしまった。

狭い空間にぎっしりと商品が敷き詰められた店内、BGMはトワ・エ・モワの“誰もいない海”、そして八神純子の“みずいろの雨”。大規模なスーパーには無い人情味と優しさがあるものの、価格ではやはり劣勢に立たされている様子。ただ、意外と若い世代の買い物客も多く、地域に親しまれていることがわかる。これからも時代に取り残されることなく頑張ってほしい。

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 ▲最後におまけ。住居表示がされていない瑞穂区や昭和区の下町エリアでよく見かける町名の琺瑯看板。
京都にある仁丹の町名看板は有名だが、こちらもなかなかの年季モノ。よく見ると、広告部分に「牛巻電停」の文字が。雁道に隣接する堀田エリアにあった市電の駅のことだが、市電の廃止は1972年のこと。こりゃ想像以上に古そうだ。

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 ▲こちらはさらに傷みが激しい。
色褪せて見にくいが、広告部分には「日本相互銀行」と書かれている。聞き慣れない銀行だと思って調べてみたら、三井住友銀行の前身の一つで、1951年から1968年まで存在していた模様。「若さがいっぱい明るい窓口」なんて書いてあるが、この当時に若かった世代はみな今では還暦を過ぎている頃だろう。そんなふうに考えるとなんだか感慨深い。

数年前まではまるで庭のように頻繁に訪れていたこのエリアだが、ここ最近はとんとご無沙汰で、本当に久しぶりの訪問となった。いろんな意味で懐かしさを感じさせる、秋の昼下がりの下町散策だった。
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Comment

名古屋にもこういう琺瑯看板が残っているのですね。

今度探しみよう!

瑞穂区には昭和40年代前半の市電が走っていた頃、住んでいたので懐かしいです。

ご無沙汰です
久しぶりの名古屋市内ネタですね

市電の電停名が残ったホーロー看板
良く見つけましたね!
私も10年くらい前に北区の城東園近辺で
「マツダルーチェロータリークーペ」のイラスト入り
ホーロー看板を裏道で偶然見つけて興奮した
覚えがあります。
今となっては既に場所さえ忘れてしまいましたが・・・

>ぞうまささん
市電が走っていた頃の瑞穂区ですか。羨ましいですね~。
ぜひそんな頃に、雁道や堀田や天池界隈を歩いてみたかったです。きっと賑やかだったんでしょうね…。
味のある琺瑯看板も、今後もぜひ残してほしいものです。

>9丁目1番地さん
「牛巻電停」の文字を見つけたときは嬉しくなりました。今となっては市電の名残なんてほとんど残っていませんから。
城東園といえば、ずっと気になっているものの未だ行けずじまいの街です。
ルーチェロータリークーペ…渋いですね(笑)
クラシックカー?の看板は、地方都市の街外れにたまに残っていたりして興奮します。

賑町商店街の内部の姿が印象的です。 狭い室内に色々な店が集まっているのを見ると南大門市場(ナムデムンシジャン)のようで、江南(カンナム)、大峙洞(テチドン)にある古くなったアパート(銀馬アパート)の地下商店街もあのようにできました。 厳密に話せば市場ではないのですが、外国人らの市場観光コースにも入っていると聞いたようです。 そのアパート地下商店街にはおいしい手打ち麺店トッポッキ屋もあって、いつも込み合っていますね。

話が違う方向に行っているようだが^^;;最近そちらでトッポッキを食べてみたが、小学校の時に腹がへる時町内で買って食べたすぐにその味でした。 味もあったが当時の思い出がよみがえるようで満足しました。

こんばんは

名古屋市内も、まだまだこのような旧くからの商店街が残っていますね。
私は愛知県の職場に通勤していますが、翌日が休みの日は帰りに途中下車して、健康ウォーキングを兼ねて夜の名古屋市内をあちこち歩いて回ります。

山手四谷通りや千種~金山、星ヶ丘~千種などあちこち歩きますが、雁道のあたりは行っていないです。近くの桜山~今池のあたりは歩いているので、今度少し足を延ばしてみようかな?
しかし、こういう街は夜歩くより、このように昼間の方が色々な発見があって楽しそうですね。

>Tabiperoさん
韓国にはこのような市場がたくさんありますね。
日本はチェーン店の台頭でこの手の市場はどんどん衰退しているのですが、そんな中珍しく残っているのがこの雁道という街でした。
銀馬地下商店街の、「懐かしの」トッポッキ、私もぜひ食べてみたいですね。
街中で売られているトッポッキのような軽食、日本だとみたらし団子、たこ焼きあたりが相当するのでしょうか。
私もときどき、田舎町の小さな売店でみたらし団子を買って食べたりすると、幼い頃の思い出が蘇ってきたりするものですよ。

>kumayuさん
仕事帰りのウォーキングを兼ねて街歩き、いいですね。それも結構な距離を歩かれているようで。
私は昼から深夜までの勤務なので、ときどき仕事前に街歩きをしたりします。
雁道以外にも、昭和区・瑞穂区の中西部には意外とたくさんの商店街が残っているので、ぜひ足を延ばされてみてはいかがでしょうか。
天池通り、都島通り、牛巻商店街、滝子商店街などはクルマの通行も少なく、街灯が多く明るくてお勧めです。
そして最後は桜山のボンボンセンターでちょっと一杯…ウォーキングの意味が無くなっちゃいますね(笑)

第三相互銀行とはまた古いものを・・・
たしか実家に第三相互銀行時代から手をつけていない預金通帳があったけど、もう赤茶けていました(と言っても、現・第三銀行に変わったのは平成元年らしいですけど)。
それにしても、その横の「電停」の表示がまたいい味出していますね。

お久しぶりです。
相互銀行と聞いただけで一昔前のイメージが湧くのは私だけでしょうか?
電停という言葉も、今や一部地域を除いて死語ですね。
で、預金残高の方は無事でしたか…?

まっちさん こんばんは。
大変ご無沙汰しております。雁道商店街は名古屋にいた頃、そばを通ったことはありますが、実際に散策したことはありません。
東区の愛知大学車通校舎前の桜通交差点から南側の商店街が、雁道商店街によく似ていて(何という名前の商店街かは忘れました)懐かしくなりました。大学生の頃、アルバイト先がその近くでした。
商店街に中華料理店の「徐州」があり、よく通いました。

>こじろうさん

こんばんは、お久しぶりです。
愛知大学車道校舎から南に伸びる商店街は、そのまま「車道(くるまみち)商店街」ですね。
雁道よりは若干道幅が広めですが、あの通りにも車道大市場という昔ながらの市場があるんですよ。
あの界隈は母校の近所で、中学・高校生のころ毎日歩いて通ったので特に思い入れがあります。
「徐州」さん、調べてみたら車道大市場の真向かいですね。今度近くを通り掛かったらぜひ寄ってみます。

ありがとうございます!

昔とそれほど変わらない商店街のようでなんだかホッとしました。車道大市場という市場が真向かいにあったのですね。全く覚えていません。でも徐州さんもご健在のようで嬉しいです!
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