爽やかな秋の富士山麓めぐり~山梨編

(前回からの続き)
高校時代の友人らとレンタカーでめぐる富士山麓旅行。
肝心の富士山が雲に隠れて全く見えなかったり、駐車場でレンタカーが傷付けられたりと、ろくなことが起きなかったこの旅行も、いよいよ静岡県から山梨県に突入。ちょうどこのあたりから雲が切れ始め、ようやく富士山が大きな姿を現し始めた。
そんなわけで、次は富士五湖の1つに数えられる精進湖(しょうじこ)を目指すことに。さっそくカーナビに「精進湖」と入力しようとしたところ、「しよう事故」に…。もうしましたが、何か?

さて、精進湖に向かう途中、富士河口湖町の富士ヶ嶺(ふじがね)という地区に寄り道してみた。富士山のなだらかな裾野に牧草地が広がる、とてものどかなところだ。
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 ▲お待ちかね、富士ヶ嶺地区から眺めた富士山
周辺には日本獣医生命科学大学の富士アニマルファームが広がっている。涼しくて清々しいところだ。

このあたりは、現在は富士河口湖町の一部になっているが、かつては上九一色村(かみくいしきむら)という村だった。一定の年齢以上の方なら、この名前には聞き覚えのある方が多いだろう。そう、かつて世を震撼させた某宗教団体・テロ組織の本拠地だったところなのだ。
実はちょうどこの写真のあたりが、教団施設の「サティアン」が密集していたところのようだ。現在は全て取り壊され、跡地は荒れ地のようになっており、当時の名残は何一つ残っていない。
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 ▲近くには謎の絵が描かれた建物が建っている。
おそらく前述の日本獣医生命科学大学の施設だろう。ただ、この立地でこの微妙に怪しいイラストは、よからぬ誤解を受けそうでもある。

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 ▲第9サティアン跡地付近で。
富士山に見下ろされるのどかな風景が広がっているが、かつてはここで毒ガスや細菌兵器が造られていたのだ。彼らは一体、なぜこの場所を選んだのだろうか。いずれにしても、地元の方たちにとっては大迷惑だったことだろう。

ここらで富士ヶ嶺を後にし、国道139号(富士パノラマライン)を北上して、いよいよ富士五湖方面に向かった。
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 ▲途中、青木ヶ原樹海の中を通り抜ける。
樹海といえば自殺の名所という印象が強いが、その名が示す通り、樹木が海のように青々と広がる風景はとても美しくて神秘的である。前述の宗教団体といい、このあたりは何かと暗いイメージに悩まされているが、こうして来てみると普通に良いところだ。ぜひとも偏見を持たずに訪れたいものである。

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 ▲そしていよいよ精進湖に到着。富士山と、その手前の大室山が美しいグラデーションを成している。
精進湖は富士五湖の中では最も小さいものの、周辺の景観は「東洋のスイス」とも呼ばれ、日本を代表する避暑地となっている。付近には可愛らしいペンションや旅館が点在している。

ところでこの精進湖の近くには、先日の台風15号による大雨の影響で赤池という池が出現し、期間限定で富士五湖が「富士六湖」になっているという。この赤池、よほどの降水量が続かなければ出現することはなく、前回見られたのは2004年とのこと。これはぜひ見ておきたい。

国道139号の赤池交差点から、精進湖(国道358号)とは逆の方角にしばらく進むと「海老名市・富士ふれあいの森」という施設の駐車場があり、そこに「赤池 ←300m」という発泡スチロール製の即席の看板が立っていた。地元ではちょっとした話題になっているようで、やはり見物客がたくさん来ている。
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 ▲矢印の方向に道なき道を進んでいくと…

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 ▲10年に1度程度しか見られない赤池が見えてきた。
湖面は鏡のように澄んでいて、国道358号の瀬々波橋が映っている。湖水面は精進湖と連動していて、地下水脈で繋がっていると考えられるという。なんとも不思議な池だ。赤池という名前にもかかわらず、ミステリアスな緑色に輝いているのも面白い。

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 ▲さらに、国道358号の瀬々波橋から眺めた赤池

夕方が近付いてきたので精進湖・赤池に別れを告げ、今度は本栖湖に沿って国道300号(本栖みち)を西進。険しい峠を越えて身延町を縦断し、最後に訪れたのは山梨県最南端の南部町(なんぶちょう)というところだ。
富士川の谷間に開けた人口1万人足らずの小さな町で、特に有名な観光地も無いのだが、この町にはちょっとした思い入れがある。大学1年の頃、自動車免許を取得するため、迷いネコさんらと20日間ほどこの町で合宿し、町内の教習所に通っていたのだ。

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 ▲まずは南部町のメインストリート、南部銀座通り商店街へ。
実に7年ぶりの訪問。当時は路上教習で何度もこの道を行き来したものだ。小さな町なので大型スーパーが無く、ちょっとした買い物もこの商店街まで買いに来たのを思い出した。
街路灯には「南部の火祭り」をイメージした飾りが付いていて、夜になると赤く光るようだ。名古屋よりも秋が訪れるのが早く、車を降りるとキンモクセイの香りが立ちこめていた。

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 ▲このあたりは下本町(しもほんちょう)。だいぶ日が暮れてきた。
南部地区には他にも、上本町(かみほんちょう)、新道町(しんどうちょう)、城町(しろまち)、天神町(てんじんちょう)、河原町(かはらまち)、昭和町(しょうわちょう)、諏訪町(すわちょう)、明治町(めいじちょう)、城山町(じょうやままち)、仲町(なかちょう)、横町(よこまち)といった通称地名があるようだ。

そして、教習ルートになっていた道を迷いネコさんの運転で走ってみることに。
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 ▲夕暮れの戸栗川沿い。緊張してハンドルを握りしめながら何度もこの道を走ったものだ。
複雑な形状の柳島交差点、坂道発進に苦労した新船山川橋北詰交差点、怪我をして訪れた国保診療所などなど、全てが懐かしく感じる。ただ、教習所と南部地区を結ぶ南部橋が新しく架け替わっていたり、教習のときに目印にしていたお店が無くなっていたり、国道52号の近くで中部横断道の工事が始まっていたりと、7年の歳月は様々な変化をもたらしたようだ。
そして、当時はとても広く、車の流れも速く感じた国道52号のバイパスが、今ではとてものんびりして感じる。さらに、法定速度30km/hの道路を本当に30km/hで走ると、こんなにじれったく感じるものなのか(おい!)。自分自身もいつの間にか変化していることを実感する。

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 ▲最後に、合宿でお世話になった民宿、鍋島荘(現在は廃業)へ。
県道809号の終点からさらに奥に進んだ、とんでもない山奥にある。周辺に人家はなく、携帯電話も圏外で、すぐ近くに滝があって夜になると滝の音しか聞こえなかった。最初に連れて来られたときはひどくカルチャーショックを受けたものだが、今ではそれが良い思い出だ。

ということで、富士山麓めぐりの旅はここらで終わり。富士川沿いを南下して山梨県から静岡県に入り、新富士駅に戻る途中、道の駅「富士川楽座」でしばし休憩。
この「富士川楽座」、とにかく道の駅としては異例の規模で、まず5階建てという時点であり得ない。建物も巨大なショッピングモールのようで、道の駅としては珍しくマクドナルドが入居している。道路を挟んだ向かい側の駐車場からは、鉄道駅のような立派な陸橋で結ばれていて、土産物売り場もまるで高速道路のサービスエリアのように規模が大きく賑やか。さらにはプラネタリウムまで併設されており、もはやテーマパークのようなところだ。後から知ったことだが、ここは全国の道の駅の中で最多の来場者数を誇るそうだ。

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 ▲道の駅4階、展望ラウンジからの眺め。富士市街方面。

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 ▲同じく、富士市大淵方面。

この後、ガソリンを満タンにしてレンタカーを返却。さすがプリウス、200km以上走ったのに8.78L(約1,300円)しか消費しなかった。
千葉県に帰る迷いネコさんとは新富士駅で別れ、あとの4人は名古屋方面の新幹線に乗車。静岡駅で乗換のついでに駅弁を購入し、ひかり号の車内でのんびりと食べながら無事に名古屋に帰ってきました。
一日お付き合いくださった皆様、お疲れさまでした。
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Comment

富士山は常に雪山にだけ見てきたが、雪が積もらなかった酸度それなりの情緒がありますね。 赤池を見たのもかなり運が良かった形ですね。 レンタカー事故の厄運を補償でもするように...

あえて家で遠方で合宿運転教習を受けたことは短期間に取ることができてであったんですか。韓国でも短期間に免許を取るために地方で合宿して運転免許を取ることがあります。

私は家から近い運転免許試験場で試験を受けたが(当時ソウル西部に住んでいました),走行コースが金浦空港の前を経るということでした。 今はすっきりしているがその時は道路工事をしていて複雑だったんです^^;;

>Tabiperoさん

富士山は、雪を被っていた方が「らしい」姿になりますが、夏の姿も良いものですよ。
本当に今回の旅行は、美しい景色が見られて厄運が全て吹き飛びました。

合宿教習は短期間で安く、そして効率よく取れるので、夏休みの長い大学生の間では定番のようになっています。
山梨を選んだのは、本文の中にも出てきた友人に誘われたのが一つの理由です。当時あまり縁の無かった山梨県をゆっくり訪れてみたかったというのもありますが。
Tabiperoさんとは対照的に、こちらは2車線以上の道路が無い田舎だったので、今から思えばすごく楽だったと思います^^;;

幻の富士六湖と日本大学山中湖セミナーハウス

私も日曜に赤池たる幻の湖たる富士六湖へ行ってきました。混んでましたねー?日本人の習性でしょうかねー?でも見たけど単なる降雨で溜まった池でしたね?

こんにちは。
matchさん、山梨で教習されてたんですね…。
自分も山形の鶴岡で教習合宿していたので、再訪して懐かしむ気持ち分かりますよ。何か鶴岡にまた行きたくなってきました(笑)

富士山麓に赤池なるものができるという話は初耳でした。
最近の異常気象?のおかげでしょうか。
何年に一度しか現れないものに人々が集まる、というのはどこか日食や月食に通じるものがあるように思いますね。

>智太郎さん
確かに我々は限定モノには弱いですね。
とはいえ、間近で眺める赤池は神秘的な風景で、行って良かったと思いましたよ。

>ねじまきてつやさん
教習合宿、なかなかいいですよね。自分にとって縁もゆかりも無かった町なのに、半月滞在しただけでまるで故郷のように愛着が湧いたものです。
赤池の話題は、旅行の数日前にたまたまラジオのニュースで知りました。当初は行く予定は無かったんですが、珍しいモノ見たさで急遽予定に組み入れたんですよ。
日食や月食…、確かに珍しい自然現象という点で似ていますね。
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